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居住地域での災害リスクは? 「重ねるハザードマップ」を参考に備えを
2020年9月1日 08:20
防災と一言で言っても、自然災害には津波、洪水、土砂災害など様々なリスクがあり、災害によって取るべき行動や備えは異なります。自分が住んでいる地域ではどのような災害が発生する可能性があるのかを知っておくことが、警報・注意報発生時や万が一のときの迅速かつ的確な行動につながります。
災害発生リスク情報を知る方法として、自治体等が作成しているハザードマップの確認があります。さらに国土交通省では、全国の市町村が作成したハザードマップをより活用しやすくするため、ハザードマップポータルサイトを公開しています。
今回はその中で公開されている、様々なリスク情報を1つの地図上に重ねて表示できる「重ねるハザードマップ」を見ていきましょう。
自然災害リスクのほか、道路冠水想定箇所も重ねて表示可能
重ねるハザードマップは、様々な防災に役立つ情報を、全国どこでも1つの地図上に重ねて閲覧できるシステムです。具体的には、地図で表示している場所のうち災害の危険がある場所を、「洪水」、「土砂災害」、「津波」など災害種別ごとに見ることができます。
東京都から神奈川県、静岡県、山梨県のマップを表示した状態でそれぞれの災害を見てみると、エリアによってリスクが異なることが分かります。なお表示したいエリアは、マップを動かして選ぶほか、住所検索や、スマートフォン等のGPS機能により現在地を取得することもできます。
「重ねる」とはどういうことかというと、これらの災害種別ごとの表示を、1つの画面上で合わせて見られるということです。同じエリアで洪水と土砂災害を重ねてみました。
選択中の情報詳細は種別選択画面の下部に表示され、解説や凡例を表示できるほか、ゴミ箱アイコンをタップして表示から外すこともできます。
また、道路冠水想定箇所や事前通行規制区間といった道路防災情報、活断層図や大規模盛土造成地といった土地の特徴・成り立ちなども確認できます。
大雨への備え、地震への備え、それぞれ何を確認すればよい?
それでは、具体的にどのように使えばよいのか、ハザードマップポータルサイトで紹介されている例を見てみましょう。
例の1つとして紹介されているのは「大雨が降ったときに危険な場所を知る」です。この場合、「洪水」で浸水のおそれがある場所を、「土砂災害」で土砂災害のおそれがある場所を、「道路防災情報」で通行止めになるおそれがある道路を確認します。
これらを重ねて確認することで、避難の際に避けるべき道路が分かり、避難ルートの検討などに役立てられるとしています。道路防災情報においては、大雨の際に冠水し、車両が水没するなどの事故が起きる可能性がある箇所「道路冠水想定箇所」、災害が発生する前に通行止めなどの規制を実施する区間「事前通行規制区間」などを確認できます。
洪水については、河川が氾濫したときに想定される浸水域のほか浸水深も表示されます。また重ねるハザードマップには洪水に限らず、透過率を任意に調整する機能が搭載されています。
例の2つ目として紹介されているのが「強い地震が起きた時に被害のおそれのある場所を知る」です。この例では、「活断層の位置」、「がけ崩れのおそれがある場所」、「大規模な盛土造成地」の3つを重ねています。もちろん地域によっては、津波の確認も必要でしょう。
これらを重ねて確認することで、耐震化の検討などに役立てられるとしています。なお、大規模な盛土造成地では、これまでの大規模地震発生時において滑動崩落等の被害が発生した盛土造成地の実態を踏まえて、谷や沢を埋めたり、傾斜地盤上に盛土した大規模盛土造成地の概ねの位置を示します。安全性の確認が必要な盛土造成地を示したものであり、直ちに危険性のある盛土造成地を示したものではないと説明されています。
特定の災害ではなく、「自宅近くで起こりうる様々な災害の危険性を知る」という使い方も紹介されています。
例として挙げられているのは、水害や液状化の危険性が高い地域の確認です。「洪水浸水想定区域」と「治水地形分類図」を重ね合わせます。治水地形分類図とは、治水地形分類図治水対策を進めることを目的に、国が管理する河川の流域のうち平野部を対象として、扇状地、自然堤防、旧河道、後背低地などの詳細な地形分類及び河川工作物等が盛り込まれた地図です。
国が提供する重ねるハザードマップとは別に、自治体ごとにハザードマップを公開し、随時更新されています。国のハザードマップポータルサイトでは、全国の地方公共団体のハザードマップのリンク集「わがまちハザードマップ」も提供しています。
防災の日を機会に、重ねるハザードマップや自治体のハザードマップを確認しながら、もしもの時の備えを考え、また家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。