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IOWN、「レコード大賞」で音声リモートプロダクションを実現

NTT、NTT東日本、TBSの3社は、テレビ番組の制作拠点と撮影現場をIOWNオールフォトニクス・ネットワーク(APN)で接続するリモートプロダクションについて、地上波生放送音楽番組における活用に成功したと発表した。年末の音楽番組「輝く!日本レコード大賞」で採用された。

3社による、映像・音声プロダクションの効率化と高度化に向けたDXの取り組みの一環。APNを活用することで、従来のような中継車や機材、多くのスタッフを派遣することなく、高品質な制作をリモートで行なえる環境の構築を目指す。

今回の取り組みでは、TBSの赤坂スタジオサブ(東京都港区)と、生放送の音楽番組を実施している新国立劇場(東京都新宿区)が、大容量・低遅延・ゆらぎなしといった特徴を持つAPNで接続された。TBSの赤坂スタジオサブに配備されたミキサーなどの音声機器にAPNで接続されることで「音声リモートプロダクション」を実現、現地制作スタッフの人数低減につながったという。

IOWNのAPNの低遅延により、現場の音声を、リアルタイム通信でつないだ赤坂スタジオサブで制作できる環境が実現された。また、ゆらぎなしという特徴から、拠点間の接続に対しPTPの時刻同期信号をネットワーク上に透過させ装置間の継続的な同期が実現された。

これらによる成果として、リモート拠点の音声は64チャンネル分(Dante準拠)のリアルタイム伝送を実現し、リモートプロダクションに成功。従来のネットワークでは難しかった、生放送音楽番組における要求レベルに応えたほか、往復5ms未満の遅延の遠隔の音声プロダクションを実現した。

TBSの音楽番組「輝く!日本レコード大賞」と連携した取り組みでは、(1)生演奏と同タイミングで音声素材の一部を赤坂TBSの制作拠点に伝送、(2)音声調整・制作後に、現地の中継車に再び送り返し、(3)最終プログラムを制作し、生放送の音声プロダクションで、現地の中継車設備とTBSの赤坂スタジオサブ設備の連携がリモートプロダクションとして可能であることが確認された。

今後は、本取り組みでの活用装置や活用技術をふまえた映像・音声制作のフィールド実証を共同で進める方針。映像・音声プロダクションDXの更なる推進により、制作の質の向上、音声制作拠点や撮影現場へのアクセシビリティの確保に貢献するとしている。

また、基盤となったAPNの技術は、放送局各局や各制作拠点に展開する方針で、映像・音声制作業界全体のプロダクションDXを発展させ、制作の効率化と高度化を目指す。