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「HARUMI FLAG」の全貌公開 東京五輪選手村跡に1万人が暮らす街
2023年12月11日 20:27
「HARUMI FLAG」第一工区(板状棟)が完成を迎え、12月11日にメディア向けに竣工披露会が実施された。2024年1月から購入者の入居が開始されるほか、3月には商業施設の「三井ショッピングパーク ららテラス HARUMI FLAG」が開業する。
HARUMI FLAGは、東京2020オリンピック・パラリンピック選手村跡地の約13haの広大な土地に、5,632戸の分譲住宅・賃貸住宅と商業施設の合計で24棟を建築する開発事業。保育施設、介護住宅なども整備して多様なライフスタイルを受け入れる、人口約12,000人となる街を作る。
街は、分譲(板状棟)の「SEA VILLAGE」「PARK VILLAGE」「SUN VILLAGE」、賃貸街区の「PORT VILLAGE」、分譲(タワー棟)の「SKY DUO」、および商業街区で構成される。PORT VILLAGEには、一般賃貸住宅のほか、シニア住宅、保育施設、シェアハウス、介護住宅が整備される。1月に入居開始するのはSEA/PARK/SUN/PORT VILLAGEで、竣工披露会ではSEA/PARK VILLAGEが公開された。SKY DUOは現在建設が進められており、竣工は2025年秋予定。
HARUMI FLAG分譲街区の売主は、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、野村不動産、住友不動産、住友商事、東急不動産、東京建物、NTT都市開発、日鉄興和不動産、大和ハウス工業の10社。数多くのプレイヤーによるゼロからの開発で、公園、道路、マンション、街のすべてにおいて統一されたデザインとするべく、官民が連携して一斉整備が行なわれている。
駐車場はすべて地下に配置することで、空地率約50%の安全な地上空間を創出。ゴミ収集車や宅配などのサービス車両の動線もすべて地下で完結する。公共道路も電線などは地下に配置し、地上は並木が整備された街路空間となっている。
地上空間の中庭は約40%以上の緑化率を実現。敷地内に100種以上、約4,500本の植栽が行なわれている。
環境配慮の取り組みとして、「ハイブリッド灌水水景システム」を採用しており、親水空間等は樹木の灌水に必要な水の量を計算して面積を決めている。池の水は夜間に散水用ピットを経由して朝までに樹木の灌水へ活用される。
また、使用時にCO2フリーとなる水素を採り入れた環境配慮型のエネルギー活用とマネジメントを実現。本格的な水素インフラを備えた国内初の街となる。
'24年春完了を目指して開発中の水素ステーションから、パイプラインで水素を供給し、各街区に設置されたパナソニック製の純水素型燃料電池で発電することで、ピークカットと省エネを実現する。パナソニックによれば、24台の純水素型燃料電池と4,145台のエネファームで、合計約3MWの水素発電を実現するという。この電力は共用部などで使用される。
また、発電の際に発生した熱を利用した、足湯やペット用の足洗い場を共用施設として設置する。
複数の街区で構成される集合住宅では、共用施設は街区ごとの居住者向けに設置されることも多いが、HARUMI FLAGでは「全体団地管理組合」を組成。コミュニティ拠点となる「FLAG CORE」、眺望を楽しめる「SKY LOUNGE」など、「街全員の共有資産」を提供するとしている。
51の多彩な共用室のうち、26室が相互利用可能。分譲街区の居住者全員が利用可能な施設として、SEA VILLAGEの「BOOK LOUNGE」、PARK VILLAGEの「PARTY ROOM FOREST」などがある。
各街区居住者のみ利用可能な施設も用意。今回は、PARK VILLAGEにはレインボーブリッジを見渡せる屋上空間「SORA TERRACE」を見ることができた。
生活に必要なものとして、「TOKYO BRT」の停留所や船着場があるマルチモビリティステーション、買物施設として三井ショッピングパーク ららテラス HARUMI FLAGを整備。また、新たに「晴海西小学校」「晴海西中学校」が開校。PORT VILLAGE内には保育施設を設置する。そのほか、晴海四丁目に晴海特別出張所など複合施設の開所が予定されている。
SUN VILLAGEとPORT VILLAGEの間を通る道路を中心軸に据え、この場所にもコンビニエンスストア、郵便局、歯科、クリーニングといった、生活利便性を支える店舗を展開する。また通りは安全性も考慮し、歩道、自転車道、車道に分かれている。
東京2020大会のレガシーを継承
東京2020大会のレガシーを継承していることも施設の特徴の1つ。クリニックやスポーツジムがあった複合施設は商業施設・ららテラス、選手や関係者が食事で使っていたメインダイニングは小中学校へと用途を変えている。
住宅は選手たちが過ごしていた宿泊棟。室内は選手たちがゆとりある生活を送れるように設計されており、天井高や廊下の有効幅、バルコニーの奥行を大きくとった作りになっている。平均面積も84m2と、都心6区や湾岸エリアの平均よりも広いとしている。
街の中には噴水広場や街の入り口のサインなど、東京2020大会を記念するモニュメントや大会当時の看板などを保存、活用しているほか、ららテラスには選手村としての記録や展示エリアを設置する。
今後のスケジュールは、12月に晴海地域交流センター「はるみらい」を開設、'24年1月19日に入居開始、3月にららテラス、4月に小中学校や認可保育園、特別出張所等の複合施設がオープンする。マルチモビリティステーション、船着場は'23年度内完了予定で、東京BRTは'24年春の本格運行が予定されている。