小寺信良のシティ・カントリー・シティ

第7回

「足」をレンタルした話。宮崎で役立つシェアサイクルとカーシェア

盲点的存在、シェアサイクル

宮崎で自転車ライフを続けている。すでに南九州地方は5月31日より梅雨入りしているが、梅雨の晴れ間には気温がぐんと上がり、日のあるうちは外でもTシャツ1枚で過ごせる気候となった。自転車移動だと、もはや到着地で汗が引くのを待たねばならないぐらいだ。

とはいえ、降ったりやんだりの天気では日々の通勤を毎回自転車でというわけにも行かず、片道だけバス、ということも起こりうる。そうなったときに便利なのが、シェアサイクルだ。宮崎市内ではPiPPAというサービスが利用できる。

雨予報の日は、通勤渋滞もひどい

シェアサイクルは中国・北京で利用したことがあるが、向こうのシステムは市内のどこに駐輪してもいい。その辺に駐めてある自転車をアプリで解錠し、乗ったあとは適当にそのへんに置いて施錠するだけだ。だがこの方法を日本で展開すると、違法駐輪が問題となる。また乗り捨て箇所が交通拠点に固まることになり、そこに集まった自転車を回収し、あちこちにばらまきなおす作業が必要となる。

一方PiPPAのシステムは、指定の駐輪場に駐めてある自転車を借り出し、目的地付近の別の指定駐輪場に返すという仕組みだ。駐輪場は市内繁華街が多いが、市内の中心部はほぼ網羅している。幸い、うちの近所にも徒歩3分のところに駐輪場があり、会社の近くにも徒歩1分のところに駐輪場があるのを発見した。

宮崎市内繁華街を中心に展開する

指定駐輪場は、自治体や公共性の高い団体が協力しているようだ。例えば公園、市営駐輪場、病院、JAといった施設に元々ある駐輪場の一部が、PiPPA用に提供されている。

シェアサイクル自転車

利用するには、専用アプリにクレジットカードなどからチャージが必要だ。料金は、30分ごとに100円(税抜)。単発で利用することもできるし、月額1,500円払うと、30分以内なら乗り放題、30分を超えると延長料金がかかる。個人的には毎日利用するほどでもないので、単発で利用している。

自転車は、後輪のところにロックがあり、スマホでQRコードを読み込ませると解錠する。ロックには電源が必要だが、ソーラーパネルが付いており、それで充電しているようだ。

ソーラーパネル付きのロック機構

自転車自体は頑丈に作られており、車体はかなり重い。前カゴがあるので、ちょっとした買い物や持って来たカバンを入れて走行することはできる。タイヤはエアレスチューブになっており、クッション性が低い。サドルは比較的柔らか目だが、それでも車道から歩道への段差は腰にキツいのが欠点だ。ギヤ比はそれほど高くなく、変速機もない。イメージとしては5段変速のうち、2から3ぐらいと思っていただければいいだろう。こうした部分は、中国のシェアサイクルの作りとほぼ同じだ。

乗り終わるとカロリー計算までしてくれるのも、実は中国のサービスと同じ

これまで4回ほど利用しているが、都合よく拠点から拠点への移動で済む場合は、ちょっとした足として便利だ。特に地方は通勤・通学時のタイミングを逃すと、急にバスが1時間に1本ぐらいに激減してしまうので、その間を繋ぐものとして活用できる。

最も手軽なレンタカー「カーシェアリング」

レンタルついでに、カーシェアリングも申し込んでみた。宮崎市ではタイムズがカーシェアリングを展開しており、出張者の足として活用されているようだ。これは、タイムズが営む駐車場の一角にレンタカーが置いてあり、スマホで予約して利用するというシステムである。

タイムズ駐車場の一角にカーシェアリング用の車が置いてある

普通レンタカーを借りる場合、事前にネットで予約をしても、結局は現場へ行って書類を記入する事になる。また車体に傷がないかを点検したり、保険加入を勧められたり、ガソリンの入れ方のレクチャーを受けたりと、段取りが多い。地方では飛行機が到着するたびに大量の人がレンタカーを借り出すため、レンタカーにも手続き渋滞が発生する。

タイムズのカーシェアリングは、事前に会員手続きをしてカードを受け取っておく必要があるが、それ以降はスマホで予約して、空いていれば手続きなしですぐ乗車できる。価格はベーシック料金が15分206円。15分単位での清算となる。2時間で済む用事なら、1,648円。タクシーを利用するより安いだろう。パックメニューは6時間で4,020円など、色々なパターンがある。

どこにどんな車があるか、アプリで把握できる

月額基本料金は1,030円だが、それはそのまま無料利用料金として充填される。まったく使わなければ1,030円取られるだけだが、利用すれば1時間15分までは事実上月額基本料だけ、という事である。

会員カードをタッチすると、車のドアが解錠される。車のキーは車の中にある

カーシェアリングのいいところは、ガソリン代も料金に含まれるところだ。つまり、本当に乗って返すだけでいい。長距離の移動でも、トータルでレンタカーより全然安い。逆に、車内にある専用カードで給油をすると、利用に貢献したということで、15分の料金が割引になる。給油に水洗い洗車まですれば、30分割引だ。

先日は初めて6時間パックを利用してみた。会社のレクレーションで、イチゴ狩りに行ったのだが、現地集合・現地解散だったのだ。場所はえびの高原という、宮崎市内から車で2時間ほど行ったところである。これだけ長距離運転しても、ガソリン代不要で4,020円だ。距離を考えると、かなり安い。

えびの高原までイチゴ狩り

首都圏では、駐車場代も含めた車の維持費はかなり高額になる。週末しか乗らないのなら、年額で考えたらカーシェアリングがお得と判断する人は多い。一方地方では駐車場代は問題にならないが、走行距離が長いため、ガソリン代のほうでお得になる。自宅に車があっても、長距離ドライブの時はカーシェアリングを使ったほうがお得、ということもあり得る。

筆者の車は今埼玉の自宅の方に置いてあるが、筆者が居なければ誰も乗らないので、宮崎に持ってこようかと考えている。そのかわり、時折帰る埼玉のほうでカーシェアリングを利用するというのが、バランスが良さそうだ。

小寺 信良

テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「難しい話を簡単に、簡単な話を難しく」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンテンツのフィールドで幅広く執筆を行なう。メールマガジン「小寺・西田のマンデーランチビュッフェ」( http://yakan-hiko.com/kodera.html )も好評配信中。