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牛のげっぷのメタンガスを抑制する海藻を量産 鹿島

カギケノリ量産培養の流れ

鹿島は、牛のげっぷに含まれるメタンガス排出量低減に寄与する海藻「カギケノリ」の量産培養手法を開発した。家畜の餌に混ぜて給餌することで、げっぷ中のメタンを低減できるとしている。

メタンガスはCO2に次いで地球温暖化の原因となっている気体。カギケノリは牛などの反すう動物の餌に混ぜることで、胃の中で発生するメタンガスを抑制する効果を持つ海藻であることから、地球温暖化対策につなげられるとしている。

牛や羊などの反すう動物は、食べた物を部分的に消化した後に、もう一度口の中に戻して咀嚼するという食べ方をする。これらの動物は4つの胃を持ち、第1胃と呼ばれる胃にいる微生物がメタンガスを作り出して、げっぷを通して大気中に放出される。

その量は全世界の温室効果ガスの約4%(CO2換算)を占める上に、メタンガスの温室効果はCO2の28倍にもなるという。また、反すう家畜の数は世界的に増加しており、げっぷを通して放出されるメタンガスは今後さらに増えると見込まれている。

近年、海産紅藻(こうそう)類のカギケノリを反すう家畜の餌に混ぜて給餌することで、げっぷ中のメタンを低減できることが研究によって明らかになったが、カギケノリの量産技術はまだ確立されておらず、多くの企業や団体が研究を進めているという。

鹿島が開発した技術は、カギケノリの形状を自然に近い状態から球状に変えることで、人の管理のもと陸上の水槽で安定的に量産できるというもの。

まず、自然海域で採取したカギケノリの直立藻体(自然のままの姿)から異物を取り除いて洗浄。次に、この直立藻体を小さく切断し、水中に浮遊させながら培養することで、量産培養に適した球状体の藻体を形成させる。その球状藻体を用いて、室内容器(2L)から屋外水槽(1,000L)までの量産培養に成功した。

カギケノリの量産培養手法

カギケノリの最適な量産培養条件(水温、塩分、光量と明暗周期)と、培養に必要となる栄養塩配合の知見を得たことで、藻類の培養効果が高く事業化の採算に合う量産培養が可能となった。

今後は、さらに経済的合理性の高い量産培養手法を検討していく。あわせて、様々な機関と連携し、カギケノリの大量生産の実現、脱炭素社会への貢献を目指す。