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直接会わない採用面接、どうやってる? カルビーの取り組み

カルビーは、昨年度(2020年春入社)新卒採用選考の一次面接において、直接会うことなく、学生から送られてきた動画による選考(録画選考)を試験導入。今年度(2021年春入社)新卒採用選考から本格導入する。録画選考にはどのようなメリットがあるのか。現在のコロナ禍における採用選考の進行状況も含めて話を聞いた。

昨年度は試験導入とはいえ、対象などを限定して実施したものではなく全員を対象としており、録画面接の概要は昨年度と今年度は同様だ。

カルビーの今年度新卒採用選考のプロセスは、エントリー、適性検査の後、録画選考へと続く。その後はパッションシート(課題シート)の提出、複数回の面接を経て内々定となる。つまり、すべての面接を動画選考とするのではなく、これまで東京と大阪の2拠点で一次面接として実施していたグループ面接を、録画選考に変更した。

カルビー採用情報ページ

学生側から見た録画選考の流れは、メールで届くWeb面接ページのURLにアクセスしてログイン。応募開始画面、動画投稿説明を経て、表示される質問に対する回答動画を撮影し、投稿する。動画は各質問に対して最大2分。

録画選考の流れ

録画選考のメリットとして、学生と面接官双方の、移動時間、移動費用、人件費、会場費等の負担軽減を挙げる。グループ面接では通常15分から30分かかっていたところ、動画は3分から5分に圧縮でき、また場所・時間問わず適当なタイミングで実施・評価ができるという。

そのほか、試験導入で感じたメリットとして、学生側にとっては緊張することなく自分らしい姿を投稿できること、会社側にとっては動画を複数人の評価者が見ることによる選考の公平性の向上がある。

昨年度の新卒採用試験を受けた学生からは「一次選考を動画で行なっていただけたことで時間や交通費の負担がなく、遠方に住んでいる学生にとってとても助かった」という声があったという。ただし、録画面接導入により遠方からのエントリーが増えるなどといった、応募者傾向の変化はなかったそうだ。

面接官側も「自分の好きなタイミングで選考評価ができるため生産性が上がり、違った角度から応募者の人柄や熱意を感じることができる。グループ面接よりも、学生から得られる情報量が増えた」とする。

一方で試験導入の中で課題も見えてきた。学生から会社への一方通行の情報発信となるため、相互コミュニケーションを通しての人物把握ができない点だ。また、社員と接する機会がなくなり、社風や企業概要などを知る機会が少なくなることも課題として挙げる。

この課題を解決するため、ワークショップやWebセミナー、Web座談会など、選考とは別に、カルビーの仕事内容や社風を知ることができる機会を設けた。また録画面接以降の選考では、従来通り一人一人と対話できる個人面接を行なう。

この春入社の新入社員からは録画面接で苦労した点として、「面接官の表情や反応を見ながら話すことができないため、限られた時間の中で自分を表現する難しさを感じた」、「自分の返答から面接官が質問し、話を掘り下げるプロセスがないので、自分の伝えたいことをいかにまとめるか工夫するのが大変だった」、「面接官の反応がわからないため、面接のフィードバック(反省や活かす点などを見出すこと)が難しかった」といった声が上がる。

同時に、こういった難しさにやりがいを感じるという声もある。また、例が少ない面接方式を取り入れることで学生側の対応能力が試され、選考に活きる面もあるだろう。

新型コロナウイルス感染拡大は採用選考にも影響が出ており、3月実施を予定していたオフラインのワークショップは、8割が中止となった。それ以外は現在のところ、適性検査や動画選考といったデジタルで行なえる選考が進行していたため、大きな影響はないという。

カルビーでは現在、テレワークが可能な社員は全員在宅勤務必須となっており、採用活動全般もテレワークにて進行。出社あるいは特定の場所に足を運ばなくとも可能な採用試験の形は、不測の事態への対応力という点でもメリットがあり、また次世代の働き方にもつながるともいえそうだ。

今後は複数回の面接を予定しているが、現在の状況の継続またはさらなる自粛要請があった場合、5月以降の選考についても何らかのWeb会議システムを使った選考になる可能性があるとしている。