トピック
ノートPCのバッテリーを長持ちさせるコツ 仕事中に落ちないために
2022年12月21日 09:00
電源が取れない屋外でのモバイルワークをしていると、心配なのがバッテリーの持ちです。最近はWeb会議を行なうことも多くなり、バッテリー残量に気を遣うようになったという人も多いのではないでしょうか?
仕事中にバッテリーが切れると困るので、できるだけバッテリーを節約しながら使いたいものです。今回、どのような点に注意すればバッテリーを長く持たせられるのかをマウスコンピューターの方にうかがいました。
液晶パネルの消費電力が大きい
――PCの中でどういったものがバッテリーを多く消費してしまうのでしょうか?
「液晶パネルが消費電力の大きな割合を占めています。アイドル時の消費電力が5Wくらいだったとして、明るさの設定を50%に落とすと、0.5W程度抑えられます。割合として小さく見えても、使用中は常に点灯しているものなので、長時間の利用になるほど大きな違いとなります。
周囲の明るさにもよりますが、目に優しいという観点からも50%位での輝度で通常使うのには問題無い明るさは確保できると思います」
「それから、繋ぐ機器にもよりますが、USB機器は大きな電力を使います。USBハブでも5Wほど使うこともあります。ほかにもPCから電力を供給して動かす機器を繋いでいるとPCの動作時間は短くなります。不要な機器は接続しないでおくのがポイントです。
また、ネットワーク機能が動いていればそこでも当然電力を消費します。Wi-Fiについては、新しい規格に対応している方がより省電力機能がサポートされています。ですから、ルーターなども新しい規格に対応したものを使う方がバッテリーの消費を抑える効果は期待できるでしょう。
ソフトによる消費電力もありますが、作業に必要なもので抑えるのは難しいと思います。ただ、バックグラウンドの処理はある程度OSによって管理されているので、使っていないソフトは最小化しておくと消費電力が抑えられます」
――各種の電力節約機能がありますが、どのように使うのが良いのでしょうか?
「Windows 11ですと、タスクバーをクリックして表示されるクイック設定の中に『バッテリー節約機能』というボタンが出てくるので、これをONにすると明るさの自動調整やバックグラウンド処理を抑えるといったことがまとめてできます。こちらから1ボタンで切り替えるのが一番簡単な方法だと思います。バッテリーの残量によって動作させるほかに常時ONの設定できるので、長く使いたいときは最初から常時ONに設定しておくのもよいでしょう」
「ほかに『動作モード』というのもあって、Windows 11だと『バランス』や『最適なパフォーマンス』などに切り換えて省電力にできます。またマウスコンピューターのPCだと『コントロールセンター』というアプリがインストールされていて、「静音」を選ぶとファンの回転が抑えられますが、これはプロセッサのパフォーマンスも最適に調整するため、消費電力を抑える効果が期待できます。コントロールセンターはハードウェア独自に最適化した内容を、ワンアクションで適用し消費電力を調節できるので活用して欲しいと思います」
外で充電するときは電源OFFで
――Web会議をする場合のバッテリー消費の目安はどれくらいでしょうか?
「Web会議自体がカメラや映像を使ったり、ネットワークも使用するので電力の消費は大きくなると思います。やはり不必要な周辺機器を繋がないことや、先ほど挙げた画面の明るさ調整など、できる範囲でやってもらうのが良いと思います。
PCの動作時間はJEITAの測定法でカタログに記載されていることが多いと思いますが、一般的な用途ではその1/2から1/3くらいが実際の動作時間の目安になります。それで大丈夫かどうかを事前に確認しておきます。バッテリーは充電した状態でWeb会議に臨むことも重要です。
1日通して充電せずに使う場合はある程度省電力になるように工夫した方が良いと思いますが、会議後にすぐにAC電源が使えるようであれば、特に意識しなくても大丈夫だと思います。
外で使う場合ですが、PCをスリープ状態にして充電すると比較的短い時間で充電できます。30分くらいでもかなりの割合の充電ができますので、例えば充電を許可しているカフェに入ったら『とりあえずパソコンは開けないで充電だけする』といったことをすると1日通して外で使えると思います」
――明るさ設定のポイントを教えてください。
「目の疲れにくさということでは50%くらいで適切だと思います。ただあまり暗くし過ぎると写真や動画を扱う場合は暗部の階調が見にくくなるので、目的に応じて調整するのが良いと思います。
弊社のPCだとDolby Vision(HDRフォーマットの一つ)対応機やクリエイター向けのタイプは輝度100%を前提に調整しています。写真や映像を扱う際は輝度を上げてもらって、それ以外の時は下げるなどこまめに調節してもらうと良いと思います」
シャットダウンよりスリープが便利
――液晶パネルの電源を切ったりスリープをさせたりする機能もありますが、シャットダウンをした方がよいのでしょうか?
「液晶パネルは電力をかなり消費する部分なので、PCを使っていない状態であればこまめに切るのは有効です。また、最近のPCは復帰の早いモダンスタンバイに対応しています。顔認証や指紋認証を使って1秒くらいで復帰できるので、さほど作業を妨げないでしょう。積極的にスリープ機能を活用して欲しいと思います」
「今はPC側の電力管理が良くなっているので、よほど長期間使わないということでなければ利便性の面でスリープのようなモードを使ってもらうのが良いと思います。例えば1週間使わないという場合はシャットダウンが良いと思いますが、数日程度であればスリープで問題ありません」
高温環境での使用は避けたい
――PCでスマートフォンの充電はしない方が良いでしょうか?
「これは、単純にPCの電力をスマートフォンに移すことになるので、かなりの電力を消費することになります。PCが電源に繋がっていない時にスマートフォンを充電するのは、最小限にする必要があります。PCの残量に注意して、できればスマートフォンの充電にはモバイルバッテリーなどを使うのが良いと思います」
――他に注意する点はありますか?
「温度の高い場所で使う際は注意が必要です。一般的に、バッテリーは高温だと劣化しやすくなります。また、温度が高い場所だと、PCが冷えにくいためファンが多く回り電力を消費してしまいます。極端な例では夏場の晴天の屋外で使うと、画面も明るくしないと見えなくなるので、さらにバッテリーを消費することになります」
動作時間の長いPCを選ぶのも手
――外出先で使うことが多い場合はPC選びも重要になると思いますが、マウスコンピューターでは長時間動作を売りにしたノートPCとしてどういったモデルがあるのでしょうか。
「ビジネス用途向けとして主にバッテリー運用を想定し、持ち運びやすさを重視した14型のモバイルPC『MousePro-NB430Z』になります」
――ほかのPCとはどういったところが違うのでしょうか?
「バッテリーの容量そのものを大きくしています。一般的なPCは53Wh程度ですが本機は73Whにしているのが特長です。バッテリーの容量を増やすと重くなりますが、マグネシウム合金を使うことで外装の重量を抑え、本体を1.1kg程度と持ち運びやすくしています。
加えて、液晶パネルを消費電力の低いタイプに変えています。とは言っても、ほかのPCと同じレベルの明るさが確保されていますので、表示上の問題は特にありません」
――実際の動作時間はどれくらいになりますか?
「JEITAの測定法で23.5時間ですが、実使用でその1/2(約11.7時間)くらいですね。重めの処理をしたり周辺機器を繋ぐと1/3(約7.8時間)程度が安心して使える時間になります。作業内容にもよりますが、これですとバッテリーで十分1日使えると考えています」
――MousePro-NB430Zは法人向けですが、個人向けにもこうしたPCはあるのでしょうか?
「JEITAの測定法で動作時間が約22.5時間の15.6型『mouse X5-R5』や、JEITAの測定で12.5時間前後の、単体GPUを搭載したクリエイター向けPC『DAIV 6』シリーズなどがあります」
「なお、弊社の第12世代CPU搭載製品からは順次、バッテリー自体の寿命を気にされる方のために『バッテリーマネージャー』という充電容量を変えられる機能を搭載しています。
バッテリー運用がメインの方はフル充電にしてもらう一方、AC電源メインで使われる方はフル充電はせずに、75%や50%充電にすることでバッテリーの劣化を少しでも抑制しようというというものです。この辺りも活用頂いて、長くPCを使って欲しいですね」
「ノートPCの動作時間は機種によってある程度決まってしまうので、PC選びの際にバッテリーをより長く使えるものを選んで頂ければと思います」