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楽天、第2四半期は全セグメント増収 モバイルも収益改善

楽天グループは9日、2024年度第2四半期決算を発表した。連結売上収益は第2四半期として過去最高の5,373億円(前年同期比8.1%増)で、「インターネットサービス」「フィンテック」「モバイル」の全セグメントにおいて前年同期比で増収となった。

第22四半期のNon-GAAP営業損失は118億円。前年同期比276億円の改善となり、「通期黒字化達成に向けて着実に前進した」とする。売上拡大に加え、国内ECの成長や、海外事業の収益性改善、フィンテックセグメント各事業の好調、楽天モバイルの増収とコスト最適化により損失改善した。

楽天グループの三木谷浩史会長は、冒頭楽天モバイルの契約者数を770万件と言及。「引き続き投資フェーズ」としながらも、楽天モバイル単体のマーケティング前キャッシュフロー(PMCF)は第2四半期に黒字化を達成したという。

堅調なインターネットサービス

楽天市場などのインターネットサービスセグメントは、売上収益が3,039億円(前年同期比3.1%増)、Non-GAAP営業利益は189億円(前年同期比30.3%増)で増収増益。

国内EC流通総額は、前年同期比4.8%減の1.4兆円だが、'23年7月に終了した全国旅行支援や'23年12月の楽天スーパーポイント条件変更などの影響によるもの。「楽天市場」の流通総額成長率は前四半期対比で回復しており、第3四半期も前年のふるさと納税ルール変更の影響で高い前年比ハードルがあるが、第4四半期以降はプラス成長に転じ、2024年通期ではプラス成長を目標とする。

また、国内ECの成長投資ビジネスでも収益性を改善。特に楽天西友ネットスーパーの完全子会社後の収益性改善や、物流事業の運用改善、価格設定適正化が奏功した。

広告事業における第2四半期の売上収益は540億円(前年同期比8.4%増)。海外事業ではデジタルコンテンツを中心に利用者数が堅調に拡大し、収益性が大幅に改善。特に、Rakuten Viberは、テレコム、ビジネスメッセージ、広告などの売上が増加し、売上収益は2022年対比で51.3%増。Rakuten Koboは新型のカラー対応端末の売上好調などで増益。海外4事業の合算営業利益も27億円の改善となり、四半期黒字化を達成した。

なお。ふるさと納税については、総務省が2025年10月以降、寄附に伴うポイント付与を禁止する方針を発表している。楽天グループはこの方針に反対しており、三木谷会長は、ネット署名が2万件以上集まっているとし、「今後も強く撤回を求めていく」と訴えた。

フィンテックもカード・証券・銀行など好調

フィンテックセグメントの売上収益は2,027億円(前年同期比12.0%増)、Non-GAAP営業利益は423億円(前年同期比28.1%増)。各事業で顧客基盤と取扱高が拡大している。

「楽天カード」は、ショッピング取扱高が前年同期比13.9%増の5.9兆円まで拡大し、セグメント全体の増収に寄与。マーケティング費用の最適化などで、二桁増益を達成した。

「楽天銀行」は新規口座獲得が順調で、7月29日時点で1,600万口座を達成。メイン口座化と生活口座化が進展し、単体預金残高は6月末時点で10.9兆円(前年同期比15.3%増)まで拡大した。

「楽天証券」は継続的な顧客基盤の拡大により、過去最高収益を記録。証券総合口座数は6月末時点で1,133万口座(前年同期比22.7%増)。利益についても手数料無料化の直前期を上回り、前四半期対比増収増益を達成した。

「楽天ペイメント」は「楽天ペイ」や「楽天キャッシュ」を中心に取扱高が拡大し増収。同第2四半期のNon-GAAP営業利益は12億円(前年同期比39億円増)となり、第1四半期に引き続き営業黒字化した、

モバイルも収益改善 「さらに最強」を目指す

モバイルセグメントの売上収益は950億円(前年同期比18.6%増)。「楽天モバイル」契約回線数の増加に伴いMNOサービス収益が拡大し、収益性が改善。Non-GAAP営業損失は前年同期比218億円改善の606億円。

楽天モバイル単体では、売上収益は679億円(前年同期比29.9%増)で増収。Non-GAAP営業損失は前年同期比194億円の改善となる595億円。EBITDAは前年同期比226億円の改善となる202億円の赤字。

全契約回線数は8月7日時点で770万回線。BCP回線を除くMNOおよびMVNEを合わせた契約回線数は726万回線。解約率も継続的に逓減しており、第2四半期の調整後MNO解約率は1.04%となった。第2四半期のMNO ARPU(契約者一人あたりの収入)は2,021円で前四半期比+55円で、6月月次のMNO ARPUは2,031円。

楽天モバイルのクロスユース促進効果では、「楽天市場」における一人当たり年間購買額(取扱高)は49.7%増、「楽天トラベル」が12.0%増、「楽天カード」が25.9%増など、グループの流通総額の押し上げに貢献しているという。楽天グループ全体の貢献を含めたARPUは約3,030円と試算し、「2年半前の1,546円から比べると倍増している」(三木谷会長)。

今後は、プラチナバンド(700MHz帯)の商用サービスの開始や、4G・5G自社基地局の継続的な拡充などに取り組む。「回線品質も改善し、ほとんど繋がらないという意見を聞かなくなったが、さらに最強にしていく」(三木谷会長)とした。

楽天モバイルでは若者の支持が高く、契約を伸ばしていることから、若年層を中心に家族プログラムなどを展開。ユーザー獲得を強化していく。

三木谷会長は最後に、NTT法廃止について言及。「国民の通信、国民の人権ともいえる通信を規定している根幹となる重要な法律。180社を上回る通信事業者が反対声明を出しているが、我々もNTT法の堅持を訴えていく」と述べた。