ミニレビュー
テレビをより楽しくする。新Fire TV Cubeの予想外の進化
2022年10月28日 00:00
アマゾンの「Fire TV Cube」が第3世代にリニューアルし、10月27日から出荷開始された。テレビと連携するストリーミングプレーヤーの定番Fire TVの最上位モデルだが、デザインが一新されたほか、HDMI入力やハンズフリーのアレクサ操作など、テレビ/家電連携機能を強化したユニークな製品になっている。価格は19,980円。
25日の報道向けの説明会の模様を交えながら短時間使用した実機のインプレッションなどをお伝えする。
高級感が大幅に増した「キューブ」
第3世代Fire TV Cubeは、オクタコアプロセッサーにより前世代から20%パワフルとなり、スムーズで速い操作を実現。また、Wi-Fi 6に対応し、安定したストリーミング体験を可能とした。なお、米国ではWi-Fi 6E対応だが日本では未対応となる。
Fire TV Stick 4K Max(6,980円)との大きな違いは、本体にマイクを内蔵し、Alxeaをハンズフリーで操作できること。また、第3世代Cubeでは「HDMI入力端子」を装備し、Blu-ray/DVDプレーヤーやゲーム機を接続して、シームレスにエンターテインメントを楽しめる点も特徴といえる。
HDMI入力は、超解像度技術とアップスケーリング機能を搭載しており、HDMI入力された映像が1080pなどのHD画質であっても、4Kにアップスケーリングしてテレビなどに出力できる。このスケーリング機能はON/OFFをユーザーが切り替えて効果が確認できるようになっている。
入力切り替えもAlexaで音声操作できるので、HDMI入力にDVDプレーヤーを繋いだ場合、「アレクサ、DVDプレーヤーに切り替えて」と呼びかけてできる。テレビのHDMI入力が足りない場合に、1ポートであれば拡張できるので非常に便利だ。
また、本体をファブリックで覆ったデザインも従来モデルとの大きな違い。実機をFire TV Cube(第2世代)と比べてみると、光沢あるプラスチックの第2世代に比べて、インテリアに馴染みやすく、肌触りも優しく高級感がある。また、角もラウンド処理されている点も、安心してリビングに設置しやすくなったポイントだ。
背面にはUSB端子も備えており、Webカメラを接続して、Alexaコミュニケーションでビデオ通話なども可能。また、USBメモリやHDDの画像もFire TV Cubeで再生できる。
ハンズフリーでAlexa。テレビ連携の魅力
マイクを内蔵しており、ハンズフリーでAlexaを呼び出し可能。「アレクサ、テレビをつけて」、「アレクサ、Netflix」を開いてなど、Fire TV Cubeに話しかけて操作できる。Fire TV StickでもAlexaに対応しているが、リモコンのAlexaボタンを押す必要があるが、Fire TV Cubeではハンズフリーで利用できる。、
メニュー画面の操作などはサクサク動き、ストレスは無い。といっても、Fire TV Stick 4K Maxなど、他のFire TVシリーズも非常にレスポンスがよいので、Cubeだからすごく変化したという印象はない。少し違いを感じたのは、Prime Videoの早送り/戻しの追従で、この点はFire TV Cubeで早くなっているように感じる。
また、HDRコンテンツも、Dolby Vision、HDR10、HDR10+に対応し、4K動画も出力できる。Dolby Atmosサウンドもサポートするほか、Echoデバイスのスピーカーから音を出力する事も可能だ。
個人的に魅力に感じたのは、「テレビとの連携」だ。
以前からEchoやスマートホーム機器との連携に対応しているが、音声だけでテレビのチャンネルやボリューム操作が可能になる。
例えば、Prime Videoでドラマを見ている場合でも、「アレクサ、6チャンネルにして」と話しかければ、テレビ放送に切り替わるし、その逆にテレビ放送を見ながら、「アレクサ、Prime Videoを開いて」と呼びかけて切り替えることも可能。
第2世代のFire TV Cubeでもアップデートにより、テレビ連携を強化していたそうだが、この機能は赤外線を使うため、Fire TV StickにはないCubeだけの機能となる。
ただし、テレビとの連携には赤外線を使うため、テレビの赤外線受光部の近くにFire TV Cubeを設置するなど、セットアップにはやや注意が必要だ、Fire TV Cubeをスピーカーから30-60cm離した上で、テレビの赤外線受光部とFire TV Cubeの間に障害物がないことを確認して設置する。なお、IR拡張端子も備えており、赤外線延長ケーブルを使って、扉付きキャビネットの中に入った機器を操作するといったことも可能。
説明会場で、見たFire TV Cubeによる音声でのTVチャンネル操作では、テレビとFire TV Cubeがシームレスに利用できるようになり、とても使いやすそうに見えた。そのため実機を借りて自宅でも試してみたが、自宅のテレビ(REGZA 55X920)では連動動作ができなかった。
セットアップは、画面の指示に従うだけで最適なテレビを選んでくれるはずで、今回も東芝の赤外線コードが選ばれ、電源ON/OFFやボリュームは対応しているのだけれど、Alexaで「チャンネル6にして」といっても設定されていないと言われてしまう。
どうやらリモコンコードが上手く設定できないようで、ほかに用意されている同一メーカーの20個ぐらいのリモコンコードを選んでも動作しなかった。
【更新】(11月6日追記)
その後、「地上デジタル/BS/CS/4K放送のチャンネル設定方法」をの追加設定を行なうことで、音声操作が可能になった。
Fire TVの「設定」-「機器のコントロール」から、「機器の管理」→「機器を追加」→「ライブTV」を選択。住まいの地域を選択し、画面のガイドに沿って設定を進めることで、音声でのチャンネル操作に対応した。
また、セキュリティカメラの「Ring」との連携にも対応。玄関に「Ring Video Doorbell」を接ししている場合、映画の視聴中でも、呼び出しがあるちピクチャーインピクチャーで玄関のカメラが起動し、来客映像をチェックできる。また、Doorbellの場合は、全画面表示に拡大しての会話も行なえる。
新型のリモコン。別売の拡張リモコンにも注目
もうひとつ注目なのが「リモコン」だ。一見すると、いつものFire TVのリモコンだが、チャンネルボタンが追加されており、Prime Videoのライブチャンネル切り替えに利用できる。
なお、リモコンのダイレクトボタンは、Prime Videoと、Netflix、Amazon Music、ABEMAの4つ。今回DAZNが外されているので、DAZNユーザーには少し残念かもしれない。
【訂正】記事初出時にチャンネルボタンは、テレビのチャンネル切り替えが可能と記載しましたが、Prime Videoのライブチャンネルのみの対応となります。お詫びして訂正します。
さらに、11月16日には、ボタンのバックライト機能や、カスタマイズ可能なボタン備えた「Alexa対応音声認識リモコン Pro」も3,980円で発売予定だ。
大きな特徴が、「リモコンを探す」機能。Alexaに「アレクサ、リモコンを探して」と話しかけると、リモコンの内蔵のスピーカーから探知音が鳴り、リモコンの場所を把握できる。EchoなどのAlexaデバイスだけでなく、スマートフォンのAlexaアプリからも探せる。なお、探知音は1種類のみで変更はできない。またリモコンを見つけられるのはBluetoothの通信範囲内(最大10m)とのこと。
また、リモコンのボタンにはバックライトを搭載。暗い場所でリモコンを持ち上げると、バックライトが自動的にオンになり、部屋を暗くしてテレビを見る場合でも、操作しやすくしている。
リモコンのダイレクトボタンは、Prime Video、Netflix、Amazon Music、ABEMAの4つ。さらに、ユーザーがアプリやAlexaコマンドなどを登録できる「カスタムボタン」も2つ備えている。
例えば、YouTubeとDAZNを登録していれば、それらのサービスを1ボタンで呼び出し可能。また、Alexaのコマンドを割り当てて、電気を消したり、定型アクションを呼び出すといった使い方も可能となっている。
ヘッドフォンボタンも備えており、テレビの音声を切り替えたいときはワンボタンで切替可能。登録できるヘッドフォンは、Bluetooth対応のもの。リモコンProの対応機種はFire TV Cube(第2/第3世代)、Fire TV Stick 4K Max、Fire TV Stick 4K(第1/第2/第3世代)、Fire TV(第3世代)。
一見すると地味なFire TV Cubeのアップデートに見えたが、実機を体験してみるとテレビ放送を含めてエンタメコンテンツを楽しむための仕組みが多数強化されており、高級感あるデザインを含めて、充実のアップデートと言える。既存のFire TV Cubeユーザー向けには3,000円のクーポーンも提供しているため、テレビ周りの環境を強化したい人には注目の製品だ。
また、25日にはスマートスピーカー「Echo Studio」の新色グレーシャーホワイトも発売。既存のチャコールも含めて機能をアップグレードし、新たに「空間オーディオ処理技術」に対応した。詳細については、AV Watchでレポートしている。