トピック
「自転車を趣味に」 クロス・マウンテン・ロードで選ぶなら?
2023年5月19日 08:20
自転車で風を切って走るのはとても気持ちがいいですよね。その心地よさから「自転車を趣味にしたい」と考えている人もいるのではないでしょうか。自転車で旅行に出てもいいですし、パーツなどにこだわって自分好みにカスタムするのも楽しそうです。そこで今回は、スポーツバイクを専門に扱うTHE BASEのマネージャー・中西啓さんに、これから自転車を趣味にしようと考えている人におすすめのモデルを聞いてきました。
「趣味性の高い自転車は、舗装された道を走るロードバイクとクロスバイク、未舗装路を走るマウンテンバイクと大きく3つに分けられます。“スポーツバイクが初めてで、趣味として始めてみたい”という方には、通勤など日常の移動手段としても使いやすいクロスバイクから入るのがおすすめです。当店のお客様も、最初の1台として8~9割の方がクロスバイクを選ばれています。長距離を走りたい、山道を走りたい、と使用する目的が決まっていれば、最初の1台でもロードやマウンテンを選ぶのがいいですね」
入門モデルのクロスバイク
上半身が起きる楽な姿勢で乗ることができる、比較的手の届きやすい価格帯、街乗りに必要なペダルやスタンドなどが標準装備されているなど、趣味として自転車を始めるには最適なモデルが多いクロスバイク。中西さんがまずおすすめしてくれたのは、イタリアの人気ブランドBianchi(ビアンキ)の定番モデル「Bianchi 21 C SPORT 2 DISC」です。
「扱いやすいフラットハンドルとリラックスした乗車姿勢で快適に走行でき、一般軽快車・シティサイクルの延長上で自転車を楽しめるのが魅力です。天候に関係なくしっかり止まれるディスクブレーキ、いろいろな道に対応できる24段変速ギアなど、走りを楽しむための機能も充実。ビアンキを購入される方はデザインやカラーで選ばれる方が多く、とくにアイコンカラーである淡いエメラルドグリーンのチェレステカラーが人気です」
続いては、クロスバイクの代名詞のようなベストセラーモデル、GIANTの「ESCAPE R3」が登場。独自の設計で軽量性と走行性能を高めたこのモデルは、通勤から週末のロングライドまでサイクリングライフを日常的に楽しむことができます。
「クロスバイクの大定番モデルで流行の火付け役でもある『ESCAPE R3』は、高価なディスクブレーキではなく、車輪を挟んで止めるVブレーキを採用してコストダウン。そのためクロスバイクとしてはかなりお求めやすい価格になっています。もちろん、一般軽快車より利きがいいので安全性も保証付き。ズボンのすそが汚れないようにチェーンカバーがついているので普段着で気軽に乗れるのもポイント。日常使いができるライフスタイルバイクとしては外せない一台です」
GIANTの「ESCAPE R3」には電動アシスト付きのe-bike「ESCAPE R E+」もあり、こちらもおすすめだと中西さん。ダウンチューブ一体型のバッテリーを採用していてe-bikeとは思えないほどスマートな外観を維持しています。
「こちらもかなり日常使いを意識したモデルで、キックスタンドまでついているのがうれしいところ。e-bike仕様に油圧式のディスクブレーキが採用されて、軽い力でもブレーキがかかるようになっています。スポーツバイクと聞くとちょっとしんどいイメージがありますが、アシスト付きならそこまで体力を使わずにサイクリングを楽しめるのが魅力です。体力に自信がない人や、目的地できれいな景色を見たりおいしいものを食べたりと、楽しむことにも体力を残しておきたい人はe-bikeも検討してみてください。電動アシスト、ディスクブレーキでお高くはなりますが、それだけの価値はあると思いますよ」
「バッテリー容量も大きく、エコモードで200kmも走ることができます。液晶の小型ディスプレイにはバッテリー残量も表示されるのでロングランでも安心です」
険しい山道を攻めたいアウトドア派はマウンテンバイクを
マウンテンバイクにはライトなものから前後両方にサスペンションを搭載した競技要素の強いモデルまで様々なタイプがあります。初心者ならライトなものがおすすめだという中西さんですが、紹介してくれたのはグラベルバイク、3Tの「EXPLORO RACE FORCE」。初心者におすすめとはいえ、かなりのハイスペックモデルです。
「いろいろな道を幅広く楽しめる趣味性を重視して、あえてこのハイスペックモデルを選ばせてもらいました。パッと見、ロードバイクっぽい外観ですが、ボコボコしたMTBのようなタイヤを装着。ロードバイクのように長距離も走ることができ、さらに太いタイヤにはき変えれば荒れた道も攻めることができる。走るフィールドがより広がるわけです。標準装備のタイヤの太さなら通勤などにも使えますよ」
「フレームには強度の高いカーボンを使用。少し長めの車体設計で、まっすぐ長く走るのが得意です。このモデルには『スラム』というアメリカメーカーの変速システムを搭載していて、変速スイッチを操作すると無線でギアを動かすことができるんですよ」
マウンテンバイクにもe-bikeがあると、次に紹介してくれたのがGIANTの「FATHOM E+」。すでに定評あるトレイルバイク「FATHOM」をベースに開発されているので完成度の高さは折り紙つきです。
「里山をのんびりサイクリングするなど、いろいろなフィールドで楽しめる使い勝手のいいモデルです。タイヤはマウンテンバイクでは主流の27.5インチ。バッテリーもモーターも小型化されてフレームデザインに溶け込んでいるので、e-bikeなのにとてもスタイリッシュです。エコモードでは1回の充電で125km走ることができるので、バッテリーも比較的大容量といえます」
より速く、遠くへ。舗装路を疾走するロードバイク
舗装路を長く、速く走ることを目的としているロードバイク。そのため、前傾姿勢になるドロップハンドルや細いタイヤが採用されているのが特徴です。乗り慣れないとなかなか難しいロードバイクの入門モデルとしておすすめしてくれたのが、GIANTの「CONTEND 2」。
「いきなり前傾姿勢で走るのは不安で抵抗がある、という方も、このモデルなら上半身の姿勢が起きやすい設計になっているので安心です。何よりうれしいのは、サブブレーキがついていること。ロードバイクはハンドル形状が特殊なので、乗り慣れていないとブレーキをしっかり握れるか心配になりますよね。でもこのモデルには、ハンドルの直線部分を握ってブレーキがかけられるサブブレーキレバーが付いているので安心。慣れて必要がなくなれば、サブブレーキを取ってしまうこともできますよ」
「通常、ロードバイクにはペダルが標準装備されていませんが、これはペダルもベルも付いているので初心者向きだと思いますし、通勤などの日常使いもしやすいと思います」
いろいろな起伏の道に対応できるよう、後ろに8段、前に2段のギアを装備し、16段の変速が可能です。さらにうれしいのはオールラウンドながら、エントリーモデルなので価格が10万円前半に抑えられているところ。価格的にも機能的にもかなり入りやすいモデルといえますね。
長距離サイクリングや競技・レースへの参加を目指すための最初の1台としておすすめなのが、GIANTの「TCR ADVANCED 1 DISC KOM」だと中西さん。より趣味性が高いモデルで、使っている素材にもこだわりが見られるそうです。
「フレームにカーボン素材を使っているため、車体重量が軽いのが特徴です。カーボンは金属に比べると微振動を軽減する効果があるため、体への負担も軽減できます。ギアチェンジもクリックするように軽くボタンを押すだけ。長距離を乗ると疲れてしまい、ギアチェンジの動作すら煩わしくなるものです。でもこのモデルなら電気の力でギアチェンジができるので力も必要ありません」
同じ車種でもサイズがあるので自分の体に合うものを選んで
初めての買い物では失敗がつきものなので、スポーツバイクを初めて買う人にありがちな失敗についても聞いてみました。
「趣味性の高いスポーツバイクを選ぶ時は、まず自分の体に合ったサイズかどうか確認することが大切です。スポーツバイクにも洋服や靴と同じようにサイズがあります。お客様の身長や股下、腕の長さなど、体の寸法に合わせたフレームサイズがあるので、“このバイクが欲しい”となったら自分に合うサイズのフレームがあるかどうかスタッフに確認してみてくださいね」
通常、同じ車種で3~5種類ほどフレームサイズが用意されているというスポーツバイク。基本的には身長に合わせて選びますが、ロードバイクの場合は、身長、胴の長さ、股下、腕の長さ、肩幅と、より細かなところまで見て、乗る人に合ったサイズを見極めるそうです。
趣味性の高い自転車を購入する際「これも買っておいた方がいい」というアイテムはあるのでしょうか?
「スポーツバイクに乗る上で必要なものは、前後のライト、必要に応じてスタンド、あとはお持ちでなければヘルメットと、手が痛くならないようにグローブもご用意いただくといいと思います。タイヤの空気入れもママチャリ用では入れることができないので、自転車に合った空気入れも買っておくのを忘れずに。乗っているうちに『こんなアイテムも欲しい』『自分でメンテナンスしたい』といった願望が出てくると思うので、必要なものは使いながら追々揃えていけばいいと思いますよ」
なお、価格は4月25日の取材時点の税込価格です。