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推し活で選ぶ「双眼鏡」倍率や明るさは? ビックカメラに聞いた
2022年12月14日 08:20
スポーツ観戦や天体観測、バードウォッチング、観劇などで使う双眼鏡。ここ数年は「推し活」ブームにより購買層が変化し、双眼鏡を購入する女性が増えました。
主にコンサートなどで「推しを近くで感じたい」という人が急増しており、家電量販店のネットショップをのぞくと、数千円から10万円以上のものまで双眼鏡の「売り切れ」が目立っています。
今回は会場の広さや価格別に、推し活にぴったりの「コンサートにおすすめの双眼鏡」を、ビックカメラ有楽町店、カメラ・双眼鏡コーナー担当の乙川さんに教えてもらいました。
選ぶポイントは「倍率」「明るさ」「重さ」
ビックカメラ有楽町店の双眼鏡コーナーは、地下鉄の改札口からすぐの場所にあります。カメラ売り場の隣ということでもともと三脚売り場でしたが、数年前から双眼鏡の売上が上がったことから、人通りが多く目立つこの場所に移したそうです。
近隣には劇場やコンサートホールもあり、舞台やコンサートがある日は売上も急上昇するとのこと。当日も女性客が目立っていました。乙川さんによると、双眼鏡を選ぶ上で大事なのは「倍率」「明るさ」「重さ」とのこと。
売り場でも各製品の倍率がわかりやすいように展示されており、目立つ場所には主に6~12倍で、コンパクトな双眼鏡が並んでいました。さらに天井には、会場別におすすめの倍率も掲示されています。
同じ会場でも、席によって推奨の倍率が異なります。東京ドームの場合はステージから近い席なら~6倍、中間くらいなら6~8倍、バルコニーや2階席なら8~10倍以上を推奨。「会場や席によっても変わりますが、よほど狭い会場でない限り8倍を基準に選ぶのがオススメです」(乙川さん)
もう1つ大事な点として「コンサートなどで使う双眼鏡については、倍率だけでなく明るさにも注目していただきたいです」と乙川さんは話します。
「商品スペックには、『明るさ』の数値が表記してあります。こちらの数値が高ければ高いほど屋内では鮮明になり、見やすくなります。暗い場所で見る場合は、明るさの数値は9以上欲しいところです」
双眼鏡はレンズの口径が大きくなるほど明るくなります。そのため、暗い屋内のイベント用としては口径が大きいものを選びたいところですが、明るさを求めると、その分レンズが大きくなって本体が重くなります。
「倍率と明るさ、重さのバランスが難しいところです。女性でしたら、重さは300gくらいがおすすめです。倍率10倍で明るさが17以上の見やすい望遠鏡は500gほどの重さとなり、500mlのペットボトル1本分になりますので、ずっと持っていると手が疲れるという声も聞きます。
ペンライトなどのグッズを持ちながら、片手で双眼鏡を持つという方もいらっしゃいますので、実際に持ってみて疲れにくい重さのものを探していただきたいです」(乙川さん)
会場の大きさにもよりますが、基準となる数字としては、倍率は「8倍」、明るさは「9以上」、重さは「300g」が目安となります。
重いけれどブレない「防振双眼鏡」
双眼鏡に使い慣れてくると、使用中の手ブレが気になるという声も聞きます。倍率が上がれば上がるほど、ほんの少しの揺れでブレが生じてしまうのです。
そのブレを抑える双眼鏡が「防振双眼鏡」。価格は8万円以上と高いものがほとんどですが、人気は高く入荷待ちの製品もありました。
「防振双眼鏡は10倍以上のものが多いのですが、手ブレを抑えるための機構や電池が内蔵されているので、重くなります。明るさに関しても少し暗めですが、ピタっと止まるのでストレスはありませんよ」
ドームやスタジアムなどの広い場所では、高倍率で手ブレを抑えられる防振双眼鏡はぴったり。また、観劇などで両手を使える方、短時間でこまめに双眼鏡を使うような方には合っています。
実際に防振双眼鏡を試してみましたが、防振機能をOFFにしているときは手ブレで景色が揺れますが、ONにするとピタっと止まりかなり快適です。「重い」と感じる基準は人それぞれなので、実際に店舗で持って試したほうがよさそうです。
また、メガネを掛けた状態で使いたい場合や、メイクを付着させたくない場合は、目を当てる部分「見口(みくち)」を引っ張ってスライドできるタイプかどうかもチェックすると良いそうです。
価格別、売れ筋の双眼鏡
ここからは、価格別にビックカメラ有楽町店の売れ筋の双眼鏡をご紹介します。いずれも製品の品番には、数字を掛け合わせた表記があります。
例えば「8×21」といった表記の仕方で、これは最初の数字が「倍率」、後ろの数字が「口径(有効径)」を表します。口径は明るさだけでなく解像度にも影響し、数字が上がるほど細かいものが見えやすくなります。
1万円以内
PENTAX「Uシリーズ UP 8×21」は、倍率8倍で有効径は21mm、明るさは6.8。本体質量は210gと軽く、片手でもラクに持てる部類です。
価格は7,600円と双眼鏡の中ではかなり求めやすく、少し暗めですが、双眼鏡を初めて買う人などで予算を抑えたい人にはバランスの良い1台です。本体サイズは110×48×83mm(幅×奥行き×高さ、以下同)。
ニコン「アキュロン T02(ACULON T02) 8×21」は、カラーが7色展開とカラバリ豊富な点が特徴。推しのメンバーカラーやグループカラーでグッズを揃えるために、カラー重視で購入される方も多いようです。
価格は7,060円。倍率は8倍で有効径は21mm、明るさ6.8、本体質量は195g。本体サイズは104×34×87mm。
「1万円以内の双眼鏡は、初めて双眼鏡を購入するという初心者の方が多いです。とても軽いので片手でも持ちやすく、かわいいデザインも人気です。カラフルなものが多いのですが、本体のカラーを指定して購入される方もいらっしゃいます」(乙川さん)
3万円以内
Vixenの「ジオマ HR8x25WP」は、8倍で有効径は25mm。明るさも9.6と十分な性能ですが、価格は12,800円と求めやすいのも魅力です。店頭でもおすすめ第1位として紹介されていました。
本体質量も300gと軽くラクに持てます。本体サイズは119×44×112mmです。
Vixen「アトレックII HR8×32WP」は、倍率8倍で有効径は32mmとグッと上がります。価格は24,640円と高くなりますが、明るさも16とより大きく、性能がかなり上がる印象です。質量は390gで、有効径32mmの中では最軽量になります。本体サイズは119×43×109mm。
「ちょうどいい価格帯で重さと倍率のバランスがよく、広い会場でもよく見えます。2台目の双眼鏡として購入する方も多いです」(乙川さん)
小型の双眼鏡サイズで、大型双眼鏡の迫力を得られるのが魅力。ドーム規模の会場まで幅広く使え、ホールであれば推しの表情をはっきりとらえることができます。
8万円以上
より高性能な双眼鏡が良いとなると、防振機能付きになり、価格も8万円を超えてきます。
写真左がVixenの防振双眼鏡「ATERA(アテラ)II H12×30」。倍率12倍で、有効径は30mm、明るさは6.3。価格は85,800円。本体質量は422gで、本体サイズは108×62×149mm。
右は同じくVixenの防振双眼鏡「ATERA(アテラ)II H10×21」。倍率10倍で、有効径は21mm、明るさは4,4。価格は82,500円。本体質量が358gと防振双眼鏡では軽い部類です。本体サイズは107×63×130mm。
「8万円以上と高価ですが、防振双眼鏡は現在も欠品になるほど人気です。ブレないので、やはり見やすさが違います。少し重いものの、女性も多く買われています」
乗り物酔いをしやすい方も、防振双眼鏡であれば視界が揺れないので酔わないというメリットもあります。
実際に持ってみて重さやサイズのチェックを
筆者もオタクなので、今年だけでも東京ドーム、真駒内セキスイハイムアイスアリーナ、横浜アリーナ、武道館、東京国際フォーラム、ぴあアリーナ、東京ガーデンシアター、新橋演舞場など、さまざまな会場に足を運び、双眼鏡は3つほど購入しました。
よくわからずに選んでしまった双眼鏡は見にくい、暗いといった不満があり、3台目でようやくお気に入りを見つけることができました。
取材中、防振双眼鏡に感動してうっかり買いそうになりましたが、軒並み売り切れ。双眼鏡は大量生産ができない製品で、世界的なさまざまな情勢もあり、欠品中の製品はいつ入荷するかもわからない状況です。もし目星を付けているようでしたら、「買いたくても買えない」ということになる前に、早めに購入することをおすすめします。
また、実際に持ってみるとサイズや重さが印象と異なることがありますので、店舗で実物をチェックしてくださいね!
価格は11月15日の取材時点の税込価格です。