いつモノコト

小学生に「e-bike」購入 高かったけどプライスレス

子ども向けe-bike「XEALT SJF」

6月に発売された、パナソニックの子ども向けe-bike「XEALT SJF(ゼオルト エスジェイエフ)」を購入しました。春に小学3年生になった子どもの普段の足として活躍しています。

最初にお断りしておくと、筆者が「XEALT SJF」を購入した理由はあくまでも「街乗り」用の日常の足として使うことで、e-bikeとしてその本領を発揮するような、長距離のサイクリングや山道の走行など、タフな用途で走行することが目的ではありません。もう少し子どもが少し慣れてきたらそういう用途にも……と思ってはいるのですが、ひとまずは日常で感じていた不便を解消するための足として導入しました。

小3の子ども用に購入

道路交通法では、子ども乗せ自転車に乗せることができるのは小学校入学前の幼児までと定められています。子どもが小学生になり、親の電動アシスト自転車に乗せることができなくなりました。

よって、小学生になった子どもと一緒に移動する際に、親はこれまでと同様に電動アシスト自転車で、子どもはノーマルの自転車の組み合わせは、上り坂を含むルートやある程度の距離がある場合に、小学生の子どもが同行するのを渋る機会が増えたのです。特に、距離そのものよりも上り坂がツライ。と訴えてくる機会が多くありました。

ノーマルタイプの自転車では移動が難しくなってきた(写真は4歳前後)

習い事への移動や週末のお出かけなどの日常の移動が難しくなる課題を解決するには、子どもが一人で快適に運転できる自転車が必要だな、と考えてはいたのですが、「じゃあ、ズバリどんな自転車を……?」という答えが見つからない中、2024年春に開催された自転車関連のイベントで、パナソニックの子ども向けe-bikeと出会いました。これが、今回購入した「XEALT SJF」です。

2024年春に開催された自転車関連のイベント。パナソニック「XEALT SJF」が展示されていた

「XEALT SJF」のメーカー推奨の身長は135cm~150cm。小学校3年生になった長男は同年齢の男子として特別大きくも小さくもなく、春の時点で推奨身長の下限にギリギリ達しているかいないか。

ですが、身体は徐々に大きくなっていくので、購入時点でちょっと身長が足りなくても大丈夫だろう。そう考えて購入に踏み切ることにしました。実際に自転車が発売されたのは6月末で、この時点で身長は132cm程度でしたが、11月現在は135cmを超えています。

子どもが乗る電動アシスト自転車という意味では、小径タイプの電動アシスト自転車も選択肢にはありましたが、「XEALT SJF」は明確に「子ども向け」の電動アシスト自転車として販売。

さらに、既に親の自転車として導入していた電動アシスト自転車がパナソニック製のため充電器が共用できる、自転車のバッテリーからUSB出力でスマートフォンなどを充電できるアダプターも使い回しができるため、既存の環境と親和性が高かった。という点も、購入を後押ししたポイントです。

USB出力アダプターなども使い回しできる ※バッテリーは親が乗る自転車で使っているもの

片道5km、上り坂も難なく走行

「XEALT SJF」の販売価格は約17万円で、「街乗り」用の子どもの足としてはかなり悩んだところですが、数年後に本人が乗らなくなったとしても、兄弟に「お下がり」することも含めて6年間使うとすれば、1カ月あたりのコストが2,300円、1日換算で約75円です。

本当に6年間乗るか先のことは不透明ですが、子どもが公共交通機関を利用する際の初乗り金額と同じか安いくらいで、いつでも自由に使える足になることを考えて購入を決断しました。

子どもが「XEALT SJF」に乗ってからは、普段よりもちょっと遠い片道5kmぐらいの距離を走ることになっても文句を言わずに出発するようになっただけでなく、上り坂があるルートでも難なく後を着いてきます。

一緒に出かける際に先導しながら、バックミラー越しに子どもがちゃんとついてきているかを確認すると、予想していたよりもずっと近くに居ることが増え、電動アシストの力を感じています。

象徴的なのは、それまでは「坂があるから行きたくない」という理由で、誘っても行くのを渋っていた片道約4kmの距離の公園まで「行きたい!」と、自ら言い出すようになったこと。自分の意思で動ける範囲が広がったことは、本人にとっても家族にとってもプライスレスです。片道10kmを超えるような距離を走ったことはまだありませんが、おそらく誘ったらついてきてくれるかな? という手応えはあります。

一方、法律に則り適切に設計・製造されている電動アシスト自転車は、時速24kmを超えた場合はアシストを停止します。また、ペダルを漕ぐ力に対するアシスト比率も定められており、いきなり急激にスピードが上がったり、最高速度が予期せずに速くなってしまうことはありません。運転者が適切に注意をしていれば、過度な心配は不要です。乗り始めた当初は、アシストされることに慣れないそぶりも見せましたが、少し練習すればすぐに慣れて安定した走行ができています。

そのせいか、電動アシストのパワーが強すぎることで転倒や、事故に繋がりかねないヒヤリハットはほぼありません。ただし、これまで乗っていた自転車と比べて車体が大きくなった分だけ取り回しには苦労するようで、駐輪場への出し入れなどで細かい切り返しが必要になる際などは、親の手助けが必要です。

ほかにも、電動アシスト自転車の多くは、アシストのモードに弱いアシスト、ノーマルアシスト、強いアシスト(パワー)などの3段階の調節ができるタイプも多いですが、「XEALT SJF」はアシストをオンにするのみで、その強さについては自動的に調整がされます。

子どもが細かいアシスト関連の設定を気にすることなく、運転に集中しやすい設計になっていると考えれば、「子どもが乗る」e-bikeとして順当に感じます。また、電動アシストをオンにすれば常にライトが点灯する仕様なのも、日没が早くなった今の季節、うっかりライトの付け忘れを防げるありがたい仕様です。

電動アシストはオン/オフの切り替えのみ

ただ、残念なのは東京都心部などの道路状況です。ハード的には「自転車専用通行帯」が整備されていたとしても、コンビニへの買い物などの目的で自動車が駐車していることも多くあり、そうした車両を避けて走行する必要があるなど、自転車にとって走りやすい環境が整っているとは言い難い状況です。

結局、速度を落として歩道を走行せざるを得ない状況が多く、e-bikeの本来の性能を十分に発揮できないのは無念を感じます。

自転車専用通行帯、自動車が駐車しているケースが多い
島田 純