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通勤自転車を買い物用に改造してみた。超カッコいい(主観)
2021年1月6日 08:30
在宅勤務モードが続き、オフィスに通勤することがめったになくなってしまった。その代わりに増えたのが、近所のスーパーへの買い物。2、3日に一度は通勤用に使っていた自転車で買い出しにでかけるようになったのだ。
そうなってくると、今まで快適に乗っていた自転車にも不満が出てくる。通勤に最適化されているのだから仕方がない。ただ、ほとんど買い物にしか使わないのであれば、もはやコイツを通勤仕様のままにしておく意味もないのではないか。買い物向けの装備に変えてしまった方がQOL(生活の質)が上がるような気がする。
とはいえ、通勤や他のお出かけに使う可能性もゼロではない。遠くへ取材に出かけるときは今まで通り最寄り駅まで自転車を使いたいし。
そんなわけで、買い物用自転車として最強のスペックにしつつ、通勤・移動にも違和感なく使えるように、見た目にも気を配ってカッコ良く仕上げてやることにしたのだ。しかし、あんなにピーキーな自転車になろうとは……。
通勤用から買い物用へ。どんな風に変えるべきか
通勤用に使っていた自転車は、某自転車専門店オリジナルモデルのクロスバイク。伝統的なクロモリのロードバイクっぽい雰囲気を出しているが、しれっと鉄フレームなのでけっこう重い。それでも、ワインレッドなカラーリングで、ハイトの高いリムもこじゃれていて、直進性は高く扱いやすい。直線も坂道も、そこらへんのママチャリには負ける気がしない、負けたくない。
通勤メインということもあってできるだけ軽くしたかったので、(盗難時のことも考えて)余計なものは取り付けず、購入したときのままの素に近い装備で数年間使ってきた。雨天時のことも考慮すると泥よけくらいはあっても良かったのかもしれないが、「速く走れば濡れない」の独自理論で泥よけなしを貫いた。
さて、コイツを買い物仕様に仕立てるわけだが、ただ単に前カゴや後ろカゴを付ける、というのは簡単だけれど芸がない。というか、カッコ悪い。見た目をママチャリ風にしてしまっては、クロスバイクの良さをスポイルしてしまうことになる。通勤にも使うのでカッコ良さは死守すべきところ。スタイリングは維持しつつ、さらに買い物用として実用性に長けているものを作りたいのだ。
なので、まずは今の通勤仕様の自転車で、買い物時に何が課題になっているかを挙げて、どうすれば解決できるかを考えてみた。
【通勤用自転車での買い物時の課題】
1. 買った物を安全に入れて運べるカゴなどがない
2. 運んでいる間に冷凍食品が溶けたり、温かい食品が冷めたりしてしまう
3. 一度に持ち運べる量が少ない
4. レジ袋有料化のトレンドも考慮すべき
1番目の「カゴなどがない」というのは、フロントにしろリアにしろ、市販のカゴがそもそも取り付けにくい自転車本体の問題が大きい。わりと本格的なクロスバイクなので、ママチャリだとだいたい用意されているカゴやキャリアを固定するためのネジ穴などがフレーム側に一切見当たらないのだ。
そのため、スーパーで購入したものはバックパックに入れて人間が背負うか、レジ袋を自転車のハンドルに吊り下げるしかない。ただ、ハンドルに吊り下げる方法は大変危険だ。前輪のスポークに挟まって大変なことになるのでオススメできない。「今なら1個増量!」の肉まんを購入したものの、前輪に挟んで1個粉砕し、結局元通りの数の肉まんになってしまった悲しい出来事は忘れない。
また、バックパックやレジ袋の保冷・保温性能はほぼ皆無なので、どうせならこのあたりも解決したい。特に夏場のアイスクリームの持ち運びはクリティカルである。2020年はちょうどレジ袋が有料化したタイミングでもあったので、それに変わるスタイリッシュな方法も考えたいところ。
それと、コンビニならともかく、スーパーとなるとやはり買い物量は多くなりがち。レジ袋やエコバッグ、バックパックだと一度に運べる量は限られてしまうし、複数個に分けて詰めると自転車では運びにくい。だったら徒歩やクルマで買い物に行けばいい、という話だが、気軽にさっと行けて、すぐに帰ってこられる自転車をどうしても使いたいのである。
これらの解決策として一番手っ取り早いのは、もしかするとUber Eatsのバッグかもしれない。ある程度は保冷・保温機能を備えているようだし、容量も大きいので買い物にも向いている。ただ、配達業をしているわけでもないのにUber Eatsのロゴ入りバッグを背負ってスーパーに行く勇気は筆者にはなかった。
超イカす買い物自転車に変身させる3つのアイテム
安全に持ち運べて、保冷・保温が可能で、そこそこ大量の買い物にも対応でき、別途エコバッグやレジ袋を使わずカッコいいスタイリングを実現できる方法なんてあるのだろうか……。さんざん探し回ってようやく見つけたのが、以下の3つの製品を組み合わせるやり方だった。
1. OGK「フリーキャリーシステム用スライドバスケット」+「FCベース台」
2. 大久保製作所「後ろ用サイクルサーモBOX COL-R01」
3. リアキャリア
クロスバイクのカッコ良さを生かしたままにするには、やはり今の形をできるだけ変えないことが重要となる。ただ、たくさんの食材などを安全に運ぶには、どうしても大きめ、深めのカゴが不可欠だ。スタイリングを変えずに大きなカゴを使う、それを両立するには脱着式のものしかない。
そこで選んだのが、OGKの「フリーキャリーシステム用スライドバスケット」というアイテムだ。自転車のキャリアに取り付ける「FCベース台」とセットで使うことで、ワンタッチで簡単にバスケットを脱着できる仕組みになっている。使わないときはバスケットを取り外せば、あとはキャリアとベース台が残るだけなので、見た目にもすっきりする。
バスケット自体は通常時で26リットルもの容量があり、バスケットの一部をスライドさせることで大きさを変化させ、31リットルまで拡張できるようにもなっている。26リットルの状態でよくあるスーパーの買い物カゴと同じくらいのサイズなので、一度に運べる量としては十分だ。
このバスケットに組み合わせるのが、大久保製作所「後ろ用サイクルサーモBOX COL-R01」。保冷および保温が可能な素材と構造になっていて、内部には仕切りもあるので、型崩れしやすいものとそうでないものを分けて入れておくような使い方もできる。
フタになるカバー部分には保冷剤を収納可能なポケットもあって、冷凍食品や魚介類を痛めることなく自宅に持ち帰れるだろう。ボックスの縦横と高さのサイズがOGKのバスケット(26リットル時)にジャストフィットしているのもポイントと言える。
そして、バスケットと保冷・保温ボックスを自転車に固定するために、リアキャリアも必要だ。先ほど説明したように筆者の通勤用自転車にはキャリア固定用の穴などがないので、シートポストやフレームを挟み込んで固定するタイプのキャリアを選択した。
このあたりは自転車に合うものを見つけて選ぶしかないが、バスケットのベース台を固定するときに、キャリアをベース台と付属ステーで挟んでネジ留めする形になるので、ネジを通せる薄さで隙間のあるキャリアを選ぶ必要があるところだけ注意したい。そんなわけで、これらを装着すれば、即、超カッコいい(主観)買い物自転車の完成である。
なお、これらアイテムの総額は1万円前後。今の時代、1万円もあれば大きい買い物カゴ付きのママチャリが買えるのでは? なんて野暮なツッコミはやめてほしい。こんなにも超カッコいい(主観)買い物自転車ができあがるのなら、1万円なんて安いものだと言えよう。
メリットは多々あるが、デメリットも多々ある
買い物仕様の自転車になったことで、手ぶらで自転車を運転して往復できるようになったのが何よりもうれしい。バックパックなら一応手ぶらではあるけれど、背負うストレスはばかにならないもの。瓶などの堅い商品を入れていると痛いし、背中の熱が伝わって食品が傷みやすいのも気になる。全てをリアキャリアに載せられて、身体に負担がかからないというだけで、快適さは段違いだ。
バックパックやレジ袋に詰めるのとは違って、柔らかい食品を他の商品で押しつぶしたり、中でズレたりしないのもいいところ。もちろん保冷・保温の機能のおかげで、猛烈に熱い夏場でも不安なくアイスクリームを買って帰れるのもうれしい。レストランでテイクアウトした温かい料理も可能な限り温かいまま運べるから、寒い季節も活躍してくれるだろう。
ただ、思いがけないデメリットがあることにも気付いた。写真をご覧いただくと、キャリアの固定位置がかなり上の方にあることがわかると思う。ホイールの大きいクロスバイクなのでどうしようもないのだが、このおかげで商品を詰め込んだバスケットを装着するとどうなるか。そう、圧倒的な腰高、リア荷重になるのである。
それでどうなるかというと、シンプルに、後ろにひっくり返りやすくなるのだ。まず、キャリアにバスケットを固定した状態で、購入した商品を1つ1つ入れていこうとすると、重みで自転車の前輪が動き、サイドスタンドでは耐えきれず倒れてしまう。なので、外した状態のバスケットに商品を詰め込み、片手で自転車を支えながらバスケットをリアキャリアにガッと固定する、というテクニックが必要になる。
恐ろしいほどのリア荷重になっているため、自転車を押し引きするときには十分に注意しないとバク転することになるから慎重に取り回さなければならない。さらにトップチューブ(ハンドルとサドルの間に端渡されているフレーム)をえいやとまたがって乗る必要もある。通常は足を後ろから回して乗るのだが、バスケットが邪魔になるのでそれは不可能なのだ。
極端な腰高のせいで、走行中は奇妙な不安定さに悩まされる。キャリアが動いているわけでも、中で荷崩れしているわけでもないけれど、常にふらふら左右に揺れているような感じ。バイクで二人乗りしているときに、後ろの人が身体を動かして重心移動してしまうあの感じに似ている。とても気持ちが悪い。そして、最後も後ろから足を回せないので、ぎこちなく足をついて、自転車を斜めにして降車するのである。
家族や近所の人にも大好評のカッコ良さに
というわけで、なかなかにピーキーな自転車になってしまうのだが、そうは言っても近所のスーパーで買い物するための装備なので、その状態で何kmも走ることはないから実用性の面では全く問題ない。10kgの米袋を運ぶとなると怖い思いをするかもしれないけれど、それ以下の重量なら、バックパックを背負ったりレジ袋を吊り下げたりしながら走るより断然安全で快適だ。
バスケットを外した状態では、走行中にベース台から聞こえるわずかな「カチャカチャ」音が気になるものの、許容範囲内。家族や近所の人に見てもらっても、バスケット付きの状態だと一様に無言だったが、取り外したスタイルは「……あ、うん、いいんじゃない」と肯定してくれたので、カッコ良さはお墨付きである。今日もスーパーの買い物がはかどるというものだ。