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ChatGPTに夏の旅行先を相談してみた

画像生成サービス「Bing Image Creator」で生成した「北海道 函館 夜」のイメージ

対話型AIの「ChatGPT」が話題ですが、回答はいい加減で使えない……、といった意見もありますね。ただ、提供元のOpenAIが公表しているように、ChatGPTは2021年9月までの情報(書籍、Webサイト、学術論文など)を学習しており、それらの情報に基づいて回答を生成します。質問の文章に対して、最も可能性の高い「続き」を予測して、回答として出力する仕組みです。

要するに「それらしい回答」を表示しているので、うまく学習できていないネタに対してはボロが出るわけです。それを間違っている、嘘だ! と怒るのは大人げないでしょう。ChatGPTは質問の背景をくみ取ったり、行間を読んだりしません。例えば「○○って何?」のような質問には無難な回答を返してきます。

「Impress watchって何?」への回答の例

長い文章を要約する、既存の情報をリスト化する、キーワードを組み合わせてアイデアを出す、といった処理がChatGPTの得意分野。ある程度普遍的な情報や、こちらから与えた情報の処理を手伝ってもらうのが本筋でしょう。

ということで、今回はChatGPTが得意そうで、ありがちな質問「夏の旅行先」について相談にのってもらいました。

ChatGPTに行き先から相談

大人の夏休みは難しいですよね。家族イベントとは別に、土日につなげて自分用の3~4連休を取得することもあるでしょう。しかし、旅行にでも行こうかと考えているうちに連休直前、面倒くさくなって結局ダラダラと過ごしてしまった……。心当たりありますよね?

過去の旅行プラン、地方の名所などのデータについてはChatGPTもたくさん学習しているはずです。まずは「どこかに出かけたいけど、どこに行ったらいいのか?」について相談してみましょう。

ChatGPTは結構役者で、「○○の専門家として答えてください」的な指示を与えると、成りきって対応してくれます。また、「執事のように」「ギャルっぽい感じで」などの口調の指定も可能です。

「旅行代理店のアドバイザーとして」と役割を設定して、国内旅行の相談をはじめたところ、期間や予算などを聞かれた
東京発、2泊3日で予算は5万円程度と伝えたところ、いくつか候補を出してくれた。回答を再生成したい場合は入力欄の上に表示される[Regenerate response]をクリックする

人間とチャットするような雰囲気で、連続してやり取りできるのがChatGPTのスゴいところ。「ほかには?」「もっと教えて」などと質問することで、前の回答について掘り下げることができます。

「ほかには?」と聞いてみた。「あと5つ出して」といった質問も有効
北海道について聞いてみた。地名は知っているが行ったことはない
歴史的な名所を質問した。函館が良さそうな気がしてきた

画像の生成はできない

ところで、テキストでやり取りする対話型AIのほかに、テキストから絵が描ける「画像生成AI」をご存じですか? OpenAIがChatGPTよりも前に「DALL-E」(ダリ)をリリースしたときは話題になりました。ちなみに、DALL-Eは深層学習モデルの名前です。

ChatGPTのやり取りで画像を生成できると嬉しいのですが、本稿執筆時点では不可能。最新の「DALL-E 2」で生成するには課金が必要です。

無料で試してみたいときは、同じモデルを利用するMicrosoftの「Bing Image Creator」にアクセスしてみてください。Microsoftアカウントでログインすれば利用可能です。

OpenAIの「DALL-E」のページ。画像生成には課金が必要
「DALL-E」モデルを利用するMicrosoftの「Bing Image Creator」。Microsoftアカウントでログインすれば無料で画像を生成できる
「hokkaido, hakodate, night」のキーワードで生成した画像。雰囲気は出ている

アイデアの個数やキーワードの指定がポイント

それっぽい画像を生成できて気分も上がってきたので、函館について詳しく聞いてみます。アイデアを出してほしいときは「10個お願い」などと指定すると、リスト形式で回答されます。

「10個お願いします」などと指定するとリスト形式で回答される

また、もろもろの条件を指定したいときは「#条件」(#以降の文字列は任意)などのブロックに箇条書きするほうが回答の精度が上がります。

「#条件」のブロックを用意して条件を箇条書きにしたところ、プランを提示してくれた

そういえば函館は夜景が有名ですね。条件を指定し直してみます。回答済みの質問でも編集できます。ただし、それ以降の質問・回答のやり取りがあった場合は消去されてしまうので注意してください。ChatGPTの回答はアイコンからクリップボードにコピー可能です。

回答済みの質問にマウスポインターをあわせて、編集用のアイコンをクリックする。ただし、編集後に[Save & Submit]をクリックすると、この質問以降のやり取りは消去されてしまう。保存しておきたいときは回答横のアイコンでクリップボードにコピーしておこう
条件を追加した。[Save & Submit]をクリック
別のプランが表示された。少しずつ具体的になってきた

回答から関連情報に気づく

函館山では夜景を見たいと伝えたのにスルーされましたが、新しく「函館山夜景クルーズ」という情報を発見。「湯の川温泉街」も気になります。ChatGPTさん、なかなか詳しいです。

それぞれ調べてみると、該当する情報を見つけることができました。やみくもに情報を探し回るより、ChatGPTの回答をキーワードにして検索したほうが便利ですね。

函館山で夜景の要望はスルーされたが、「函館山夜景クルーズ」「湯の川温泉街」という新しい情報を発見
観光遊覧船ブルームーンのWebページ。ナイトクルージングにも参加できる
函館湯の川温泉旅館協同組合のWebページ。日帰り温泉もあって良さそう

ファクトチェックは必須

先ほどのプランを元に1時間単位のタイムテーブルを作ってもらいました。盛りだくさんで楽しそうですが、実現可能なのでしょうか? ChatGPTも予防線を張っているように、回答を鵜呑みにしてはいけません。廃止されたサービスなども平気で回答してくるため、ファクトチェックは必須です。

1時間単位のタイムテーブルを作成してもらった。おかしな箇所がいくつかある

調べてみると、函館山夜景クルーズは20時発の運行はないようです。また、「11:00 函館空港到着」とありますが、予算5万円で飛行機に乗るのは無理があります。夏は繁忙期ですし、ホテルも高そう。新幹線のチケットとホテルのセットで調べてみると……。

ここでは、日本旅行のJR・新幹線+宿泊セットプランで調べた
予算に収まりそうなプランを発見した
7/28(金)~7/30(日)で検索すると、49,900円の部屋が1室空いていた!

なんと、函館に2泊3日、新幹線とホテル代で49,900円のプランが見つかりました! 最初から旅行サイトで調べればよかったのかもしれないですが、ChatGPTとやり取りしているうちに函館に興味が出てきたわけで、コンシェルジュとしての役は果たしています。もちろん食事プランなどの提案も可能です。

2泊3日の食事プランを聞いてみた。予算無視の提案だが、どれかは採用したい

現地での移動費や食事代を考えると予算オーバー。しかし、詳細を決める作業も旅行の楽しみのひとつですよね。無料プランのChatGPTでも意外と実用的だと思いませんか?

有料プラン「ChatGPT Plus」はプラグインが便利

無料プランのChatGPTでは、インターネットの情報を検索したうえでの回答はできません。あえて新幹線の時刻表について質問してみると、以下のような回答が表示されました。

リアルタイムの情報は回答できないと表示されたが、新幹線の名前と所要時間はだいたい合っている

この手の質問は自分で検索するのが手っ取り早くて正確です。また、インターネット検索できる有料プランの「ChatGPT Plus」(20ドル/月)なら、何でも回答してくれるわけではありません。検索対象のWebサイトの構造によっては情報を引き出せないこともあります。

ネット検索+AI分析が可能な、Googleの「Bard」やMicrosoftの「Bing AI Chat」も同様です。

有料プランの「ChatGPT Plus」の強みは「プラグイン」でしょう。例えば、大まかに決めたプランをChatGPT Plusに与えて、関連しそうなWebサイトをピックアップするといった使い方ができます。続けてWebサイトを要約させることも可能です。

日程表に関連ありそうなWebサイトを一覧にしてもらった
ピックアップしたWebサイトの内容をまとめて要約することも可能

しかし、毎月20ドル(約2,800円)は結構な価格です。ChatGPTとのやり取りで新しい情報を見つけたら、別途検索して再び質問すれば済むことがほとんどでしょう。日常使いなら無料プランで不満はないと思います。ぜひ自分専用のプランを作ってみてください。

伊井タカシマ