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梱包用テープはどれを使うべき? クラフト、布、OPPの個性を学ぶ
2023年8月22日 08:20
ダンボールなどを梱包する時、ご自宅ではどんなテープを使っていますか? 一般的にはクラフトテープ、布テープ、透明なOPPテープなどがありますが、それぞれの特徴も知らずに、安いものを買って、“なんとなく“で同じものを使い続けている人も多いと思います。そこで、多種多様なテープを販売するニチバンにて、梱包用テープそれぞれの特徴や弱点、便利な使い方、実は梱包にも使えるおすすめのテープなどを聞いてきました。
お話をお伺いしたのは、ニチバンのコンシューマー営業本部 オフィスホーム営業統括部 マネジャー・沢智明さんと、工業品営業統括部 マネジャー・平山繁明さん。
「梱包テープにはいろいろな種類がありますが、全般的に基材、つまりテープの素材が厚ければ厚いほど強度が上がり、使いやすくなります。その分のコストがかかるため高価になるわけです。また、粘着剤もゴム系は低温でもよく付き、粘着力が強いです。一方、アクリル系は気温や湿度などの影響を受けにくく、のり残りしづらいなどの目的に合わせて特性を付与することができます。高いものには高いなりの理由があり、それだけ品質も違う、ということも知識として知っておくと選びの参考になると思います」(平山さん)
一番の売れ筋、クラフトテープは安価で使いやすい
世の中に多く流通していて、ニチバンでも一番売れているというクラフトテープ。安価で入手しやすいため、梱包用テープにはコレを使っている人も多いのではないでしょうか。
「価格が手頃ですし、基材がクラフト紙なので、手で簡単に切れる使いやすさもあって購入される方が多いです。弱点は重いものを梱包すると切れたり裂けたりする可能性があること。でも、この切れやすさがメリットになることもあります。爪などで簡単に開封できるためカッターを使わずに済み、中の物を傷つけてしまう心配がない。ですから、軽量で、刃物で開封するのが心配なものはクラフトテープを使うのがいいと思います」(平山さん)
さらにデメリットはもうひとつ。クラフトテープは重ねて貼ることができません。
「ニチバンには重ねて貼ることができる特殊なタイプのクラフトテープもありますが、一般的なものは重ね貼りができません。小さな箱でテープの面積が大きくなる時などは、粘着力が強い送り状もはがれやすくなる可能性がありますね」(平山さん)
ちなみにクラフトテープを「ガムテープ」と呼んでいる人も多いと思いますが、実はまったく違うものなのだそう。
「ガムテープは切手のように、水を付けることで粘着力が出るテープのことで、現在も販売・使用されています。自動的に梱包までやってくれる機械を導入しないと大変な作業になるため一般家庭ではめったにお目にかかりませんが、企業は最初に設備投資すればランニングコストが安く済みますし、ノリが強くてしっかり梱包できるので、今も使っている会社があるんですよ。ECサイトなどでも購入できるので、購入時は間違えないように注意してください」(沢さん)
透明なOPPテープは手で切れないけれど水に強い
クラフトテープと並び、手頃な価格のOPPテープ。一部の海外メーカーではコストダウンを図るためテープを極薄にして、クラフトテープの半値程度で売っているものもあるなど、クオリティに大きな差が見られる点も特徴のテープといえます。
「OPPテープの利点は丈夫で耐水性があるところです。デメリットはクラフトテープとは逆に、手で簡単に切れないところ。だだし、工場から何かを発送するような場合はOPPテープの需要が高いです。安価で丈夫ですし、こういう場所ではカッターを使うことが前提ですから。耐水性もあるので、水産会社などでもOPPテープが多く使われています」と語るのは、企業を対象に営業を担当する平山さん。
OPPテープは丈夫なのに薄く、同じ長さのクラフトテープと比べてもとてもコンパクトです。そのため、スマートに収納できるのも利点といえるかもしれません。
強度抜群!どんなものでも梱包できる布テープ
クラフトテープにない強さと、OPPテープにはない「手で切れる」という利便性を兼ね備えているのが布テープです。これまでの2つと比べてしまうと高価ですが、「製品としての欠点は本当に少ない」と2人は口を揃えます。
「布テープは糸が織り込まれた基材を使っているので頑丈ですし、手で切ってもまっすぐきれいに切れるので見栄えもいい。梱包以外に雨漏りの補強などにも使えるため、1本持っていれば万能に使うことができます。梱包テープとしては高価になりますが一般家庭では使用頻度も多くないと思いますので、梱包テープを1種類に絞るならいろいろな場面で使える布テープもおすすめです」(平山さん)
また、カラーバリエーションが揃っているのも布テープの魅力のひとつ。とくに引っ越しの梱包では数色そろえておくと便利です。
「引っ越しの荷物を“リビングで使うもの”、“台所で使うもの”と、色分けして使うこともできます。そうすればテープの色を見ただけでどこに運べばいいのか一目瞭然です。プロの現場でも商品によってテープの色分けをしているところたくさんあるんですよ」(沢さん)
ニチバンの布テープには、重梱包、中梱包、ダンボール用などさまざまな種類がありますが、その強度は何によって変わるのでしょうか。
「まず、基材に使われている糸の本数が多いものは強度が高いです。糸の本数を減らすことでコストダウンできますが、その分、強度は低くなります。布テープを切ると糸がヒゲのように出てしまうことがありますが、細かく編み込まれていればヒゲも出にくい。逆に、糸の間隔が広い安価なものはヒゲが出やすくなるわけです。糸の本数に加えて、粘着剤の強度も調整しています」(平山さん)
言われてみれば、安価な布テープは基材の糸が見えるほど間隔が広いものもありますよね。せっかく手できれいに切れるのにヒゲが出てはガッカリなので、クオリティにもこだわって気持ちよく使えるものを選ぶといいでしょう。
実は一番の万能選手! ニチバン社員も愛用する養生テープ
ここまで3種類の梱包用テープを紹介してきましたが、実は、ニチバン社員の沢さんと平山さんが、梱包も含めて自宅で使う機会が最も多いのは、なんと養生テープ。梱包する機会は頻度が限られているため、いろいろな用途に使える養生テープを選んでいるそうです。
「養生テープは絶対に家に一つあったほうがいいと思います。梱包にも使えますし、壊れた部分を補強したり、はがしやすいので仮止めに使ったりと、さまざまな活用法があります。メーカーとして想定している用途ではないのですが、台風への備えとして飛散防止のために窓ガラスに貼るという方も多くいらっしゃいます」(沢さん)
養生用には布素材のテープもありますが、お二人が使っているのは薄くて扱いやすい半透明のフィルム素材のテープ。価格はちょっとお高くなりますが、布テープと同様に手でもスパッとまっすぐ切ることができます。さらに便利なのが、しっかり貼れるのにきれいにはがせるところ。これがさらに汎用性を広げているのです。
「私は仮止めに活用することが多いです。例えば季節家電をしまう時、簡単にまとめたコードを本体に貼り付けたり、パソコン周辺のコードを一時的にまとめたり。あとは網戸に穴が空いた時、応急処置的に貼るのもおすすめ。養生テープを貼っておけば穴の広がりを抑えることができますし、雨にも強いので安心です」と沢さん。
一方、平山さんはフリマアプリで販売した商品を郵送する時の梱包に養生テープを使っているそうです。
「そんなに重いものでなければ強度も問題ありませんし、きれいにはがすことができるのでダンボールの再利用も可能です。テープの切り口もきれいですし、半透明で見栄えがいいので、送り先の方からの印象もいいのではないかと思っています」
沢さんは、養生テープを梱包に使うことのメリットも教えてくれました。
「クラフトテープは紙なので、古紙回収でははがさなくても大丈夫だと思っている人も多いと思いますが、基本的には溶けないテープなのですべてはがさなくてはいけません。ニチバンでは貼ったままリサイクルできるクラフトテープも販売していますが、手軽に手に入るものではないので、はがしやすい養生テープを使えばエコにも繋がります」(沢さん)
ここまでの話を聞くと、布テープよりも養生テープのほうがいいのでは?と思ってしまいますが、やはりコストはかかります。養生テープはノリが残りにくい加工を施すなど機能がプラスされているので、その分コストがかかるのです。
「おそらく一般の方は、とりあえず安いものを手にとってしまうと思いますが、我々は養生テープの便利さを知っているので“これを置いておけば間違いない”と、高くても養生テープを選んでいます」(沢さん)
実際に養生テープを愛用している社員は多いというので、高くても買う価値がありそうです。
養生テープをアレンジした便利アイテムにも注目
養生テープの便利さに着目し、ニチバンでは家庭でも使いやすくアレンジした商品もリリースしています。
「より小回りがきくように、ミニサイズの養生用テープも用意しました。おかげさまで売れ筋商品のひとつになっています。油性ペンで文字もかけますし、ラベルのように貼って使うこともできる。封筒に入れて発送するような小さい郵便物にも使えてとても便利です」(沢さん)
さらに、キッチン雑貨にもアレンジ。マグネットで固定できるポップな色柄の「ワザアリテープ」は、冷蔵庫に貼り付けておくことができます。
「テープは事務用品なので引き出しに入れてしまうものですが、作業している最中に“今欲しい”ということもあるので、すぐに取り出せる場所にセットできるように工夫しました。開封した食品の袋の口を仮止めしたり、ファスナー式の保存袋にラベルとして品名や消費期限などを書いたりできるので、冷蔵庫や冷凍庫の整理にも役立ちます。この商品が冷蔵庫にくっついているニチバン社員はかなり多いと思いますよ」(沢さん)
実際に社員からも「重宝している」という声がたくさん聞かれるというので、使いやすさはお墨付き。テープは梱包などの事務的要素が強いアイテムですが、そこから活用シーンを広げて、家庭でいろいろ使えるもの、と考えると用途も広がりそうです。
ニチバンといえば「セロテープ」も欠かせません!
戦後間もない1948年に発売し、たくさんの人に愛用されているニチバンの代名詞的商品の「セロテープ」。セロハンという切れやすい素材を使っているので梱包には向きませんが、発売当初から天然素材を使っているため、「環境にやさしい商品」としても注目されています。
「セロテープのセロハンは木材パルプでできているので、極端な言い方をすると透明な和紙のようなイメージです。だからバイオマス度も75%と天然素材比率がものすごく高い。無料で配布できるレジ袋はバイオマス度が25%以上ですから、セロテープはとてもエコな商品なんです」(沢さん)
最近は環境に配慮した企業にも注目され、「軽いものしか出荷しないので、多少コストがかかってもセロテープで梱包したい」と50mm幅のセロテープで梱包する顧客も少しずつ増えているそうです。
このように、梱包テープにはさまざまな種類があるので、それぞれのメリットやデメリット、コストや機能を理解した上で、購入や使い分けをするのがおすすめです。ニチバン社員おすすめの養生テープはぜひ購入して、家に常備しておきましょう!