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「九段会館テラス」10月1日開業。新旧融合のレトロモダン
2022年9月8日 19:30
東急不動産と鹿島建設は、登録有形文化財「旧九段会館」の保存・復元プロジェクトによる「九段会館テラス(KUDAN-KAIKAN TERRACE)」を10月1日に開業する。
皇居外苑のお堀に隣接することから、コンセプトは「水辺に咲くレトロモダン」。登録有形文化財建造物である旧九段会館を一部保存しながら、最新テクノロジーの活用や企業の健康経営など、現代のニーズを具現化し、建て替えを行なったもの。建物は、歴史的建造物を創建当時の技術・素材を活かして保存・復原を行なった保存部分と、皇居のお濠を臨みIoTを活用した地上17階建てのオフィスとなる新築部分からなる。
施設内には会員制シェアオフィス「ビジネスエアポート九段下」と、併設の「九段食堂 KUDAN-SHOKUDO for the Public Good」、創建当時の意匠を保存・復原した宴会場を含む「九段会館テラスコンファレンス&バンケット」、オフィスワーカーの健康サポートや利便性を高めるクリニックモールや店舗など、様々な付帯施設を整備。単なるオフィスビルにとどまらず、お濠端の地を活かした回遊性やこの地の持つ歴史と格式を両立させた、“ここにしかない魅力”を持つワークプレイスを目指すとしている。
保存・復原では、現代では入手や再現が困難な90年前の職人技と素材からなる旧九段会館を、建物北側と東側部分のL字状に保存し、保存部分と新築部分が一体となった「ここにしかないデザイン」を採用。保存部分は単に展示して眺めるだけの場にせず、あえて日常利用を続ける動態保存とすることで、旧九段会館の歴史を身近に感じながら過ごせる空間とした。
バンケットルーム(真珠・鳳凰)
戦前の絵はがきや写真などの創建当時の資料をもとに、床材をヘリンボーン張りのフローリングに変更。壁紙は特注織物のクロスへの張り替えなどを実施することで、創建時の姿を復原した。これらの意匠を壊さぬようLEDでありながら温かみのある光を放つ、特注のシャンデリアタイプの照明を採用した。
玄関ホール/プラザ
建物正面の玄関ホールは、創建当時から床や壁に用いられてきた大理石を活用し、重厚な雰囲気を持たせた。この大理石に違和感なく溶け込むよう、床や天井なども創建時の素材に近い風合いながらモダンさを併せ持つ建材を使用し、レトロモダンな空間を演出している。天井高7mのゆったりとしたプラザは、保存部分と新築部分の外壁をモチーフとした内装で囲まれ、半屋外の雰囲気を演出する。
ゲストルーム(雅・葵)
これまで応接室・役員室として使われていた部屋は、パントリーなど後年に設置された箇所を撤去した上で補修・復原。「ゲストルーム 雅・葵」として生まれ変わった。90年前の雰囲気そのままに、寄木貼りの床や絹織物(紗織)の天井、それらに合わせた家具を設置し、オーセンティックな空間を演出する。
お堀の借景を眺められる貸し会議室は大小8つを用意。NURO光の回線を導入している。
地下1階には、職域食堂「九段食堂 KUDAN-SHOKUDO for the Public Good」を併設。全国の農家から直送されるオーガニック素材を中心とした定食や、産直サラダステーションなどを提供する。九段会館テラスのオフィスワーカー以外も利用が可能。ランチタイムは食堂、それ以外はラウンジとして営業する。メニューは「産地と繋がる定食」(1,370円)、「忙しくても健康的カレー」(750円)、「食文化を体感できる丼」(750円)、「植物性プロテインをふんだんに使ったサラダ」(1,100円)などのほか、「自分で選べるカスタムサラダ」(930円~)などを提供。
新築部分の2階~17階はオフィス、1階には会員制シェアオフィス「ビジネスエアポート九段下」を設置している。オフィスエントランスに併設されたラウンジには、オフィスビルとして初めての導入となるスマートガラス「View Smart Glass」を設置。屋上のセンサーとAIによって太陽の位置や天候に合わせてガラスの透過率を4段階で自動調整する。これにより窓から入る熱量を調整して、空調や照明のエネルギー消費量を削減する。
保存部分屋上となる5階には、来館者も利用可能な屋上庭園と、ラウンジを整備。屋上庭園にはオリジナルの健康器具としてフィットネスバイク付きのシートなども設置している。