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グーグル、「ハッシュタグ検索」を開始 日本発の“推し”検索

Googleは、Google 検索の新機能として「ハッシュタグ検索」を19日から開始した。例えば、「#神保町グルメ」と検索すると、ソーシャルメディアやYouTube、ブログなどの最新検索結果が表示され、トレンドやニッチな内容などが確認できる。

通常のGoogle 検索では、特定の「キーワード」を検索し、最新の情報や回答を調べられる。例えば、「チョコレート」と検索する場合、チョコレートの作り方や種類、購入先などが結果に表示される。

新たなハッシュタグ検索は、「#チョコレート」と検索すると、ソーシャルメディアやYouTube、オンライン雑誌やブログなどから、最新のコンテンツの検索結果を表示。トレンドやよりニッチな内容を知ることができる。

ソーシャルメディアで人気のテーマや、スポーツなどリアルタイム性の高い話題などで、通常の検索とは異なる発見に繋げるという。例えば、「#韓国コスメ」や「#中目黒グルメ」などでは、最新のコスメの話題や、グルメ情報に関する情報やアップデートを得られる。検索結果を見ると、XやInstagram、TikTokなどの関連コンテンツが表示されるが、対応ソーシャルメディア等の情報は非公開。

「チョコレート」の検索結果はそれほど高頻度では変わらないが、「#チョコレート」は、最新トレンドとして日々更新されるため、トレンド把握や最新ニュースのキャッチアップに役立てられる。

また、結果ページには、トピックをより深掘りできるような関連ハッシュタグの提案も表示。#チョコレートに対して、#麦チョコを表示し、関連情報をさらに調べていくような、検索行動につなげ、人々の「知りたい」に応えるという。

なお、電話番号やプログラミング、カラーコード(Webブラウザなどの色表示指定)など、#(シャープ)を使ったキーワードの通常検索に悪影響を及ぼさないようにする仕組みも導入している。

日本独自のハッシュタグ文化と「推し」検索

なお、ハッシュタグ検索は、すでに一部のユーザー向けに試験提供されていたが、19日からは日本の全てのユーザーに提供開始される。ハッシュタグ検索は、日本で先行してスタートとなり、現状日本語環境のみでの対応となる。

世界中で日本が先行してスタートするのは、日本や韓国など東アジアでのハッシュタグ利用が多く、独自の文化を形成しているほか、日本では自分の興味関心を深堀りしたいという検索ニーズが高いためだという。

Google 検索担当 ゼネラルマネージャーの村上 臣氏は、「日本や韓国では、雑誌やテレビなど、ネットの外でもハッシュタグが表現として使われている。これはかなり独特な状況で、ハッシュタグ自体が定着しており、それが検索ニーズにもつながっていることが見えた」と語る。

村上 臣 Google 検索担当 ゼネラルマネージャー

Googleが行なった世界6カ国の調査では、「検索」に求めるものとして、日本では最新のトレンドや自分の興味関心などを深く知りたい、というニーズが非常に高いという。近年は「推し活」という言葉もあるが、興味関心や趣味についての検索は、シンプルな回答だけでなく、トレンドや“今起きている”も含めて知りたいというニーズが高い。

こうしたニーズは、実際の検索行動にも反映されており、そのニーズに対し、良い体験を届けることを検討した結果「ハッシュタグ検索」が生まれたという。

「私は中国茶推しですが、その中でも『武夷岩茶』が好き。ですが、知っている人は殆どいない。推しってそういうもので、ニッチでその人しか興味がないかもしれないけど、その人にとっては最新情報を何でも知りたい。そういうユーザーが日本で増えている」(村上氏)

また、日本のユーザーはハッシュタグの使い方が独特だという。例えば、日本でしか見られないハッシュタグとして「〇〇好きと繋がりたい」がある。「#写真好きな人と繋がりたい」といったタグは、自己紹介や趣味をアピールして、ネットワークを広げるために使われる。

こうした日本のハッシュタグの独自性に着目し、日本のチームを中心にハッシュタグ検索を開発。検索による「回答」だけでなく、最新・タイムリーでニッチな情報を検索で得られる体験を実現していく。

一方、ハッシュタグ検索が始まることで、従来のキーワード検索を意図したユーザーの混乱を招く可能性はないのだろうか?

村上氏は、「検索は生み出されてから長い時間が経っており、様々な使われ方をしている。ユーザーニーズから検索を捉えると、近年、ニーズ側に多様性と広がりが見られている。ハッシュタグ検索は、広がるニーズに対して、“提供できていなかった”機能の一つ。強いニーズがある日本でスタートできるので、どのように受け入れられるかを見ていきたい。試験運用では、何度も使う人が多く、ポジティブな反応が得られている」と回答した。

19日には日本におけるグーグルの活動を紹介する「Google for Japan」を開催。Google 検索における新たな降雨予測機能「Google ナウキャスト」のほか、日本におけるAIの取り組みなどを紹介した。