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出張教習で18年ぶりの運転:脱ペーパードライバーへの道(2)

購入した三菱アイ

前回お伝えした通り、突如として「脱ペーパードライバー」宣言をしたわたくし。そして勢いのままに軽自動車(6年落ちの三菱アイ)を購入してしまいました。第2回は、18年ぶりに運転してみた、というお話です。

第1回:運転しない歴18年の男、車を買う

普段クルマに乗っている人からは「とりあえず乗ってみれば感覚がわかるんじゃない?」などと言われたりもしましたが、そんなお気楽に運転する度胸などないのがペーパードライバーです。くしくも高齢ドライバーが各地で交通事故を起こしているご時世。自らを高齢と思ってはいませんが、ペーパー歴18年の中高年の運転は、世間から危険行為とみなされてもやむなし、ぐらいの自覚はあります。

出張教習ってなに?

と、いうことで「ペーパードライバー教習」を受けることを想定しておりました。そしていろいろと調べてみると世の中には「出張教習」なるものがあることを発見。わざわざ教えにきてくれるのですね。もう、自前のクルマも買ってしまったし、気合いを入れて出張教習に挑戦です。

「出張教習」で検索をかけるとたくさんのペーパードライバースクールが出てきます。

わりと作り込まれた感じのサイトや奥さまなど女性をターゲットとしたサイトなど様々。その中でもベタな感じの文字文字しいサイトを展開しているスクールを選択しました。テレビなどのメディアでタレントさんに教えている実績多数なのに、ぜんぜんおしゃれ感やスマートさを感じさせないサイト作り、自社演出の不器用さに好感を持ちました。

申込みは簡単です。1日2時間の講習を何日お願いするかを選ぶだけ。もちろん1日4時間とか6時間とかのオーダーにも対応してくれます。とりあえず「10〜15年運転していない人向け」の3日コースに申し込みました。

するとすぐにメールがきて、希望日時を聞いてきます。いざ運転するとなるとソワソワしてしまうので、仕事がほとんどない平日の午前中を選びました。午後の時間帯だと、その日の午前中が憂鬱すぎて病んでしまいそうな気がしたからです。

いざ、運転。まずは左回りをぐるぐる

出張教習第1日目。自宅に訪れたのは30代半ばでしょうか。ネクタイ着用の優しげなお兄さんです。いっしょに駐車場まで行き、運転席へ。

免許を確認したり、事務的なことを済ませると、おもむろに「補助ブレーキ」なるものが登場。なんて言えばいいのでしょう。ステッキの先にブレーキペダルを押す金属板が付いた、あまりお目にかからない代物です。その補助ブレーキを助手席から手動で押し込むことで、いざというときにブレーキをかけてくれる仕組み。なんだか不安な感じがつきまといますが、それがプロの仕事というものでしょう。

このブレーキペダルに補助ブレーキがセットされた

ちなみにこの補助ブレーキは「自社制作」とのことです。のちのち調べてみたら市販品もありましたが、こちらのスクールは自作。つまり、公的な規制のない器具ですね。さらに聞いてみるとペーパードライバーへの教習者にも公的な資格などはないとのこと。簡単に言ってしまえば、免許さえあれば誰でもこの器具を使い、教えることができます。イメージ的に規制でがんじがらめな自動車業界と思っていたのでちょっとした驚きでした。ただし、私の先生となるこのお兄さんはもともと自動車教習所に勤めていた経歴を持ち、ホッとしたりもします。

前置きが長くなりましたが、さっそくシフトレバーを「D」にし、サイドブレーキを降ろして発進です。

サイドブレーキを降ろす

オートマ車はブレーキを離せば進み出す、ことぐらいは知っていましたが、ホントに進みますね。かつて教習所で半クラッチがどうのこうのとやっていたのがウソのよう。もちろん当時AT車教習の時間もあった気がしますが、まったく覚えておりません。で、アクセルを踏むとさらに動き出す! 当たり前のことですね、知ってます。知っているけれど、そんなことに感動するのがペーパードライバー。伊達に18年経ってません。

で、言われるがままに駐車場を出て、その駐車場の回りをぐるぐる左回り。途中で停車してみたりしながら何周かして、駐車場に戻り車庫入れです。とにかく自分の車庫に入れられないとどうにもならないので必須事項。ここで個人的には問題が発生します。

駐車場は「入れやすい」に越したことなし

前回、左右に他人のクルマがあるとイヤだからせめてもの「角区画」を選択した旨を説明しました。駐車場の俯瞰図を見ると、素人目にはバックで直線的に近づければ入るだろうと思ってました。が、この駐車場には高低差があるのですね。一段高いところから低い場所の区画に入れなければなりません。なのでS字を描くように坂を下る、という行程が必要なのでした。もちろん、現地を見て決めているのですが、なにせクルマに乗ってないのでそういうことに気付かないのです。

この高低差がペーパードライバーには難所となる

右にハンドル切ってバック、戻して坂を少し下って、左にハンドル切って戻して……難儀です。「慣れれば問題ない」とお兄さんは言いますが、慣れてないのです。むしろ「慣れる日がくるのか……」という不安。そんな不安を抱えながら、次はバス通りに出て「右回り」です。

住宅街をノロノロと進み、バス通りへ。頃合いを見て信号のあるところで右折します。自宅周辺はわりと長閑といいますか、制限速度40km、交通量もあまりないので右折待ちのクルマの列に並び「早くしないと信号変わっちゃう!」みたいなビクビクするシーンもなく順調な感じ。そんな気配を察知してか、お兄さんが「次回は少し遠くに行きましょう」と牽制してきます。

自宅周辺を右回りで何周かしていると、あっという間にそろそろ2時間。再びアタフタしながら車庫入れして、一安心。本日のおさらいを紙に図解までして教えてくれますが、緊張が続いたこともあり、あまり頭に入ってきません。「何か質問はありますか?」と問われても、何も浮かびません。

アタフタしながら車庫入れして終了

とりあえず2時間経った安堵感でいっぱい。気付けば手が汗ばんでます。気乗りしない仕事を受けてしまって、どうにかこなした、あの感覚に似ています。

次回教習の日時を確認して、この日は終了。聞けばお兄さん、駅まで歩いて帰るとのこと。駅までは15分以上かかります。普通なら「クルマで送っていきますよ」の距離ですね。そうはいかない出張教習を受ける者のじくじたる思い。せめてもと、自販機の缶コーヒーを手渡してお別れです。次回は1週間後。その日まで、また憂鬱な思いで過ごします。

と、今回は出張教習第1日目まで。次回は2日目、3日目を送ります。「カーナビ」の素晴らしさを実感します。

※写真はすべて再現イメージです。