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自転車ヘルメットはどう選ぶ? 被り心地・重量や価格による違い
2023年4月1日 09:15
4月1日から、自転車乗車時のヘルメット着用が「努力義務化」されます。道路交通法が改正されて、自転車の運転者等の遵守事項の中に、「自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならない」という項目が加えられました。今までも児童または幼児のヘルメットは努力義務だったのですが、今回の改正で年齢に関係なくすべての利用者が装着を努力義務となりました。
スポーツサイクルに乗っている人ならば、転倒時に頭部を保護するヘルメットの重要性は言うまでもないでしょう。多くのライダーが解っているのでスポーツ走行時にノーヘルという人はほとんど見かけませんが、街なかを見渡すと軽快車(いわゆるママチャリ)に乗っている人の多くは装着していないのが現状です。
今回、道路交通法が改正された大きな理由として、自転車乗車時に交通事故にあった場合、ヘルメットを着用していなかったケースが着用していたケースより致死率が2.2倍以上となったというデータがあります(警察庁発表)。
こうした中で、今回の努力義務化ですが、まずは罰則なしの努力義務となりました。よって装着していないから罰金や罰則を課されるということはないのですが、非装着で走行していると警察から指導されるという事はあると思われます。
そして、スポーツサイクルの専門家として言えるのは、努力義務、義務じゃない以前にヘルメットは重要です。近場で低速だからヘルメットは要らないという考えは誤りで、むしろ近場で低速な場所は市街地である事が多く、様々な交通が交錯しています。ぶつかる先も硬いものが多く、ヘルメットが効果を発揮するシーンなので、よく言うセリフですが「人間、頭と命はひとつしかない」と思ってヘルメットは装着しましょう。
ヘルメットは価格によってどう違う?
さて、そんなヘルメットですが、市販価格はおよそ2,000円程度から始まり、スポーツ用になってくると40,000円超という品まで幅広く揃っている世界。
街乗りヘルメットの価格帯は、2,000円から中心が6,000円ぐらい、高いもので10,000円程となってきます。価格帯でどんな違いがあるのでしょうか。
製品によるので一概には言えませんが、価格帯で変わってくるのは、大きく分けて「安全性の担保」と「被り心地」、そして「軽さ」だと思って頂ければ良いでしょう。
安全性
安全性の担保とは、つまり第三者機関でその品質が確認されているかどうかという事になります。
一番メジャーな規格としてはSG認定ですが、こちらは一般社団法人製品安全協会が認定した工場で作られた製品、もしくは非破壊テストなど一定の基準を満たした製品に対して発行するSGマークが入っているものを指します。耐衝撃性や、あごひも強度、脱げにくさなどに対して認証を行なっています。
安全のために装着するヘルメットですから、いざという時に外れたりして性能が発揮されないのでは、安くても意味がありません。この点でSGマーク付きの製品は一定の性能が担保されていると思って良いでしょう。
6,000円程の製品では多くのモデルにSGマーク付きのものが存在しています。この他に欧州の規格を満たしたCEマークや、日本自転車競技連盟(JCF)の公認レースを走行するために必要な基準を満たしたJCF公認マークなどの安全規格もありますので、それらを製品選びの目印にするのも良いでしょう。
被り心地
もう一つのポイント、被り心地ですが、日本人の頭部の形状は世界的にみて実は少し変わっている部類です。人によっても大きく異なるのですが、自転車のヘルメットの合う合わない問題はサイクリストの永遠の悩み。
この点に関しては個人差が非常に大きいのですが、ひとつ言えるのは日本のメーカーの製品は日本人の頭にフィットしやすいように考えられています。国内の自転車用ヘルメットメーカーといえばOGKカブトが有名ですが、同社の製品は幅広い価格帯でラインナップされています。
まず標準状態で購入してみて、もう少しフィッティングがどうにかしたいと思ったときには、調節用のインナーパッドを別途買うと良いでしょう。インナーパッドを装着できるモデルは多く、パッド自体も1,000円程で買えます。
重さの目安は300~350g
ヘルメット重量の目安は、300gを下回っていれば街乗り用途としては十分快適。350gでも大丈夫。程度に覚えておけば良いと思います。
ヘルメットの重さを左右する大きな部分は、内部の発泡剤によるもの。この部分が潰れる事で衝突時にヘルメットは性能を発揮するので、ここの品質は非常に重要です。
なお10,000円を超える高級モデルだから安全性が劇的に高まっているかと言うとそうでもなく、むしろその価格帯だとスポーツも意識したヘルメットとなってくるので素材による軽量化によって長時間の装用感を上げていることが多くあります。
40,000円クラスのヘルメットになると、例えばWaveCelという新素材を使用した高次元の安全性を担保したヘルメットや、転倒時の自動通報機能を備えているなど、高機能なモデルがラインナップされています。これらは主に、時速30kmを超えるようなスピードで走行するスポーツサイクル用です。
価格別オススメ製品
ヘルメットを選ぶ際のポイントを抑えたら、具体的な製品を見てみましょう。10,000円以下の街乗り用としてオススメなのが「CANVAS-URBAN」。バイザースタイルで、ビジネスから週末まで使えるデザインです。
10色展開とカラーバリエーションも豊富に用意されています。重量は290g。
より帽子に近いデザインが好みなら「SICURE」がオススメ。大きな庇で日焼け予防にもなります。車などのライトに反射して光るリフレクター素材を備え、夜間の走行にも配慮しています。
カラーバリエーションは、ベージュ、チャコール、ブラウンの3色。重量は350g。
筆者が愛用しているのは、ボントレガーのコミューター用ヘルメット「Bontrager Charge WaveCel Commuter Helmet」。20,000円台と価格は上がりますが、WaveCelテクノロジー搭載で優れた頭部保護性能を備えています。
カラーはブラック。重量はMサイズが428g、Lサイズが498g。
盗難対策は?
さて、中心価格帯は6,000円程度と紹介した自転車用ヘルメットですが、安いものではありません。駐輪場に停めた時の盗難対策はどうすれば良いのでしょうか? ともよく聞かれますが、ひとつの理想は「持ち歩く」。これに尽きます。
スポーツサイクル用のヘルメットの場合、頭部に汗がついていることもあり、筆者は過去25年で一度も盗難被害にあったことはありません。コンビニやお手洗いなどの短時間自転車から離れる時は、基本的に持ち歩いているというのもあります。
長時間駐輪場に停める時の対策は、自転車のワイヤーロックにあごひもを伴締めしておくと良いでしょう。この先4月から街乗りで使用する人も、3桁ダイヤル式のワイヤーロックを軽快車のサブロックとして購入して車輪と一緒にとめておけば、流石に数千円のヘルメットだけを盗むためにワイヤーを切ってまでというのはあまり考えられないのではないかと思います。
4月からのヘルメット努力義務化、ヘルメットが義務になっちゃったと嘆く前に、まず自分の頭はひとつしかないという事に立ち戻って、安全に移動するためには何が必要か? そしてそのためのヘルメットはどうやって選んだら良いか? と改めて考える機会だと前向きに捉えてみては如何でしょうか。
そしてヘルメットを購入されたら、まずはヘルメットを前後正しく装着し、事故の時に性能を発揮できるように顎ひもをしっかりと調整してみてください。
この春の努力義務化に向けて各社に動きもあり、帽子かと見紛うようなファッショナブルなモデルも多数登場しています。サイトを眺めているだけでも楽い状況ですが、在庫も限られているので、お気に入りのモデルを一足先に探してみることをオススメします。