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市区またぎの連携を知れば便利に使える、都内“公認”シェアサイクル
2019年6月20日 08:15
シェアサイクルを業者と一体になって推進する自治体が増え、言わば“公認”のシェアサイクルが活発な状況だ。そこで今回は、東京都内の市区町村が推進、推奨しているシェアサイクルについて、市区町村をまたぐ連携も含めて調査した。なお、島しょ部は除いている。
自治体によって、シェアサイクル、コミュニティサイクル、レンタサイクル、レンタルサイクルなど、様々な言い方をしているが、ここでは固有名詞を除いて、すべて「シェアサイクル」とする。
シェアサイクルは、各地で展開している事業者が運営しているものから、街の自転車屋が運営しているものまで大小様々あるが、ここで紹介するのは、自治体が主導して推進している、もしくは広報などでオススメをしている、“公認”のシェアサイクルとする。
今どきのシェアサイクルは、借りたポート(駐輪場)に返す必要はなく、連携している他のポートでの返却が可能なところが多い。例えば、A地点からB地点へ移動し、A地点には戻る予定がない場合、A地点付近のポートで自転車を借り、B地点付近のポートで返却するという使い方ができる。
これを、借りた市区町村内のみで展開しているシェアサイクルもあれば、他の市区町村のポートでの返却に対応しているものもあるので、これを把握しておけば、より便利に利用できるだろう。
山手線内を中心に11区で展開するドコモバイクシェア
推進自治体:千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、目黒区、品川区、文京区、江東区、大田区、練馬区
ドコモバイクシェアのシェアサイクルサービス名は「bike share service」となっており、さらに区ごとに「○○区 コミュニティサイクル」(千代田区、中央区、渋谷区、江東区、大田区、練馬区)、「○○区 自転車シェアリング」(港区、新宿区、目黒区、文京区、練馬区)、「○○区 シェアサイクル」(品川区、練馬区)と呼称が統一されていないため、連携されている感じが伝わりづらいが、いずれもドコモバイクシェアが実施しており、これを区や東京都も公式サイトにおいて紹介している。赤い自転車が目印だ。
このうち、練馬区を除く10区においては「東京自転車シェアリング」として連携。区内のポートであれば返却場所が自由なだけではなく、連携している他の区のポートでの返却も可能。例えば新宿区内で借りて、渋谷区内で返却することができる。
また、会員登録に関しても、10区のどこかで登録、例えば新宿区で登録すれば、渋谷区 コミュニティサイクルでも改めて会員登録することなく利用できる。
練馬区のみ、現状では区内で借りた自転車は区内で返却する必要があり、他の区で借りた自転車を練馬区で返却することもできない。さらに、他で会員登録している場合も、練馬区で利用する場合は別途会員登録が必要となっている。
料金プランは1回会員、月額会員、1日パスの3つ。1回会員は月額はかからず、借りるごとに都度最初の30分150円、その後30分ごとに100円。月額会員は月額基本料2,000円で、最初の30分は無料、その後30分ごとに100円。1日パスは当日23時59分まで利用できるプランで1,500円から。料金は練馬区も同様。24時間利用可能。
bike share service(外部リンク)
東京自転車シェアリング(外部リンク)
練馬区シェアサイクル(外部リンク)
東京都環境局 自転車シェアリング(外部リンク)
東京市部との連携が多いHELLO CYCLING系
推進自治体:台東区、調布市、府中市、国分寺市、国立市、稲城市、東村山市、町田市
HELLO CYCLING“系”としているのは、HELLO CYCLINGのプラットフォームに複数の企業が参加しているため。ここで関連するのは「のりすけ」(調布市、府中市、国分寺市、国立市、稲城市)、「ecobike」(町田市)。台東区と東村山市はHELLO CYCLING。
調布市より「府中市、稲城市、国分寺市など、近隣各市のステーションへ乗り入れできます」とアナウンスされており、他市との相互乗り入れもメリットの1つとしてアピールしている。のりすけ、ecobike、HELLO CYCLINGなど、参加企業は異なっていても、HELLO CYCLING系であれば、返却するポートは不問。
さらにHELLO CYCLINGは、自治体と連携の有無に関わらず、23区内でも展開しており、例えば調布市ののりすけで借りた自転車を、中野区のHELLO CYCLINGで返却することもできる。そして、一部制限は設けられているものの、県をまたいだ乗り入れも可能だ。
台東区では、HELLO CYCLINGが整備しているポートと、新たに区有施設の一部に整備したポートを活用した実証実験が、3月31日まで行なわれていた。実証実験終了後も、台東区内のHELLO CYCLING系のポートが撤去されたわけではなく、引き続き利用できる。
なお、台東区と東村山市ではHELLO CYCLING以外のシャアサイクル事業も実施。詳しくはこの後の「単独でシェアサイクルを実施している自治体」にて紹介する。
HELLO CYCLING参加企業の中で東京都内で展開しているのは、シェアペダル、のりすけ、ecobike、ダイチャリ。
都心部での利用料金は、15分60円、1日1,000円。ただし、金額設定は自転車に紐付いており、他県からの乗り入れられた自転車では、異なる料金形態となる場合がある。24時間利用可能のポートが多いが、ポートが設置されたテナントによっては営業時間外は利用できない。
中央線の駅チカに設置されているSuicle
推進自治体:武蔵野市、小金井市
Suicle(スイクル)は、JR中央線の東小金井駅、武蔵境駅、武蔵小金井駅、国立駅の徒歩2分の場所にポートがある。つまり、武蔵野市、小金井市のほか、国立市にも設置されている。広報などでSuicleを紹介しているのが武蔵野市、小金井市のみだったため、推進自治体はこの2市とした。
借りたポートとは別のポートで返却可能。運営会社としてJR東日本企画が関わっていることもあり、登録・支払いは、現金やクレジットカードのほか、Suicaにも対応している。
料金プランは一時利用、ビジター利用、定期利用の3つ。一時利用は月額はかからず、借りるごとに都度最初の1時間100円、その後1時間ごとに100円で1日の上限は500円。ビジター利用はWeb登録不要で1日(当日23:59まで)500円。定期利用は月額2,500円で、登録後1カ月間何度でも利用できる。ただし1回の利用上限は最大120時間。24時間利用可能。
単独でシェアサイクルを実施している自治体
台東区レンタサイクル
台東区では、隅田公園、新御徒町駅、仲御徒町駅、つくばエクスプレス浅草駅南の4カ所の自転車駐車場でシェアサイクル事業を実施。借りたポートと別のポートで返却可能。
料金プランは4時間貸し、当日貸し(貸出日の20:30までに返却)、3日貸し(最大72時間)、7日貸し(最大168時間)の4つ。4時間貸しは200円で、延滞料は当日100円、翌日以降は1日300円。当日貸しは300円、3日貸しは600円、7日貸しは1,200円で、延滞料はいずれも1日300円。貸出受付は午前6時から午後8時、返却受付は午前6時から午後8時30分。
世田谷区「がやリン」
世田谷区では、三軒茶屋中央、三軒茶屋北、桜新町、等々力、桜上水南、経堂駅前、成城学園前の7カ所の自転車駐車場でシェアサイクル事業を実施。借りたポートと別のポートで返却可能。
普通自転車と電動アシスト自転車を用意。料金は、普通自転車が保証金500円、1日200円、電動アシスト自転車が保証金3,500円で、1日300円。普通自転車では、一般2,000円、学生1,700円の定期プランも用意している。
桜上水南、経堂駅前、三軒茶屋中央、桜新町の普通タイプ自転車は24時間利用可能、電動アシスト自転車は1日利用の貸出は午前7時から午後7時。等々力のみ普通、電動ともに貸出は午前7時から午後8時まで。返却はいずれも24時間対応。三軒茶屋北、成城学園前は普通自転車のみで、1日利用の場合、午前7時から午後6時。
足立区「あだちゃり」
足立区では、竹の塚西、大師前、舎人公園駅の3カ所の自転車駐車場でシェアサイクル事業を実施。借りたポートと別のポートで返却可能。
料金は、1日利用で1回200円。平日は、午前6時30分から午後8時、日曜・祝日は竹の塚西が午前8時から午後8時、大師前と舎人公園駅が午前8時30分から午後8時で貸出受付は午前8時30分から午後0時30分まで。
江戸川区「eサイクル」
江戸川区では、葛西駅西口、西葛西駅南口、葛西臨海公園駅東、一之江駅西口、船堀駅中央、平井駅北口、小岩駅西一号、京成小岩駅北二号、篠崎駅西口、瑞江駅南口、東大島駅の11カ所の自転車駐車場でシェアサイクル事業を実施。借りたポートと別のポートで返却可能。
普通自転車と電動アシスト自転車を用意。料金は、普通自転車が24時間210円、電動アシスト自転車が24時間330円。時間内であれば、貸出及び返却を繰り返すことができる。1カ月2,060円、3カ月6,170円の定期プランも用意している。
受付時間は午前4時30分から翌午前1時、小岩駅・平井駅は翌午前1時30分まで。
東村山市レンタサイクル
東村山市では、東村山駅西口地下、久米川駅北口地下、秋津駅第1の3カ所の駐輪場でレンタサイクルを行なっている。このうち東村山駅と久米川駅は相互乗り入れが可能だが、秋津駅は相互乗り入れ対象外。
市営駐輪場で運営しているレンタサイクルは、駐輪場指定管理者である「サイカパーキング」の事業。HELLO CYCLING(サイクルスポット東村山店前)とは異なる。
料金は、1日(0時から23時59分まで)200円。
東村山市レンタサイクル(外部リンク)
福生市「たっけー☆☆サイクル」
福生市では、福生駅西口、牛浜駅東口、拝島駅北口、福祉センターの4カ所の「たっ☆クルポート」でシェアサイクル事業を実施。借りたポートと別のポートで返却可能。
登録料・会費無料の会員登録をすれば、3時間までは15分ごと50円(利用最初の30分は無料)、6時間まで500円、9時間まで1,000円、12時間まで2,000円、24時間まで3,500円。会員登録しない場合は3時間まで500円、延長料金15分ごと50円。
営業時間は午前10時から午後6時で、定休日は月曜日と年末年始。
借りた場所でしか返せないシェアサイクルを実施している自治体
立川市、三鷹市、多摩市、日野市、羽村市、瑞穂町でもシェアサイクルを実施しているが、いずれも借りた場所でしか返せない、あるいは1カ所の駐輪場でしか実施していない、いわゆる昔ながらのレンタサイクルスタイルとなっている。
立川レンタサイクル T-BIKE(外部リンク)
三鷹市 サイクルシェア(外部リンク)
多摩市 京王永山駅駐輪場(外部リンク)
羽村市観光協会レンタサイクル(外部リンク)
瑞穂町 レンタサイクル(外部リンク)
なお日野市では、豊田駅前と高幡不動駅南の駐輪場にてレンタサイクルを実施しているが、公式のWebサイトはない。