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KDDI、カラーで動くホログラフィー技術。大型で高視野角
2022年5月9日 13:44
KDDI総合研究所と関西大学は、18cm角の大型サイズとするホログラフィーで水平垂直30度の視野角を持つカラーアニメーションを実現する技術を開発した。
ホログラフィーは、光の強度や色、位相情報のすべてを記録し、実物を目にしているような印象を得られる立体映像表示技術。裸眼立体視などに使われる技術でも立体的に物体を見ているような体感は可能だが、人の目や脳への負担や、同時に見られる人数に制限があるなど課題があった。
人への負担がなく、より自然な映像体験を実現するものとして、「計算機合成ホログラム」(Computer-Generated Hologram:CGH)の研究開発が進められているが、はがき大ほどの画面サイズで十分な視野角を確保するには、8k映像の500倍以上の画素数が必要になるという。このため、超微細加工技術によってCGHデータを印刷する方法(関西大学が研究開発を進める全方向視差高解像度CGH)では、表示データが静止画に限られていた。
今回開発された技術は、全方向視差高解像度CGHを発展させ、印刷する画素数を増やすことなく1枚のCGHデータに複数コマ分のアニメーションの情報を多重化して埋め込んで立体視を実現するもの。18×18cm(縦×横)のサイズで視野角が水平垂直30度のアニメーションを可能にした。
複数コマのコンテンツ情報を1枚のCGHデータに埋め込み、再生したいコマのCGHデータに対して選択的に光を照射する再生用の外部光源を照射することで、ユーザーがホログラフィー画像を見ることができる。印刷された1枚のCGHデータに複数コマのRGB各波長の情報を空間的に多重化し、それぞれのコマに対応するCGHデータ領域に対して高精度に光を照射することで視覚化する。これにより1枚のCGHデータでアニメーション表示が可能になった。
開発された技術は、立体案内標識の表示切替えや立体デジタルサイネージにおけるアニメーション技術などへの活用も期待され、今後はさらなる高画質化・大型化を進め、実用化に向けた基盤技術の確立を目指す。また、KDDI総合研究所は、2030年度以降のメディア産業や広告、ソーシャルメディアコンテンツなどへ、ホログラフィーを活用した没入型メディア体験の実現を目指すという。