いつモノコト

月初めにギガが尽きた。povoの「データ使い放題」に救われた

3月に10日ほど入院をしたのですが、早々にデータ通信量が枯渇してしまい、酷い目にあいました。筆者はこれまでY!mobileの「スマホベーシックプランM」を使っていて、データ通信量の上限は13GBでしたが、入院3日目には完全に使い切り、その後はいわゆる「低速モード」で生きて行かざるを得ませんでした。

通信インフラが発達した昨今ですが、筆者が通う複数の病院内でフリーのWi-Fiスポットというものを見かけたことがありません。一応、職員用のWi-Fiはあるようで、あちこちにメッシュWi-Fiの端末が設置してあるのは目にします。しかし、来院する患者用となると、みたことがありません。

今回入院した病院も、残念ながら患者向けのWi-Fi環境はなく、エンタメ装備はテレビのみ。しかも、個室でない場合は有料のテレビカードを購入して視聴するかたちになります。

話が逸れますが、筆者は1週間くらいの短めの入院なら個室を取りたいので、個室を希望したところ、なぜか「特別室」に案内されました。部屋のアップグレードは閑散期のホテルではよくありますが、病院では初めての経験です。本来なら筆者の希望した金額の倍以上かかる病室ですが通常料金でOKとのこと。政治家とか芸能人が泊まるイメージの部屋ですが、二度と無い機会だと思ってありがたく使わせていただきました。

特別室は、シックな壁のデザインに、自宅にあるテレビよりも巨大な液晶テレビ、応接セット、お風呂、トイレやシンクまであるまさに特別室でした。あまりに立派なので親なり知り合いなりを呼んで接待したかったところでしたが、あいにくコロナで面会は禁止でした。コロナ禍なので食堂の使用も禁止で、食事は部屋に配膳されます。トイレ、風呂も付いているので、入院中は手術の時以外、完全引きこもり可能という贅沢な入院生活でした。

応接セット

病院にフリーWi-Fiはない

しかし、部屋は贅沢でも、やはりWi-Fiはありません。そもそも全国的に見ても患者が使えるフリーWi-Fiが設置されている病院は少数派のようです。

元々筆者はこれまでデータ通信量をひと月で使い切った経験がありませんでした。モバイル端末で動画を視聴する習慣がないため、毎日電車で通勤していたころでも多くてもデータ使用量は1月に5GB以下程度。大抵は2、3GB以下で、まず使い切ることはありませんでした。時々、長期旅行などで、宿泊先で映画を観る、などをすると一気に使用量が増えることがあるくらいです。それでも低速モードまでいったことはありませんでした。

その上、最近ではテレワーク主体のため、そもそもモバイル回線を使う機会がほぼありません。データ使用量は毎月1GB以下、というのも珍しくありませんでした。「ギガがない!」という状況とは縁が無い状況が続いていたのです。

去年の12月は1.06GBしか使っていませんでした

そこに油断が生じます。1週間以上の入院で、モバイルデータ通信だけで生活ができるはずはなかったのです。

筆者は入院中、やることもないのでデータ通信量のことなど気にせず観たかった映画などを適当に視ていたところ、入院3日目にはほぼ使い切り、「低速モード」に突入しました。QOLが一気に下がった瞬間です。それほど延々と映画を観ていた自覚はないのですが、気がつくとほぼ使い切っている状態でした。低速モードでもそれなりにWebはみられますが、やはり無理があります。無理があってもそれしかないのでどうしようもありません。

必要なら追加で容量を買うこともできますが、500MBが500円と、安くはありません。最後の3GBはそもそも「データ増量オプション」の無料分だったので、500MBごとにチャージしていたのですが、これが意外とすぐなくなります。このペースで500円はないな、と思い、有料でのチャージはしませんでした。

仕方が無いので、あまりデータ量が多くない小説などをメインにし、飽きたら部屋の巨大テレビでテレビを観る、という生活になりました。低速モードでも通信は可能なので、普段よりストレスフルではありますが、なんとかしのぎました。

月初めにギガが尽きると悲惨

さらに問題だったのは、データ通信量が枯渇したのは「月初め」だったことです。我ながら無計画でした。速度が戻るまでにほぼ4週間有ります。入院が終わり家に帰ればモバイルデータ通信はあまり使わない、という目算もあったのですが、ちまちまと「誤算」にみまわれました。

3月のデータ通信量は15GBを超えました。筆者のプランの高速データ通信は13GBまでなので2GBも低速モードで通信しています

一番困ったのは、「Yahoo!カーナビ」の動作がとても使用に耐えない状態になってしまったことです。筆者はY!mobileのシェアプランに加入していて、データ専用SIMを複数枚発行してもらって、カーナビ用に購入した8型タブレットで使っています。

そして、シェアプランは、親回線が低速モードになった場合、親回線のプランにかかわらず、データ通信速度が128kbpsになってしまうのです。筆者が入っているプランは旧プランのため、低速モードになると親回線はデータ通信速度が300kbpsになってしまうのですが、シェアプランのSIMはその半分以下になってしまいます。別にシェアプランが悪いわけではありません。筆者が無計画だったのです。

これは結構致命的で、Yahoo!カーナビの地図がなかなか表示されないのはもちろん、筆者が最大のウリの一つだと思っている「音声認識による目的地入力」がタイムアウトしてしまい、まったく動作しませんでした。親回線として使えるスマホ本体の速度ならなんとか動作したので、スマホの小さな画面でナビをすることになりました。使えないよりはマシです。

それ以外にも、外出時にふと調べ物をしようとすると、そのたびに「低速モード」であることを思い知らされます。取材先の場所を確認するのにも時間がかかり、ドライブに行くとGoogle Mapでお店を探すことも多いのですが、親回線の300kbpsでは情報を確認するのも大変です。

基本料ゼロ円24時間330円という救世主「povo2.0」

そんなこんなで、苦しい状況が続き、4月までまだ1週間はあるぞ、という状況の中、編集会議中の雑談で編集長に「povoでいいのでは?」と言われ、はっとしました。そうです、この状況をわりと簡単に解決する方法がはじめからあったのです。サービスの存在は知っていたはずなのに、自分には関係のないサービスだと思っていました。大変遺憾です。

povoは、2.0になってサービスが一新され「基本料ゼロ円」をウリにするKDDIのサービスです。基本料ゼロ円に、希望する「データトッピング」を行なうことで、1GB(7日間)が390円、3GB(30日間)が990円、20GB(30日間)が2,700円など好みのデータ量を組み合わせることで使えるサービスです。トッピングをしなくても月額ゼロ円で契約を継続できますので、必要な時に好きなトッピングを使ってサービスを利用できます。

中でも特に注目したのが「データ使い放題(24時間) 330円」というトッピング。今回のように、普段使っている回線のデータ量がつきてしまった場合、緊急避難的に使う用途にぴったりです。

さらにありがたいのは、物理的なSIMカードが不要な「eSIM」に対応していることです。筆者はiPhone 12 Pro Maxを使っておりeSIMも対応しているのですが、これまで使ったことがありませんでした。

そこで、povo2.0をeSIMとして登録し、いざというときに使う、という運用を考え、使い始めました。基本料はゼロなので、登録しておいて損はありません。

eSIMなら即日開通

開通作業自体は、povo2.0のアプリを入れて登録するだけで簡単です。本人確認も運転免許証やマイナンバーカードがあればスマホで完了してしまいます。平日昼間なら即日開通可能です。

基本料金ゼロ円なので、登録だけしておいて、必要な時だけY!mobileと切替えて使うようにします。筆者は物理的なデータSIMは複数枚使いたいので、シェアプランのあるY!mobileは引き続き使い続ける予定でが、povo2.0にもしっかり出番はあります。

普段はY!mobile、必要な時にpovoに切替えます

直近で入院する予定もありませんし、恐らくこの先、Y!mobileでもデータ量を使い切ることはほとんどないと思います。そのかわり、長期旅行などでは一気にデータを使う可能性があります。そこで活用する予定です。

筆者はよく親を連れて旅行に出かけますが、その際、親が映画などを観たがることが多いのです。といっても1日か2日程度のことなので、データ量を使い切るほどではなかったのですが、その月の利用状況によっては不安もあります。旅行中に低速モードになってしまうと、Yahoo!カーナビも実力を発揮できず、不便を強いられそうです。そんなときに24時間330円のpovo2.0を使えば、ピンポイントでデータ使用量を軽減できます。旅行中、例えば2日分で660円なら、Y!mobileの500MB/500円よりも遙かにオトクで実用的です。宿泊費の一部だと思えば大した負担にも感じません。

もし、今回のように10日間入院だったとしても、3,300円でネットが使い放題です。入院という生活が極端に制限される状況で、この値段は高いとは思いません。しかもeSIM対応なので、手元にある運転免許証と合わせれば入院中でも手続ができたはずなのが非常に悔やまれます。

また、最近は宿泊施設でもWi-Fiが設置されているところは増えましたが、実際に使ってみると速度が出なかったり、Wi-Fi端末が遠く、電波を拾えないということはよくあります。特に、ワーケーションなどで宿泊する場合、Wi-Fiが使えないと目も当てられません。そうした時の保険としても気軽に使えるのが助かります。

ただ、HPには「一定期間内に大量のデータ通信のご利用があった場合、混雑する時間帯の通信速度を制限します」とありますので、制限がかかる可能性があることは気にとめておきたいところです。

普段はY!mobile、いざとなったらpovo

筆者は現在、Y!mobileの料金プランを「シンプルM」に切替えました。これまで、データ通信量を使い切ることはほぼないことから、旧プランを惰性で使い続けていたのですが、シンプルMでは万が一低速モードになったとしても、通信速度が1Mbpsになることから、従来の300Mbpsよりはかなりマシになると思われるからです。

しかし、いざというときにpovo2.0が使えるというのは魅力的なメリットです。シンプルMでは月15GBまで使えるのでまず使い切らないとは思うのですが、絶対とはいえません。データを使い切らないか不安を覚えながら使うよりは、ピンポイントで大量のデータを使いたいときは、24時間無制限のほうが気分良く使えます。サービスの発表当初は自分には関係の無いサービスだと思っていたのを反省しています。

清宮信志