いつモノコト

高回転で“低トルク” パナソニックの充電ミニドライバーがしっくりきた

パナソニック「充電ミニドライバー EZ1D11」

パナソニックから販売されている「充電ミニドライバー EZ1D11」を買ってみたところ、なかなかよい塩梅だったので紹介してみたいと思います。価格はAmazon.co.jpで6,273円、家電量販店では6,300円前後で販売されています。

私は同種の製品として、すでにベッセルの「220USB-P1」を使っています。このモデルはUSB Type-Cで充電できますし、馴染みのあるベッセルのドライバーと同じ形をしていて、気に入って使っています。

ベッセルの「220USB-P1」(左)とパナソニックの「EZ1D11」(右)

私が使う用途や対象は、小型の電化製品がメインです。電子工作キットを作ったり、レトロゲーム機を分解して切れてしまったコイン電池を交換したりとか、対象はさまざまですが、薄いとか小さいとか細いとかの、比較的華奢な部分が多く、どちらかというと慎重な作業が求められる内容です。

慎重な作業は手回しで行なうべきですが、例えばケースを開ける場合は小さいネジを何本も回すことになり、電動ドライバーはとても助かる存在です。すべて手回しだと「結構めんどくさいなぁ」とモチベが下がりがちですが、電動ドライバーを入手してからは「さっさと外してしまおう」と、明らかに気軽に作業できるようになりました。短時間で終わることが約束されている、みたいな感覚です。

さて、私がよく作業するような対象に対して、ベッセルの「220USB-P1」は“トルクが強すぎる”と感じるケースにチラホラと出くわすようになりました。小さなネジだったり、ネジ穴が細く基材がプラスチックだったりと要因はさまざまですが、最後まで回してしまうと締め付け過ぎるということがに起こるのです。対象をちゃんと固定していないと、対象物のほうがグルンと回転してしまうこともあります。これはベッセルの製品が悪いわけではなく、私の用途とのミスマッチや、使い方の問題ですね。

そこでもっと、自分がやりがちな精密機器の作業に向いたものがないかと、ほかのメーカーの小型電動ドライバーを調べてみたのですが、パナソニックの「EZ1D11」が丁度よさそうということに気が付きました。

ベッセルの「220USB-P1」は回転数を毎分280回転、340回転、400回転の3段階から選べて、最も低い回転数ではトルクが1.2N・mという仕様です。対してパナソニックの「EZ1D11」は、回転数を選べないものの、毎分850回転とかなり高速です。

パッケージ
特徴など
パッケージ同梱物
充電はUSB-Cです

注目なのは、トルクが0.4N・mと低めに設定されている点です。パナソニックは「小ねじ締めにぴったりのトルクとスピードを追求」と案内しており、この「高回転・低トルク」は狙った仕様ということですね。

またブレーキ機能も搭載されており、スイッチから指を離すとピタッと回転が止まります。これにより、少しだけ回す微調整が行ないやすくなっています。

こうした特徴から、ネジ送りは高回転ですばやくすませつつ、ドライバーの回転が止まるまで回しても、対象を傷めるほどのトルクはかかっていない、という運用を小さなネジを使う作業でも実現できます。最後の本締めは手回しですが、遊びの少ないロック機構があるので、スムーズに移行できます。

操作スイッチ部分はベッセルの製品と設計思想が違い、正回転・逆回転で独立したプッシュスイッチを採用しています。それぞれ2段階に押し込める仕様で、ポチッ、ポチッと明確なクリック感があります。最初の半押しはLED点灯モードで、回転はせず、指を離すとLEDもすぐに消えます。LEDの輝度は高く、暗い場所なら周囲の確認に使えるレベルです。

操作スイッチの違い。ベッセルの「220USB-P1」(上)とパナソニックの「EZ1D11」(下)
LEDは高輝度タイプです

パナソニックの充電ミニドライバーは、従来モデルとして「EZ7412」がラインナップされていたのですが、こちらは毎分230回転、トルクは1N・mという仕様です。2023年3月に発売された後継の「EZ1D11」は、回転数を大幅に上げながらトルクは低くして、ブレーキ機能を搭載するなど、より精密な作業を意識した内容になっています。私のように、締付けトルクはあまり必要ないという作業が多い人は、チェックしてみてはいかがでしょうか。

太田 亮三