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au、全国カバーの衛星通信「Starlink Direct」 当面無料で全50機種対応

KDDIと沖縄セルラーは4月10日、衛星とauスマートフォンを直接接続する通信サービス「au Starlink Direct」の提供を開始した。対応機種は50機種で、auユーザーであれば申し込み不要かつ当面無料で利用できる。

「au Starlink Direct」は、auが保有する既存の周波数帯を利用して、地上基地局を介さずにスマートフォンとStarlink(スターリンク)衛星を直接接続するサービス。空が見える場所であれば、これまで圏外だった地域でもテキストメッセージの送受信や緊急情報の受信が可能となる。

サービス開始時点で対応するのは、衛星モードに対応したAndroidスマートフォンおよびiPhoneの計50機種。通信可能エリアは日本全国47都道府県および領海で、5G/4G LTE圏外のエリアが対象となる。UQ mobile、J:COM MOBILEを含む他キャリア、他社のSIM契約は対象外。接続時には、スマートフォンのアンテナピクトに衛星アイコンまたは文字が表示され、衛星モード中であることが確認できる。

対応機種は、iPhone 14シリーズ、iPhone 15シリーズ、iPhone 16(16e含む)シリーズ、Google Pixel 9シリーズ、Samsung Galaxyシリーズ、シャープ AQUOS Senseシリーズ、ソニー Xperiaシリーズ、Xiaomi、KYOCERA TORQUEなど計50機種。対応機種は順次拡大予定としている。

提供される主な機能は、SMSやiMessage、RCSなどのテキストメッセージの送受信、現在地の位置情報共有、緊急地震速報やJアラートの受信など。Android端末では、GoogleのAIアシスタント「Gemini」による情報検索サポートにも対応。iPhoneでは、KDDIが提供する「シンプルAIチャット」をサポートする。画像・ファイル共有、データ通信、音声通話には非対応。

Gemini in Googleメッセージ(左)、シンプルAIチャット(右)

auは人口カバー率99.9%を達成しているが、日本特有の地形により面積カバー率は約60%にとどまっていた。「au Starlink Direct」の提供により、山間部や離島、海上など面積カバー率の残り約40%でも通信が可能となり、災害時の連絡手段として活用できる。

夏以降にデータ通信も

KDDI 代表取締役社長 CEOの松田浩路氏は、10日に開催した社長就任会見で「au Starlink Direct」も紹介。まずはメッセージサービスや位置情報共有などのサービスから提供し、「50機種、約600万台が対応する」と多数の端末が対応することを披露した。

山間部や海上などauの圏外でもメッセージサービスを利用可能に
災害時に通信サービスがダウンしてもメッセージのやり取りが可能
緊急地震速報(Jアラート)の受信にも対応した
RCSをサポートするメッセージアプリではチャットを介してGeminiに相談が可能。情報の検索なども行なえる
Space Xが打ち上げた新たな衛星コンステレーションを利用
Galaxyの対応機種
Xperiaの対応機種
iPhoneの対応機種
50機種、約600万台が対応
発表した4月10日から利用可能になった

今後は、auブランドの端末・サービスだけでなく、UQ mobile、povoでも利用できるよう検討を進めていく。

「au Starlink Direct」を使ったデータ通信については、2025年の夏以降に対応予定と表明。「是非、ご期待ください」としている。

「au Starlink Direct」を使ったデータ通信は夏以降に対応予定
「au Starlink Direct」利用時のイメージ。「衛星モード」では右側のアンテナピクトが衛星のアイコンになる
RCS対応のメッセージアプリでGeminiに相談しているところ。データ通信に非対応でも、メッセージングサービスを介してGeminiに相談したり情報を検索したりできる
右が「au Starlink Direct」のエリア。山間部のほか、離島への航路なども不通エリアがなくなる