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KDDI第1四半期決算 注力領域は堅調、上期ARPU反転を狙う

KDDI 代表取締役社長 CEOの高橋誠氏

KDDIは、2024年3月期第1四半期決算を発表した。連結売上高は前年同期比1.4%減の1兆3,326億円。連結営業利益は、主に楽天モバイルからのローミング収入減や前期の会計処理影響で前期比10.3%減の2,667億円だった。

KDDI 代表取締役社長 CEOの高橋誠氏は、楽天モバイルからのローミング収入が短期間で大幅に減少する見込みである点について、楽天と協議を進めており、緩和される方向にあると説明。前回の決算発表時には約600億円の減収としていたが、「100~200億円ぐらいは良くなる」(高橋氏)という。このほか前期の会計処理などを含め一時的な影響を除くと、注力領域は堅調に進んでいるとしている。

ARPU(契約者一人あたりの収入)は順調に推移しているとし、通信ARPU(マルチブランド通信ARPU収入)は2024年の上期に反転を目指す。

質疑応答では市場や競争環境について問われた。NTTドコモや楽天モバイルが新料金プランを投入、MNPも手続きがワンストップで済むサービスがスタートしているが、いずれも現時点で大きな影響は出ていないとしている。

携帯電話の販売についてはさまざまな規制もあり、販売数は下落傾向にある。「下がっているのは確かで、懸念している部分。“転売ヤー”への規制は重要だが、5Gの浸透率を上げるためにも流動性を上げていかなければいけない。出荷数を増やしていきたいが、環境が許さない部分はある」と明るい見通しにはないことを説明している。京セラやFCNT(旧富士通)など国内メーカーの撤退が相次いだことも「非常に残念」とした。

7月28日、トヨタ自動車からの打診により、トヨタが保有するKDDIの一部株式を、公開買付によりKDDIが約2,500億円で取得することが発表されている。トヨタは電動化を含め社内体制の変革や資本効率のさらなる向上を図っている段階で、高橋社長は「成長のための投資資金として理解できると思った」としている。一方、KDDIの通信機能を搭載するコネクテッドカーは主にトヨタによって世界で2,000万台以上が出荷されたとしているほか、これまでと同様にトヨタとの研究開発のワーキング・グループは継続していく方針。「トヨタからは協業関係が希薄になることはないと言われている」(高橋氏)とした。

携帯電話用の周波数として、新たに700MHz帯の3MHz幅について割り当てる方針が総務省から示されている。高橋氏は「審査基準は楽天モバイルに有利だと思った。偏った審査基準だなというのが率直な感想」とコメント。「我々の隣接バンドなので(割り当ての申請を)全く出さないのもなぁというところ」と、迷っている様子を語っている。