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日本が欧州のAI条約に署名 人権や法の支配を遵守

外務省は、欧州評議会が採択した「人工知能と人権、民主主義及び法の支配に関する欧州評議会枠組条約」に署名したと発表した。

パリで開催された第3回目のAIサミット「AIアクション・サミット」に日本が参加し、署名した。この条約は、人工知能(AI)をテーマにした初めての国際約束。AIシステム・活動について、人権や民主主義、法の支配に合致させることが目的で、締約国には「適当な措置の採用・維持」や「国際協力の奨励」などが定められている。

適用範囲は、公的機関のAI活動(代行の民間を含む)。民間のAI活動の危険性・影響についても条約の規定や適切な措置で対処する。国防に関する事項は対象外とされた。

条約が定めるAI活動に関する原則としては、人間の尊厳を守ることのほか、透明性、平等、プライバシー保護、安全なイノベーションなどが定められている。また国際協力として、有益な関連情報を交換するといった協力体制を構築する。

日本は2022年4月から、欧州評議会のAIに関する委員会にアジア地域で唯一のオブザーバー国として参加し、起草作業に協力してきた。また、2023年5月に開催されたG7広島サミットでは広島AIプロセスをまとめ、安全なAIに関する国際的な取り組みを進めてきた立場。今回の条約は2024年5月に欧州評議会閣僚委員会で採択されていたもので、EU、日本のほか、英米を含む11カ国が署名済み。

なお、AIアクション・サミットでは2月11日(現地時間)の閉幕に合わせて、より広範な、「包括的かつ倫理的、安全なAI」を目指す(法的拘束力のない)共同声明が採択され、日本や中国、インドなどを含む60カ国以上が署名した。一方で、英国と米国は、過度な規制に対する懸念などから共同声明への署名を見送っている。特に米国はAI関連のイノベーションの中心ということもあり、規制を強める欧州との対立構造が改めて浮き彫りになった形。