ミニレビュー
球体になったAmazon Echoと音質向上。スピーカーの“基本”強化
2020年10月24日 09:30
Amazonのスマートスピーカー「Echo」が一新され、10月22日から発売開始されました。
Echoといえば初代以来円筒状の筐体が特徴となっていましたが、第4世代となったEchoは球体デザインに一新されたほか、音質も向上。また、「AZ1ニューラル・エッジ・プロセッサ」なども搭載しているとのこと。
価格は11,980円(税込)で、カラーはチャコール、グレイシャーホワイト、トワイライトブルーの3色。短期間ながらトワイライトブルーの新Echoを音楽機能を中心にテストしました。
印象的な「球体」デザイン
新Echoの外形寸法は144×144×133mm、重量は940g。まさに“球体”のボディで、手に持ってみるとずっしりと重みを感じます。
内部には3.0インチ(76.2mm)のウーファーと2つのツイーターを搭載し、Dolbyステレオサウンドに対応。背面には電源入力のほか、3.5mmの音声入出力を備えており、Alexaアプリで入力/出力を切り替えられます。PCなどをつないで外部スピーカーとしても利用できます。
Amazon Music、Apple Music、Spotify、AWA、dヒッツ、うたパス、Tune Inなどの音楽トリーミング再生に対応。マルチルームミュージック機能を使い、音楽やラジオなどをEchoデバイスにより複数の部屋で同時に再生することも可能です。
また、「AZ1ニューラル・エッジ・プロセッサ」を搭載することで、Alexaにユーザーのリクエストをより早く伝え、Alexaがより早く応答するように働きかける機能も搭載。ただし、現時点では米国のみの対応。今後、日本でも高速化された音声認識機能が提供される予定とのこと。
可愛い系の筐体デザインで、ボディの質感も高級感があって良いのですが、従来の円筒形Echoスピーカーと比べると接地面積を少し広めに取る必要があります。従来機種からの乗換時には注意したいポイントです。
設定も簡単。自宅の環境にEchoが設置してある場合、Alexaアプリの画面の指示に従って操作するだけです。
音質はとても良い。小音量でもバランス良く再生
まずはAmazon MusicとSpotifyで音楽を再生してみました。
Alexaアプリで利用する音楽サービスを選択すれば、あとは「アレクサ、音楽をかけて」と話しかけるだけで再生開始できます。Alexaだけでなく、スマホアプリからの操作ももちろん可能。アプリのほうが選曲は簡単で、曲を選んで出力先にEchoを選ぶだけで、再生/停止、曲スキップなどの制御が可能です。
また、天面のボタンではボリュームや、Alexaのミュート操作に対応。ただし、音楽の再生/停止は、Alexaやアプリを使う必要があります。
音質は良好。低音がすこし強めで、ダンスミュージックなどは気持ちよく決めますし、ボーカルなども音像がしっかりして聞きやすく、とてもバランスの良いスピーカーという印象。また、小型のスピーカーながら、かなり大音量で鳴らせます。
特に印象的なのは、ボリュームを絞った時(小音量時)でも音質が良いこと。ある程度の大出力に対応したスピーカーだと、ボリュームを下げると音に勢いが無く、広がりがなくなってしまうものが多いのですが、第4世代Echoではかなりボリュームを絞っても音楽の迫力が維持され、気持ちよく音楽を楽しめます。特に、机の脇に置いて仕事や作業のBGM的に使うといったシーンによくマッチしそうです。
Amazonによれば、Echoで音楽を聞く時は3mぐらい離れたところがオススメで、最低1.8mとしています。使った感じでは、1m弱でも別段問題はないと感じましたが、近すぎると低音が強めに感じられるかもしれません。
「自動調整機能」も搭載しています。これは、Echoを設置した部屋の音響特性を自動的に分析し、最適なサウンドを再生するために微調整をするというもの。特にアプリなどでの設定の必要はなく、Echoのマイクをオンにしておくだけで利用できます。
試しに、5.5畳の部屋から、20畳のリビングにEchoを移動してみましたが、リビングでは少し音圧が下がり、聞きやすくなったように感じました。ただ、微妙な違いで、Echoから3m以上離れたときの聞こえ方がマイルドかな、ぐらいの印象です。机や床などの設置場所の素材や部屋の広さ、スピーカーとの距離のほうが、音楽の聞こえ方に与える影響は大きいと感じました。
上位モデルのEcho Studioと比較してみると、大音量の時は、Echo Studioのほうが筐体もビビらず、余裕をもって鳴ります。ただ、6-8畳程度の部屋であればEchoでもうるさいぐらいの音量が出せるので、大きな部屋や大音量が必要なければ、Echoで十分だと思います。
なお、Echo Studioは、ハイレゾ対応の「Amazon Music HD」などより高音質な配信サービスに対応するほか、Fire HDと連携し、映画やドラマのDolby Atmos音声も再生できる点も違いとなります。
音質の満足度はかなり高いEchoですが、「ステレオ」対応でありません。なので、ステレオスピーカーできちんと音楽を聞きたいという人のニーズには、“1台では”応えられません。ただし、今回は試せていませんが、もう1台のEcho(第4世代)を追加するとステレオ再生も可能になります。
また、家の全てのEchoスピーカーや、グループ分けした部屋ごとのEchoスピーカーで同じ音楽を鳴らす「マルチルームミュージック」にも対応しています。
細かな機能としては、イコライザーの操作をAlexaの音声操作で行なえます。「アレクサ、低音を最大に設定して」などと話しかけて、低音を強くしたり、弱くしたりといった調整が行なえます。もちろんAlexaアプリでも設定できます。
球体Echoはスピーカーの“基本”を強化
また、毎日のタスクやニュースなどをAlexa経由で入手できるほか、アラーム機能なども搭載。新たに本体上部をタップして、アラームをスヌーズ(一時停止)する機能も搭載しています。
Zigbee対応のスマートホームハブを内蔵。Alexa対応デバイスのコントロールなども従来のEchoシリーズと同様に行なえます。また、温度センサーも内蔵しています。これはAlexaの「定形アクション」で使うもので、指定した温度が外気温より下がると、対応するエアコンの電源を入れる、といった制御に使えます。
Alexaの強化については、AZ1プロセッサによる高速応答への対応が期待されますが、言語ごとに調整が必要で、日本語対応は一定の時間がかかるとのこと。ただ、確実に日本語でも高速応答に対応するはずなので、この点も期待しておきたいところです。
第4世代になったEchoはデザインを一新。これまでのEchoは、音声操作や機器連携など、Alexaを中心に機能の追加を中心にしていましたが、新Echoでは音質などスピーカーとしての基本性能の強化に力を入れてきた印象。スマートスピーカーとして、より使いやすくなってきました。
これまでEchoシリーズを使っていた人はもちろんですが、この2年ほどで、アプリによる設定や機器連携もかなり簡単になってきています。初めてスマートスピーカーを使う人でもフィットしそうです。