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1人10万円の特別定額給付金、さっそくオンライン申請。手続きは30分
2020年5月2日 08:30
4月30日に令和2年度の補正予算案が成立し、新型コロナウイルスによって影響を受けた家計への支援策である、1人一律10万円の特別定額給付金の支給が決定した。今後は準備ができた自治体から順次給付金の申請受付と給付を開始する形となり、筆者が住む東京都調布市でも5月1日から電子申請(オンライン申請)の受付を開始したので、さっそく申請してみた。
特別定額給付金の申請は、送られてくる書類に記入して 郵送 する方法と、PCやスマートフォンを使う 電子申請 の2通りがあり、ほとんどの自治体では後者の電子申請の方が先に開始されるものと思われる。郵送だと書類のやりとりが必要なので当然ながら時間がかかるが、電子申請なら必要なものが揃っていればすぐに申請できる。
電子申請で必要なものは、マイナンバーカードと振込先口座確認書類。さらに、申請方法によって、2つのパターンに分けられる。
パターン1:PCを使う方法
・世帯主のマイナンバーカード
・マイナンバーカードに対応するICカードリーダライタ
・ICカードリーダライタがない場合は、対応するAndroidスマートフォン(対応機種)
パターン2:スマートフォンを使う方法
・世帯主のマイナンバーカード
・iPhone 7以降、もしくは対応するAndroidスマートフォン(対応機種)
ここでは「パターン1」のパソコンでICカードリーダライタを使う方法をメインに紹介するが、「パターン2」のスマートフォンを使う方法でも基本的な流れは変わらない。ただ、両方のパターンで試してみたところでは、PCで申請する方が入力作業が楽だし、後述するように戸惑うところも少ないように感じた。PCでできる環境があるなら、そうした方が楽だ。
最初に申請準備。自治体が受付開始しているかどうかも確認
給付金の電子申請を行なう前に、あらかじめ環境が正しく整っているかを確認したい。具体的には「マイナポータル」にログインできる環境であれば大丈夫だ(給付金の申請にマイナポータルの利用者登録が必要というわけではない)。詳しくは以下の記事をご覧いただきたい。
10万円給付のオンライン申請に向け「マイナポータル」をチェック
「マイナポータル」にWebブラウザーでアクセスし、マイナンバーカードをICカードリーダライタ(スマートフォン)にかざしてログインできる状態になっていれば、給付金の電子申請が可能な環境が整っていると言える。問題なければ「マイナポータル」のトップページに目立つように表示されている「特別定額給付金の申請」内の「申請はこちら」をクリックしよう。
最初に自分が住民登録している市区町村を検索し、電子申請を受け付けているかどうかを確認する。郵便番号を入力して検索後、「ぴったり検索」のところに現れる「特別定額給付金」にチェックを入れて「この条件で探す」をクリック。この後の画面で「申請する」ボタンが表示されていれば受付中であり、ボタンがなく「準備中」となっている場合はもうしばらく待つ必要がある。
めでたく受付中なら「申請する」ボタンをクリックして画面の指示にしたがって進めていく。使用しているOSやWebブラウザー、マイナポータルAPがインストールされているか、マイナンバーカードやICカードリーダライタなど必要なものが揃っているか、といった要件をチェックする画面があるので、問題なく申請できるかをここで改めて確認できる。
マイナンバーカードの出番は2回。パスワード誤入力に注意
申請時に入力すべき項目はメールアドレス、名前や住所などの個人情報、給付の対象者名(自分の世帯の家族など)、給付金の振込先口座情報などで、これに口座の確認ができる書類・画像のアップロードが必要になる。
大部分の項目はキーボードから文字入力する形になっており、記入にあたっては画面の説明を読めば迷うところはなくスムーズに進めていける。対象となる家族の名前なども手入力だ。肝心のマイナンバーカードを使用するのは2カ所で、一部の個人情報の自動入力と、振込先口座確認のための書類アップロード時の電子署名のとき。
個人情報の入力は、手入力でも問題はないが、万一マイナンバーカード(自治体のデータベース)に記録されている情報と1カ所でも食い違いがあると再申請が必要になったり、申請そのものが無効になってしまう可能性もある。マイナンバーカードを読み取って自動入力するのが安全だ。
この際、マイナンバーカード作成時に登録した数字4桁の「券面事項入力補助用暗証番号」が必要になるので、間違いなく入力しよう。3回間違うとマイナンバーカードがロックされ、役所の窓口で解除手続きが必要になって、電子申請の意味が薄れてしまう(筆者は2回間違ってヒヤヒヤした)。
それよりも重要なのは、もう1つの振込先口座確認のための書類に電子署名を施す箇所だ。
書類としては、先に入力した振込先口座の通帳表紙やキャッシュカードの券面画像、もしくはインターネットバンキングのスクリーンショットなどが有効。これらのうちどれかに決めてアップロードするときに、ファイル自体にICカードリーダライタ(スマートフォン)とマイナンバーカードを使って電子署名する。ここでは「署名用電子証明書」のパスワード入力が求められ、5回間違うとやはり役所でのロック解除が必要になるので要注意。
ちなみに書類は「口座番号、カナ氏名等が分かるもの」との注意書きがある。そのため筆者は、氏名がカナではなく漢字で表記されていたインターネットバンキングの画面ではなく、キャッシュカードをスマートフォンで撮影したものを使うことにした。後々再申請などの手間が増えないようにするためにも、一番無難なものを使った方がいいだろう。
この電子署名を行なって「送信」すれば、給付金の電子申請はすべて完了となる。問題なく受理されれば、後は振り込まれるのを待つだけ。
5月1日時点では「いつ申請すればいつ振り込まれる」かは明らかになっていないが、総務省の言葉を借りれば「可能な限り迅速」に給付されるはずだ。
スムーズに申請したいならスマホよりPCか
一連の申請手続きにかかる時間はだいたい30分ほどで、入力項目がそこそこ多いわりには時間はかからない。給付の方針が示されてから電子申請の受付開始までの期間が短かったため、ここまでわかりやすく手続きできるとは思っていなかった。振込先口座の情報が全て手入力になっているのはやや不安はあるけれど、時間がなかったことを考えると仕方ないだろう。
冒頭でも触れたように、電子申請を行なう場合、スマートフォンよりはPCの方がスムーズに進められる印象だ。入力項目が多いため物理キーボードの方が効率がいいというのもあるが、スマホではマイナンバーカードを読み取るときの挙動が不安定なのが気になる。
たとえばiPhoneで申請を試してみたところでは、マイナンバーカードを読み込む際にSafariからマイナポータルAPアプリにいったん処理が移り、読み込んだあと手動でSafariに戻る操作が必要になる。このとき、しっかりマイナンバーカードの情報を読み込んだはずなのにSafari側で読み取りが失敗したと表示されるなど、うまく連携できないことがあった。何度かやり直すことで無事読み取って手続きを進められたが、iPhoneでの申請はやや戸惑うところがある。
こうして記事を執筆している間にマイナポータルのWebサイトを確認すると、「大変混み合っております」と表示され申請できなくなっていた。電子申請しようと全国からアクセスが集中しているのだろう。
申請期限は郵送による受付開始から3カ月以内とされているので、5月1日から電子申請の受付が始まった自治体でも、少なくとも7月一杯、もしくは8月上旬まで猶予があると思われる。焦ってリロードボタンを連打せず、空いてそうな時間帯にアクセスしてみてほしい。