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NTTが音響業界に参入。耳を塞がず音漏れもない開放型イヤフォン「nwm」
2022年11月9日 14:54
NTTソノリティは、NTTが開発した耳を塞ぐことなく利用者にしか聞こえないイヤフォンの設計技術などを用いたデバイスやサービスを提供する、NTTグループ初のコンシューマー音響ブランド「nwm(ヌーム)」を立ち上げ、音響業界に参入。パーソナルイヤースピーカー2種を、11月9日および'23年春に発売する。9日発売の「パーソナルイヤースピーカー nwm MWE001」の価格は8,250円。
NTTは、テレワークやWeb会議の普及、プライベートな時間・空間を大切にしたいというニーズの高まりを受け、「聴きたい音」のみを届け、「聴かれたくない音、聴きたくない音」を届けないようにする究極のプライベート音響空間(Personalized Sound Zone/PSZ)の構築をめざした研究開発を行なっている。その一環で、ごく小さな空間に音を留める新たなスピーカーエンクロージャー設計技術を開発した。
空気の振動である音は、振動を起こす音源から波のように耳に伝わり、人は耳の鼓膜が振動して音を感知する。スピーカーは電気信号を空気の振動に変換することで音を出す仕組みで、小さなスピーカーとして位置づけるイヤフォンを含め、一般的なスピーカーの発する音は全方向に広がる。オープンイヤー型イヤフォンに顕著な音漏れは、スピーカーから放射された音が周囲に拡散した状態だという。
nwmのオープンイヤー型イヤフォンで採用されているPSZ技術は、ある音波(正相)に対して逆相の音波を当てることで音波同士が打ち消し合い、音が聞こえなくなる作用に着目。特殊なハードウェア設計により特定のエリアに限定した音を再生する。耳元に小さなカプセルのような音の空間が生まれるため、耳を塞がなくても周囲への音漏れを最小限に防ぐとしている。
従来の音響デバイスのスピーカーは音をより遠くに届けるため、スピーカーユニットを収納するエンクロージャーの中に逆相の音波も閉じ込め、正相との干渉を防いでいた。PSZ技術では、本来閉じ込められていた逆相の音波を積極的に活用している。
発売されるパーソナルイヤースピーカーの最大の特徴は、オープンイヤー型ながらPSZ技術により音が周囲に漏れにくい点。数cm程度の耳元だけに音を閉じ込めるため音漏れ不安が軽減し、建物内のアナウンスや人の呼びかけなど周囲の音を聞き取ることもできる。
また、従来型のイヤフォンは長時間にわたる装着による耳への負担が大きく健康被害も懸念されるが、同製品は耳を塞がないため長時間の装着によるストレスもないとする。
そのほかnwmプロダクトでは、PSZ技術に加え、ソノリティの音響設計技術と数百回以上に及ぶハードウェア改良を行ない、市場に挑戦できる音質を実現したという。
11月9日発売のnwm MWE001は、PSZ技術搭載有線モデル。使用ユニットは12mm径、出力音圧レベルは84dB、再生周波数帯域は100Hz~20,000Hz、最大入力は40mW、インピーダンスは32Ω。コード長1.2m、質量9g(コード含まず)、入力プラグはΦ3.5mm 4極ステレオミニプラグ(金メッキ)。
'23年春発売予定の「パーソナルイヤースピーカー nwm MBE001」は、PSZ技術搭載ワイヤレスモデル。冬には予約販売として、日米でクラウドファンディング(GREEN FUNDING、Indiegogo)を開始する。価格はオープン。
使用ユニットは12mm径、電池持続時間は最大6時間、充電時間は約2.5時間。質量9.5g(片側)。付属品は充電用USBケーブル、キャリングケース(バッテリー非搭載)。
今回開発した技術は、快適さを損なうことなく聞かれたくない音を周囲に漏らさないことを目指したもの。今後も究極のプライベート音響空間の実現に向けた研究開発を推進し、航空機や自動車の座席、オフィスなど様々な場所での応用を検討する。また、オープンイヤー型イヤフォンを活用し直接耳に届くリアルの空間の音に合わせて、イヤフォンから再生する音を加えることで様々な情報を付与する新たな価値提供を目指した研究開発も進める。