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SMBC、Oliveの成功を中小企業に拡大する新金融サービス「Trunk」

SMBCグループは、新たな法人向けのデジタル金融サービス「Trunk(トランク)」を5月から開始する。中小企業を中心に、法人口座とビジネスカード、ファイナンス、経理DX、決済プラットフォーム(stera)を一体提供するもので、個人向けのOliveの成功を中小企業向けに拡大・展開するものとなる。

Trunkは、法人向けのネット口座とビジネスカードを軸に、経理業務の効率化、資金の見える化、資金繰り支援など、おカネ周りのサービスを一体で提供する総合金融サービス。数名から100名規模までの中小企業向けのサービスとして展開し、スマートフォンで法人口座申込が可能で、最短翌日に開設可能。また、会計SaaSなどの周辺サービスへシームレスに接続することができる。

Trunkではアプリから各機能を利用可能

ビジネスカードは、サービス開始当初は、法人代表者向けの「ビジネスオーナーズ」を口座開設と同時に申込み可能。2026年度には、会計SaaSへの連携機能などの機能を搭載した新たなビジネスカードの発行を予定している。

口座開設はWebで申込後、Web面談と審査が行なわれる。インターネットバンキングによる振込等の手数料も業界最低水準として、SMBC宛の振込手数料は無料、他行あては一律145円とした。

また、受領した請求書を撮影するだけで自動的にデータ化・振込予約を行なえる機能や、同じアプリ上で支払期日を繰り延べ可能にするカード決済連携機能なども搭載する。

今後は、「フレキシブル・ファイナンス」機能により複数の資金調達手段を一元的に管理可能にするほか、ダッシュボード機能や補助金サポート機能など、周辺サービスを随時追加していく。

2025年度中には、請求書支払い機能とフレキシブルファイナンス、stera finance連携などに対応予定。2026年度には、新ビジネスカードやデジタルファクタリング、スキップ払い、ファイナンスAgentなどを追加予定。ファイナンスAgentは、最適なタイミングでの資金調達手段を教えるほか、補助金申請のサポートなどでの活用を想定しているという。

Trunkの開発では、ビザ・ワールドワイド・ジャパンやインフキュリオンと協力。Trunkは、顧客の事業を“長い旅”に見立てて、トランクの中の様々な機能をいつでも利用しながら、「旅の友」として使ってほしいとの思いで命名。また、Trunkが持つ、木の幹(胴)という意味から、事業を支える存在を目指すとしている。

新たなマーケットを狙う「Trunk」

三井住友フィナンシャルグループの中島 達CEOは、「日本の企業の約99.7%は中小企業」と大きな市場がある一方で、これまで特に小規模な企業をカバーできていなかったことに言及。また、個人向けのOliveが開始2年で500万口座を達成するなど大きな成長を見せている中で、「このノウハウを使えば中小企業の皆様にも提供できるサービスができるのでは」と考え、Trunkの展開に至ったという。実際には、Olive以前からTrunkの構想はあったものの、結果として誕生したTrunkにはOliveの多くのノウハウや機能が盛り込まれている。

三井住友カード大西 幸彦CEO(左)、三井住友フィナンシャルグループの中島 達CEO(中央)、インフキュリオン丸山 弘毅CEO
Oliveのノウハウを中小企業向けに展開してTrunkを実現

三井住友銀行では、法人営業のほか小規模な事業者向けの融資なども行なっているが、担当営業を付けたり、融資の提案などは、ある程度の規模以上の事業者が中心となっている。10人程度の小規模な会社などは「手つかず」で、地銀などが担ってきた部分になっている。

デジタル・AI・モバイルをキーワードにTrunkを展開することで、「新しいマーケット、新しいビジネスを開拓できる」としており、メガバンクでは初という最短翌営業日での法人口座開設や、ビジネスカードや会計サービス連携などを強みに新規顧客獲得を目指すとした。

特に中小企業では、社長が実質的に経理などを兼ねているケースもあり、請求業務などが滞ることもあるという。そうした企業の悩みに応えるDXサービスとして、Trunkを訴求していく。

ビジネスカードも発行可能で、支払いを遅らせたい場合は、銀行口座からの振込ではなく、カードも選択可能。資金繰り等にあわせた支払手段選択が可能になる点もTrunkの特徴とする。なお、カード振込の手数料は別途徴収予定。

サービス開始当初は、法人代表者向けの「ビジネスオーナーズ」が口座開設と同時に申込み可能になる。2026年度には、会計SaaS連携などの機能を備えた新たなビジネスカードの発行を予定しており、ここでは、新たなAI与信エンジンも導入。新設法人でも発行可能で、最大10億円の利用限度額まで対応する。このAI与信エンジンはパートナー企業とVisaと連携して開発する。

三井住友カードの大西 幸彦CEOは、「日本のキャッシュレスも(普及率40%を超えて)後半戦。後半戦は法人取引でのカード利用が鍵になる。Trunkでは、口座情報と決済情報をシームレスに扱える。銀行とカードが一体になるメリットは大きい」と説明した。

Trunkの事業目標は、3年間で30万口座。「30万口座で、各1,000万円利用とすると、3兆円の預金となる。まずはその辺りが目標」(三井住友フィナンシャルグループ中島CEO)と説明。また、従来の法人口座では融資がビジネスの主軸になっていたが、決済やサービス利用など融資以外のサービスを含めたビジネス強化を図っていく。