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d払いやLINE Pay対応のクラウドペイは“共通QRコード”となるか
2019年5月17日 09:20
デジタルガレージを中心としたDGグループが、マルチQRコードソリューション「クラウドペイ」を開発、ドコモの「d払い」に採用される。最大の特徴は、d払いのほか、LINE Payやメルペイ、Alipay、WeChat Payなど多数のサービスにおける店舗掲示QRコードが共通化できるということ。
この発表をうけて、今後のQRコードが共通化されると期待している人も多いようだ。もちろん、各サービスにおけるクラウドペイ導入が進めば、ある程度のQRコード共通化がなされるはずだ。しかし、このクラウドペイの目的は、すべてのQRコードを置き換えるものでなく、小中規模店舗におけるコード決済の導入負荷を下げることだという。
MPM。基本は中小店舗向け
まず、クラウドペイは、店舗に掲示したQRコードを客がスマホのカメラで撮影して決済を行なう「MPM」方式に特化したソリューションだ。MPMは「店舗提示型」「ユーザースキャン」などとも呼ばれるが、基本的にはPOS端末が入れられない小中規模店舗向けのソリューションといえる。
一方、コンビニやスーパーなどチェーン店の多くは、利用者のスマホのコードを店舗側が読み取る「CPM」方式を採用している。大規模店ではPOSシステムとの連携が必要なため、CPMが使われるのが一般的だ。
これまでのd払いはCPMのみだったが、6月末からMPMも開始。それにあわせてクラウドペイが導入された形だ。
これから本格的にd払いの中小規模店舗の開拓を行なうが、店舗からは「複数のQRコード設置は難しい」「契約やサポートが各サービスで別なのはわかりにくい」という声は多いという。そうした課題解決ができるためクラウドペイを採用し、「d払い(クラウドペイ)を入れれば、LINE PayやAlipayにも対応できる」という点を武器に、加盟店獲得を図るようだ。
加盟店手数料は3.24%
手数料を見ても、クラウドペイの位置づけがわかりやすい。
クラウドペイの加盟店手数料は決済手段を問わず、一律3.24%。最近のスマホ決済としては比較的高い水準といえる。
例えば、PayPayは2021年9月30日まで無料(その後は未定)。LINE Payも2.45%(プリントQR、据置端末、LINE Pay店舗用アプリ)とされているが、2021年7月までは無料となっている。メルペイの決済手数料は1.5%だ。
だが、10月からスタートする「キャッシュレス・ポイント還元事業」の対象(3.25%以下)となるギリギリの手数料水準のため、クラウドペイを導入すれば、中小小売店や飲食店もポイント還元の対象になれる。そして、d払いやLINE Payなど、複数の決済サービスと契約しなくても、一括してスマホ決済が導入できるのが特徴だ。
つまり、ある程度手数料はかかるが、契約やサポート、支払いの一本化と、提示QRコードの共通化が図れ、対応決済サービスを増やせる、という点がクラウドペイの強みといえる。
統一QRではない?
なお、QR/バーコードの共通化という点では、統一QRコードとして経済産業省およびキャッシュレス推進協議会が「JPQR」を提案している。今回のクラウドペイのQRコードは「JPQRとは別のもの」だ。
NTTドコモの吉澤和弘社長は、「我々もJPQRを意識・検討しているが、いま特に決まったものはない」と言及。LINE Payの長福久弘COOは、「我々から案内する準備はできていないが、JPQRともう一つの別のものを作るというわけではない」と述べるにとどまった。
基本的には、デジタルガレージによるソリューションと賛同するサービス事業者による連合、というのがクラウドペイの位置づけのようだ。
6月末のd払いのほかは、メルペイが2020年3月に対応予定。LINE PayとWeChat Pay、Alipayの対応時期は未定となっている。デジタルガレージでは、今後もクラウドペイへのQR/バーコード決済サービスの対応を呼びかけていく方針。