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ドコモ、量子アニーリングで基地局の混雑を2割緩和

NTTドコモは、量子アニーリング技術を活用した量子コンピューティング基盤を開発。通信サービスの最適化に向けて7月から順次全国の基地局へ適用を開始する。

基地局への負荷軽減と着信集中時の混雑緩和を実現する技術。具体的には、利用者の端末へ基地局から送信するページング信号の信号数を削減するもので、量子コンピューターを用いたページング信号を削減するアルゴリズムの開発は世界初。

また、有用性を検証するために、東海、中国、九州エリアの基地局において実証実験を行ない、最大15%のページング信号を削減したことを実証した。これは、着信集中時に現在の約1.2倍多い端末数を接続できることに相当する。

ページング信号とは、モバイル通信における着信時、基地局が端末の所在を把握するために端末に向けて発信する信号。端末から基地局への応答によって、所在の把握が完了する。ページング信号のデータ量は増加傾向にあり、端末からの応答がない場合は、より広い範囲で再送を繰り返す必要がある。さらにスマートウォッチやIoT機器などの普及にともない、ページング信号が増大しており、基地局設備への負荷となっている。

量子コンピューティング技術を活用することで、従来のコンピューターでは求解できない規模のデータ処理を可能とし、ページング信号の削減を実現。具体的には端末がどの基地局で終話・着信したかを記録した大量のログデータからなる統計データをもとに、まとめてページング信号を送る基地局のグループ(トラッキングエリア)の最適化を行なう。

量子コンピューターを活用することで、その特性を活かし、基地局全ての組み合わせに対して同時にページング信号数を予測できるため、膨大な組み合わせの中からより少ないページング信号数で端末を発見するための最適なトラッキングエリアを短時間で割り出すことが可能になる。

これにより、信号数を最小限に抑え、基地局のリソースに余裕をもたせ、着信集中時においても通信に影響がでないよう通信品質の安定性に貢献する。

今後は通信領域だけでなく、ドコモが提供するさまざまな領域のサービスへも展開する予定。