ニュース
ドコモ、マネックス証券を連結子会社化 証券本格展開
2023年10月4日 15:49
NTTドコモは4日、マネックスグループおよびマネックス証券と、新たな金融サービスモデルの構築をめざした資本業務提携契約を締結した。ドコモはマネックス証券を連結子会社化し、「d払い」アプリを起点とした資産形成サービスを強化していく。
この契約で、ドコモは、マネックス証券が株式移転で設立する中間持株会社の株式譲渡(466億円)と第三者割当増資(20億円)により、同社株式と議決権割合の約49%を保有する。取締役の過半数を指名する権利をドコモが有するため、中間持株会社と中間持株会社の子会社となるマネックス証券が、ドコモの連結子会社となる。
投資実行日は2024年1月4日予定で、実行日以降の中間持株会社名称は、ドコモマネックスホールディングス。マネックス証券は、理念・ブランドはそのまま、中長期的な成長に向けてマネックスホールディングスとNTTドコモが協働で支援していく体制となる。
d払いアプリで簡単投資、dカードで投信積立
ドコモは。スマートライフ事業において金融・決済領域を事業の柱として強化しており、「dカード」や「d払い」などの決済分野を中心にFinTechサービスを展開している。今回のマネックスグループ・マネックス証券との提携で、投資分野に本格参入し、「次世代の画期的な資産形成サービス」の提供、投資による個人の資産形成が大きく前進するような社会的インパクトの創出などを目指すとする。
具体的には、d払いアプリ上で資産形成サービスを展開するほか、dポイントやdカード、dアカウントとマネックス証券サービスの連携を強化。また、データの活用やドコモショップを通じた投資教育などで連携していく。
提携の主な内容は以下の通り。
- 「d払い」アプリで、投資がはじめての人にも使いやすい資産形成サービスを提供
- 両社のデータを活用した最適な商品提案
- ドコモショップなどを通じた投資情報・金融教育コンテンツの提供
- AIによる顧客サポート
- STO等の次世代金融商品の取り扱い
大きな取り組みとなるのが、「d払い」アプリでの資産形成サービスの展開。ローンや保険だけでなく、本格的な証券サービスをd払いに組み込み、ドコモの顧客に対して使いやすい証券サービス等の提供を目指す。d払いだけでなく、dポイント・dカード・dアカウント等とマネックス証券サービスを連携し、取引や残高、口座開設に応じたdポイント還元などを行なう。
マネックス証券の利用者にも、dカードでの投信積立を提案するほか、dポイントによる積立などでも連携。ドコモとマネックスの相互の顧客にとって使いやすいサービスの構築を目指す。
また、ドコモの9,600万の会員データとマネックス証券のデータを、同意取得の範囲で掛け合わせ、金融CRMを構築。一人ひとりに適した商品の提案を可能にする。
例えば、結婚や進学など、ドコモが持つ生活情報と金融サービスを連携させ、就職にあわせてdカードによるNISAの積立を提案したり、自己資金に余裕のある人に米国株購入を勧めるなど、生活データを活用した「顧客起点」のマーケティングを行なう。
NTTドコモ 副社長 スマートライフカンパニー長の前田 義晃氏は、(中間持株会社)ドコモマネックスホールディングは、「ドコモの金融事業の拡大にコミットしていく」と強調した。
新NISAで市場成長 マネックスは'26年500万口座に急伸狙う
ドコモが、金融サービスを強化する理由はシンプルで、「市場成長が見込まれる」(ドコモ 井伊 基之社長)から。政府による「資産所得倍増プラン」とともに、2024年1月から「新しいNISA」がスタートし、資産形成を新たに検討する人も増えてくると見込まれる。
こうした環境下で、初めての人でも手軽で簡単な資産形成サービスを提供し、ドコモの顧客基盤やdポイント等の経済圏を拡大していく。マネックス証券のサービスとともに、ドコモの顧客基盤やデータを活用。また、ドコモショップを活用した金融商品の提案のほか、将来的にはWeb 3や生成AIなど、テクノロジーを使った証券サービスなども検討していくという。
マネックスグループ創業者の松本 大会長は、「ドコモとは同じ企業理念を持っている」と強調し、個人が安心して利用できる資産形成サービスが求められるなか、「日本最大の信頼されるプラットフォームを持つドコモと組んで、最良の資産形成サービスを提供することは、我が国において本当にエポックメイキングなこと。オールジャパンのサービスを提供できるのはエキサイティングなことだ」と語った。
現在のマネックス証券の口座数は現在220万、預かり資産残高は7兆円。提携前は'26年度に300万件、10兆円を目標としていたが、ドコモとの提携により顧客基盤の拡大を見据え、2026年度に口座数500万、預かり資産残高15兆円に上方修正。提携効果で、現在の倍以上の口座数への拡大を想定している。