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みずほと楽天カード提携が狙うもの 対面の価値と法人強化
2024年11月14日 21:10
11月13日、楽天グループと楽天カード、みずほフィナンシャルグループは、戦略的な資本業務提携を発表した。楽天グループは、楽天カードの普通株式の14.99%をみずほFGに譲渡し、楽天のエコシステムとみずほFGの各サービスの連携を強化していく。譲渡金額は約1,650億円。
14日には、提携第1弾として「みずほ楽天カード」を12月3日から発行開始すると発表。同日に開催した戦略説明会では、楽天グループ 三木谷 浩史会長とみずほフィナンシャルグループ 木原 正裕社長らがその狙いについて説明した。
みずほFGと楽天グループは、2023年11月に楽天証券ホールディングスとみずほ証券との間で、資産形成・資産運用分野において連携。資産形成・資産運用分野での協業を進めてきた。その成果から、提携を拡大し、ポイントやクレジットカードにおける連携を含めた協業のために、楽天カードでの提携を決めた。
さらに、決済分野における新たなビジネスモデル構築に向け、楽天グループと楽天カードのほか、みずほFG傘下のユーシーカード、オリエントコーポレーションとみずほ銀行、楽天グループ、楽天カードの6社による業務提携契約も締結。両社グループの連携を強化していく。
対面の価値と法人カードという鉱脈 オリコやUCとの重複は?
楽天グループの三木谷 浩史会長は、証券・銀行などの金融事業は、Eコマースとならぶ楽天グループの「柱」であり、そこから1億以上の会員数と70以上のサービスからなる経済圏に発展していると強調。中でもオフライン(対面取引)の拡大については、楽天カードが経済圏の拡大の鍵を握っているとした。2005年のカード発行当初は、1日50枚程度だった発行枚数は、現在は1日1万枚以上のカードを発行しており、発行枚数は3,144万枚、取扱高は21兆円で、「30兆円に手が届くところまできた」と説明。3,000万枚以上、取扱高30兆円、取り扱い高シェア30%(現在は23.9%)の「トリプルスリー」を現在の目標として掲げている。
また、楽天カード傘下には楽天ペイメントがあり、ポイント、カード、コード決済、銀行、モバイル、保険など様々なサービスを経済圏の中に有している。楽天グループ内でのフィンテックの売上は3割を超えており、さらなる拡大を狙う。その中で経済圏の拡大や法人を中心とした顧客基盤の拡大に向け、今回の提携に至ったとする。
みずほフィナンシャルグループの木原 正裕社長は、「デジタルが加速すればするほど、『対面』の価値も出てくる。みずほは対面に強みがあり、デジタルとコマースに強く、日本で一番使いやすいポイント持つ楽天と組むことで、できることがある。証券の提携からもう一段広げて取り組んでいく」と説明する。その第1弾として「みずほ楽天カード」を紹介した。
今回の提携では、みずほFG内でカード事業を持つ、オリコやUCカードなども含まれており、楽天カードとは一部の事業が重複する形だ。木原社長は「オリコは、カード事業だけでなく、審査能力に強みがある。審査にAIを活用し、短時間で簡単に審査ができる。その能力を楽天市場や楽天カードにも活かしていける」という。
UCカードについては、法人カードが強みであり、「楽天市場には多くのサプライヤーさんがいる。そこで法人カードをやっていく」と説明。さらには加盟店開拓やインフラ、オペレーションなどにおいても今回の提携によるシナジーが見込めるとした。
木原社長は、楽天カード、オリコ、UCカードの「棲み分けは可能」としたが、「多少整理は必要。継続すべきものは継続していく」とも語った。なお、銀行窓口での楽天モバイルの販売活動については「三木谷さんは喜ぶかもしれないけど、業法の関係上無理」としている。
楽天グループ三木谷社長は、協業の狙いについて、「まだ取れていない信用創造の機会がある」とオリコとの協力について言及したほか、「これまでの楽天カードに法人カードはなかったが、多くの声をいただいている。ニーズは把握しているので販路を拡大していきたい。楽天ペイメントもあるので、優位性はある」と言及。「(楽天は)オンラインのプレゼンスはあるが、オフラインのリアル市場はまだ全然。対面で話したいという人に対し、まだまだできることがある」と語った。