ミニレビュー

シャオミの3980円スマートウォッチを試す もうこれで十分かも

シャオミ「Redmi Watch 5 Active」

スマートウォッチと聞いて、いくらぐらいの値段を想像するでしょうか? 12万円を超える「AppleWatch Ultra 2」のような高級品もあれば、以前に紹介した3COINSの「デバイスバンド」のように3,000円で買える製品もありますが、一般的には2万円から3万円ぐらいの価格帯をイメージするかと思われます。

今回は、3,980円のスマートウォッチ、シャオミ「Redmi Watch 5 Active」をレビュー。価格帯的には、3COINSの「デバイスバンド」に近いですが、高性能な製品を圧倒的低価格で投入してきたシャオミだけに気になる所です。

広々して見やすい2型液晶

Redmi Watch 5 Activeは2型の液晶ディスプレイを搭載。スマートウォッチの世界では1.7型ぐらいで大画面を謳っており、大手メーカーの製品としては最大クラスです。同時発売された「Redmi Watch 5 Lite」(6,480円)の1.96型よりもわずかに大きいです。

ちなみに、ActiveとLiteのどちらが上位モデルか、名前だけでは分かりにくいですが、Liteはディスプレイが有機ELでGPSを搭載し、本体もActiveよりもスリムかつ軽量。機能ではなくて重量が「Lite」というわけですね。

とにもかくにも、2型画面の視認性はかなり良いです。とくに老眼が進んでいる筆者にはありがたいですね。もちろん発色やコントラストなどは有機ELディスプレイに劣りますが、比較しなければ分からない人も多いでしょう。ベゼルはそれほど細くありませんが、黒基調の画面を設定しておけば気になりません。タッチ操作も、機敏に反応しストレスはありません。大画面も相まって、操作性は高いです。

デフォルトのフェイス(時計画面)。大画面かつ数字が大きくて見やすい

ケースは樹脂製ですが、メタル調のコーティングがなされています。つや消しのアルミのような見た目&質感です。高級感はありませんが、安っぽくはない感じです。大画面なので、腕に装着したときの存在感はあります。とはいえ、ケースの形状がスクエアで、リューズなどの突起もないので、手首を曲げたときに当たることもありません。

側面。本体はプラスチック製だが、アルミっぽさのあるコーティングが施されている
右側には薄いボタンを装備
裏面はプラスチック。中央のポケモンのボールのような部分が心拍センサー。スピーカーと2つのマイクも内蔵されている
充電ケーブルはマグネット式。専用形状だが、バッテリー駆動時間が長いので外で必要になることはあまりなさそう

付属のバンドは好き嫌いが分かれそうです。装着の際は、腕のサイズに合わせて、横長のポッチを並んだ穴のいずれかにはめ込み、余った部分を輪に通して内側に押し込みます。最初にバンドを輪に通さないので、サイズ合わせの操作が難しくバンドを内側に押し込むのも若干面倒です。頻繁に着脱するには不向きだと感じました。

とはいえ、一般的なバネ棒タイプ(バンド幅22mm)のバンドなので、市販の製品に交換すれば済む話ではあります。価格が安い分、ベルトの交換などでオリジナリティーを加えてみたい。なにせ、AppleWatchの最も安いバンド(6,800円)よりも安いんですから(笑)。

付属バンドはTPU素材。突起を穴にはめてから余った部分を内側に押し込むスタイルで、着脱は多少面倒
フェイスの変更は画面長押しのほか、アプリからだとより多くのフェイスデザインを選択できる

ヘルスケア機能はかなり充実

操作は、基本画面のタッチとスワイプで行ないます。上から下へのスワイプで通知画面が、下から上へのスワイプでコントロールパネルが表示されます。

横へスワイプすると、「天気・睡眠・スポーツ」「心拍数・血中酸素濃度・呼吸エクササイズ・ストレスレベル」「Alexa」「アラーム・タイマー・音楽再生」と画面が切り替わります。サイドのボタンを押すと、全ての機能(アプリ)がアイコンで一覧表示されます。

横へスワイプで、よく使われる機能のアクセス画面が切り替わる
サイドのボタンを押すと、全ての機能(アプリ)を一覧表示。アプリ名が出るリスト表示も可能
下から上へのスワイプでコントロールパネルを表示
通知画面。画面サイズに比例して文字も大きくなるので読みやすい
通知させるアプリはスマホから設定。ここにないアプリは、「その他」を選択することで通知させることができる

機能はかなり豊富で、ワークアウト(フィットネス機能)だけでも140種類以上あり、一般的な運動はもちろん、各種ダンスや格闘技、ゲーム(カードゲーム、ボードゲーム)まで網羅されています。ウォーキングやランニングのマッピング表示は可能ですが、スマホのGPS機能を使用するため、スマホを一緒に持ち運ぶ必要があります。

これは、GPSを内蔵した上位モデル「Redmi Watch 5 Lite」との大きな違いです。スマホを持たずに運動の各種データを記録したい人は、Redmi Watch 5 Liteを選択すべきでしょう。なお、ワークアウト中の時刻確認、音楽再生コントロールも可能です。細かいことですが便利。

フィットネス機能は140種類以上

ヘルスケア系のモニタリング機能は、心拍数、血中酸素濃度、睡眠、ストレスレベルに対応。これも必要にして十分ではないでしょうか。

サイドボタンは長押しでAlexaが起動します。ちょっとした調べ物はもちろん、「5分のタイマー」などと音声で機能を呼び出すことも可能です。このあたりの機能も、スマホとの接続が前提です。

そのほか面白い機能としては、スマホに着信した電話をハンズフリーで受けられる(またはかけられる)通話機能。マイクとスピーカーが内蔵されており、通話時にはノイズキャンセリングが効くようです。LINE通話など電話以外の通話にも対応してくれると、もっと嬉しいんですけどね。

心拍数。推移をグラフ表示する
血中酸素濃度
ストレスレベル
呼吸。画面に合わせて吐いたり吸ったりすることでリラックス状態に誘導する
スマホのカメラのシャッターをリモートで押す機能。集合写真を撮る際などに便利そう
音楽再生コントロール。再生・一時停止・スキップ・音量調整などが可能
天気は複数地点を設定できる

電池は鬼のように持つので常時表示したい

バッテリー駆動時間は、カタログスペックで通常使用モードが最大18日、ヘビーユースモードが最大12日です。実際に100%の状態から丸2日経過した時点で、93%残っていましたから、余裕で18日以上持ちそうです。腕への装着を検知しているのでしょう、寝る際に外した場合は、電池残量が1%も減っていませんでした。

ここまで電池の持ちが良いのであれば、時計を常時表示させたいところですが、常時表示の機能はありません(「Redmi Watch 5 Lite」にはあります)。手首を動かすことで時計を表示する機能は備わっていますが、例えばPCのキーボードを使っている際など、見るだけで時間を確認したいことはあるので、仮にバッテリーの消費が2倍になったとしても個人的には使いたいですね。

丸2日ほど使ったバッテリー残量。推定残り時間も表示される

いや、もうこれで十分でしょう

正直、安い分何か欠点を見つけようと思いながら試用してきましたが、欠点と指摘できるような大きな不満はありませんでした。初めてのスマートウォッチとしてはもちろん、何台もスマートウォッチを使ってきた人にも、搭載がない機能(例えば電子マネー決済やGPS、セルラー機能など)を必要としなければ、おすすめできます。いや、ほとんどの人にはこれで十分でしょう。

とくにおすすめポイントは、2型の大画面。スポーツ用とで極力小さい方が良いという人以外、日常生活では大画面が使いやすいのではないでしょうか。大画面のスマホは、手に余る、重いといったデメリットも感じやすいですが、スマートウォッチは腕に固定されるため、このデメリットはほぼ感じられませんし、高級腕時計に比べたらコンパクトではるかに軽いです。

高級腕時計との比較で言えば、自分のステータスを時計で上げたいような人にはまったく不向きです。ただ、スマートウォッチなので、安そうな時計しているなとも思われないでしょうし、まじまじと他人のスマートウォッチを見て品定めする人も相当な少数派です。まだ、スマートウォッチが数万円すると思われている中、「これ、いくらだと思う?」と人に尋ねるお楽しみも生まれる一品です。

小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>