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年末に不要品を片付けよう 充電機器や大型家具処分は注意を

世田谷区のパンフレットから「区では収集できないもの」

いよいよ年末。年末だからということもありますが、ブラックフライデーセールをはじめ、11月下旬から買い物の機会が多く、部屋のモノが増え、そろそろ整理したいと考えているころではないでしょうか。

そのため、不要品(不用品)をなんとかしたいという想いが強くなるのもこの時期の特徴です。PCや家電品はもちろん、なかでも、処分が面倒になりそうな充電池を内蔵した充電式の機器、そして大型の家具などの処分に困るものがあります。

そこで、PCや家電品、特に最近多くなっている充電式の機器(内部に充電池内蔵)、そして、いつでも処分が面倒な大型品の処分方法についてまとめてみました。

基本は「住んでる自治体のやり方に従う」

もし、処分するとなった場合、紙ごみなどと違って、細かな処分方法が定められているのが家電品などです。

基本的に家庭用機器の場合、家電リサイクル法で定められた品目は「エアコン」「テレビ(ブラウン管、液晶・プラズマ)」「冷蔵庫・冷凍庫」「洗濯機・衣類乾燥機」は廃棄する場合、法に沿った回収方法をしなければならず、自治体のごみ回収とは別のものになります。

この家電4品目のほかは、基本的に住んでいる自治体(市区町村)のルールに従って分類して処分することになります。自治体のWebサイト等に分類例があるほか、分別に熱心なことで知られる横浜市では「横浜市ごみ分別アプリ」まで用意しています。

結局のところ、「自治体に従おう」が基本ではあるのですが、代表的なものについて、説明していきたいと思います。

家電リサイクル法の4品目は確実に対応 意外な対象外品

まず、「エアコン」「テレビ(ブラウン管、液晶・プラズマ)」「冷蔵庫・冷凍庫」「洗濯機・衣類乾燥機」の4品目については、家電リサイクル法の対象なので、自治体では回収せず、買い替えた製品の小売業者、購入した小売業者、または家電リサイクル券を買って指定引取場所に運び込むといったことが義務付けられています。

家電4品目の「正しい処分」早わかり(経済産業省)

家庭用とあるので、家庭用機器ではあるものの事業所で使っていた場合はどうなるか、ということですが、これは家庭用機器であればどこで使っても家電リサイクル法に従う必要があるとされています。また、事実上廃棄であるのに形式的に「売却」というかたちで処分した場合でも「廃棄」に該当するという判断例も示されています。

そして、2023年末現在、法律制定後に一般化した有機ELテレビが家電リサイクル法に含まれていないという点も見逃せません。また、テレビチューナーを内蔵していないチューナーレステレビも同様に対象外という判断がされています。

有機ELテレビは今のところ対象外(写真は各社の2020年モデル)

有機ELテレビも今後はどうなるか分かりません。将来、適用範囲が変わる恐れもありますので、最新の情報で判断することが必要です。

充電池内蔵のものはまずメーカーの回収を調べる

最近は、充電池内蔵の機器が増えています。大きい物では電気自動車、小さいものでは加熱式たばこやワイヤレスイヤフォンまであります。充電池が取り外しできれば、本体は不燃ごみとして処理できる可能性が広がりますが、取り外せない充電池があることで処理が面倒になります。

バッテリを内蔵するワイヤレスイヤフォンにも注意

廃棄する際に最初に検討することは、メーカーの回収がないか調べることです。作ったメーカーが回収してリサイクルすれば、ほかの機関がやるよりも効率的にリサイクルができるからです。

小型家電やモバイルバッテリーなら一般社団法人JBRCの加盟社の製品であれば、JBRCの協力店で回収してくれます。老舗の家電メーカーはほぼ加盟しているほか、PC周辺機器メーカーでも加盟していることもあり、JBRC加盟社の製品ならば処分は難しくないでしょう。

また、家電品以外の充電池内蔵機器としては、電子たばこや加熱式たばこの機器は、JT(日本たばこ協会)製品や、フィリップモリスの製品は無料で回収を行なっています。こちらもメーカーなどのWebサイトを確認しておきましょう。

加熱式タバコは各社が独自に回収を行なう場合が多い

自主回収がされていない場合や、持ち込める回収場所がない場合には、自治体の回収方法に従うことなりますが、自治体によって対応はさまざまです。回収方法やごみとして出す場合の出す分類も自治体によって異なるので、十分に確認する必要があります。

そのほか、PCや情報機器では無料回収業者も多くあります。内部に資源化やリユースできる材料が含まれているため、分解して取り出せば、回収にかかるコストも十分にまかなうことができるからです。

バッテリー系は特に注意

モバイルバッテリーやポータブルバッテリーは廃棄処理の難しいリチウムイオン充電池が内部のメインのため、特に処分に注意することが求められます。初期のものなら10年以上経過しているものもありますし、一時期、モバイルバッテリーはノベルティなどで小型のものが大量に配られたこともあり、処分待ちのバッテリーが手元にあることも多いと思われます。

こちらも、小型機器と同様に自社で回収をしているメーカーならメーカーの回収窓口を第一に検討します。特にポータブルバッテリーではJBRC非加盟のメーカーが多いため、まずはメーカーに問い合わせるしかありません。

モバイルバッテリーの売れ筋のメーカーでは、アンカー、エレコム、HI-DISC(磁気研究所)、グリーンハウスなどがJBRC加盟となっており、最近ではMOTTERUやCIOといった新興メーカーも加盟するなど状況は良くなっています。

回収もしておらずJBRC加盟もしていないメーカーの製品の場合、自治体の回収で受け入れてくれるならば自治体指定の方法で出すようにします。自治体と相談しても回収してもらえない場合は、現在のところ個別に回収業者を探すしか行き場がない状況です。

暖房機器は火事にならないように最新の注意を

暖房機器は使い始めた時期ですが、買い替えが進むのもこの時期なので、不用になるものも多くあります。多くは自治体の不燃ごみや粗大ごみで回収してくれることが多いです。

ただし、石油ファンヒーターで回収時に残った灯油に火が付くなど事故も多く、回収の可否や回収に出す場合に、安全のために細かな指定がされていることが多いです。守らない人が増えて事故が多くなれば、回収をしてくれなくなったり、さらに厳しい基準が示されたりする恐れもあります。ルールを守って回収に協力することが求められます。

石油製品以外では、オイルヒーターも処分が難しい機器です。多くは粗大ごみとして回収してくれるようですが、中にオイルがあるため引き受け不可となる自治体もあります。これもデロンギなど一部メーカーでは自社で回収していますので、まずはメーカーに問い合わせ、無理なら自治体の回収内容をよく確認するといいでしょう。

オイルヒーター。デロンギでは独自のリサイクルプログラムも用意している

家具やベッド、マットレスの処分は?

続いて面倒なのが家具です。買い替えなら新しいものの購入時に相談できることが多いですが、単に回収となると難しくなります。粗大ごみで回収してくれることが多いですが、問題はサイズが大きいため自分で搬出するのが難しいことです。そのため、回収サービス業者を利用して後で料金のトラブルになるケースも見受けらます。

そして、多くは粗大ごみで処分できるようですが、できない場合困ってしまうものの代表はスプリング付きマットレスです。受け入れ不可の場合は回収業者に頼ることになります。新品に近いものなら中古で売却という可能性もありますが、何年も使ったものなら廃棄するしかありません。

なかには、分解して金属とその他に分けて処分する方法もありますが、相当な手間がかかります。分解動画がたくさん上がっていますが、ポケットコイルではない場合、金属カッターが必要になるなど道具や経験も必要となり、誰にでもできるものではありません。

ただし、一部のマットレスでは使用後に自分で分解して処分しやすくしている点を売りにしているものもありますので、一度調べてみるとよいでしょう。

もし、引越しも予定しているのなら、引越し業者の回収サービスを利用する方法もあります。引越しなら家具移動も含まれるので別途回収業者に頼むよりも安価になる可能性があるほか、引越し全体での料金交渉に応じてくれる可能性もあるでしょう。

売却は簡単か? オークション、フリマアプリなど

もっとも手軽な売却方法はリサイクルショップへの売却です。人気の家電品など人気アイテムならば比較的高値で売却できますが、そうでないものは安くなってしまいます。前述のオイルヒーターなどはかなり安くなっているほか、家具やベッドといった大型の物は場所も必要なため、受け入れてくれるところは限られます。

また、家電リサイクル法に関わるテレビなどもリサイクルショップへ売却すれば、処分料をかけずに済ませることもできますが、リサイクルショップによっては事実上廃棄と思われる故障品や一定以上古いものは受け入れないこともあります。

オークションやフリマアプリでの処分は基本的には買い手が現れるかどうかにかかっています。そのためには金額はもちろんですが、高額になりがちな送料、大型のものとなると受け渡し方法や時期まで含めて、買い手の希望に沿いやすいことが必要です。

そして、不用になるくらい状態が良くないものでは、元がどんなに高価なものでも欲しがる人が現れにくいのは当然です。余裕をもったスケジュールや、売れなかった場合の処分方法なども考えたおいたほうがいいでしょう。特に、年末に確実に部屋からなくなってほしいのなら、早めの行動と、売れない場合のプランBの準備もしておいたほうがいいでしょう。

また、モノが限定されますが、スクラップ買取業者に持ち込む方法もあります。例えばほぼ鉄のスチールラックなどは鉄として売却できる可能性が高いです。そして、電源コードやオーディオなどの配線は中身が高価な銅なので、鉄より高く、買取業者によってはキロあたり数百円の値がつきます。

キロ単価が比較的高いものとしては、銅のほかにはアルミがあります。クルマのアルミホイールは重量があるので金額も大きくなります。ただし、スクラップ買取業者は郊外などにあり、交通便利なところにはまずありません。また、事業者のみを相手にしているところもありますので、かなり上級者向けの不要品処分方法と言えるでしょう。

年末は早めに動くほうが良い結果になり、次回購入時にも注意を

どんなものにしろ、どのような処分方法をとるにしても、年内に片づけたいとなった場合は早めに動いたほうがいいでしょう。たとえば危険ごみの回収が第1、3の月曜日だった場合、2023年は12月18日が年内最終の回収日となります。

日時を決めて回収してもらう業者に依頼する場合でも予約がとれない場合や、自分との都合が合わない恐れもあります。そして、オークションやフリマアプリの場合、需要のありそうな時期に出品する必要があります。大型テレビなど年末年始の楽しみに使うような機器なら、年末年始休暇後は売れる可能性は低くなります。リサイクルショップに持ち込む場合も売れる時期よりも前が有利です。

また、処分に悩むようなモノがある場合、次回購入時には処分方法がラクなもの、長持ちするものを選ぶようにしたほうがいいでしょう。そうすることで、処分に困るものは市場から淘汰され、自分がラクになるばかりでなく、環境負荷の高い製品が少なくなることが期待できるからです。

正田拓也