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ソニーSS、ラスパイとつながる70ドルの「エッジAI搭載カメラ」

Raspberry Pi AIカメラ。Raspberry Piとセットで利用する

9月30日(イギリス時間)、ソニーセミコンダクタソリューションズ(ソニーSS)とRaspberry Pi Ltdは、「Raspberry Pi」対応の低価格エッジAIカメラモジュール「Raspberry Pi AIカメラ」を発表した。販売はRaspberry Piの正規販売代理店経由で行なわれ、希望小売価格は70ドル(約9,900円)。

Raspberry Pi AIカメラはソニーSSのインテリジェントビジョンセンサー「IMX500」を搭載しており、小型のカメラモジュールのみで各種画像認識を行なえる。

IMX500の構造。イメージセンサー用の画素チップと処理用のロジックが直結されているのが特徴

この種のエッジAIカメラには画像認識モデルの転送やデータの管理などの制御に別途コンピュータをつなぐ必要があるが、本製品の場合、シングルボードコンピュータとして広く普及しているRaspberry Piを使えるようになっている。

幅広く普及しているRaspberry Piの上で画像認識ライブラリを活用、コンパクトかつ安価なエッジAIソリューションを構築できるのが大きな特徴だ。

ソニーSSは2023年4月にRaspberry Pi Ltdへ出資し、エッジAI分野での協業を進めてきた。当初から、インテリジェントビジョンセンサーを使う製品での協業を念頭に置いてきたが、本製品はその成果となる。

ソニーSS・システムソリューション事業部 プロダクトマネジメント部 統括部長の辻裕樹氏は、狙いについて以下のように説明する。

「Raspberry Piと弊社のめざす構想は当初から一致していた。Raspberry Piの開発者向けに、シンプルな構成で安価にビジョンAIの開発プラットフォームを提供できるのは、本AIカメラのみと認識している。Raspberry Pi 4やRaspberry Pi Zeroを含めたすべてのRaspberry Piシリーズとの連携ができるため、すでに導入がされているRaspberry Piに新しいセンサーとしてエッジAIを追加するような使い方もできるのは、大きなメリットであると考えている」

なお、ソニーSSはIMX500を含めたインテリジェントビジョンセンサーについてマイクロソフトとも提供している。こちらは「エッジとクラウドを最適に共働させるうえで必要なAzure上の各種サービスを提供する役割を担う」(辻氏)としており、エッジ側に強みを持つRaspberry Piを使ったソリューションとは補完関係にあるという。

主な特長・スペックは以下の通り。

  • センサー:ソニー製 有効約1,230万画素 インテリジェントビジョンセンサー『IMX500』
  • ニューラルネットワークに特化したアクセラレータ(NNA: Neural Network Accelerator)
  • 有効画素数:
     10fps:4,056(H)×3,040(V)
     40fps:2,028(H)×1,520(V)
  • 画素サイズ:1.55µm×1.55µm
  • 視野角(FoV)/フォーカスモード:76度、マニュアルフォーカス/オートフォーカス
  • ニューラルネットワーク用のファームウェア管理を行なうRP2040を内蔵
  • Raspberry Piの全てのモデルと標準ケーブル一本のみで利用可能
  • MobileNetSSDのモデルをプリインストール
  • 「libcamera」ライブラリーを使用