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PayPay「キャンペーン止めれば黒字」に ZHD決算

Zホールディングスは2日、2021年度第3四半期決算とともに今後の事業方針を発表した。PayPayについては、「キャンペーンなどを止めれば黒字化できるところまできた」という。ただし、将来の布石のためにさらなる投資や獲得を継続していく方針。

PayPayはキャンペーン止めれば黒字。経済圏拡大へ

PayPayでは、加盟店からの手数料徴収(1.6~1.98%)を'21年10月に開始したほか、加盟店向けの「PayPayマイストア ライトプラン(1,980円)」も好調で売上増に貢献した。手数料の徴収開始による加盟店解約は「軽微」とする。

昨秋以降の収益化施策により、PayPayの売上が増加し、収益から売上原価と固定費を差し引いた「獲得費控除前利益」は第3四半期で黒字化した。

PayPayの開始から3年経ったが、仮にキャンペーンなどの一時的な獲得施策を止めると「黒字化できる目処がたった」(坂上亮介GCFO)という。ただし、「いま獲得を止めることは考えておらず、今後も獲得費を使いながら、将来の布石を打っていく」と説明している。

1日からは「PayPayあと払い」をスタートし、金融サービスを絡めてPayPayの収益化を進めており、PayPayを軸に複数の決済サービスや機能を提供していく。あと払い対応により、PayPayの利用・単価・残高向上に加え、Zホールディングスグループの「PayPay経済圏」拡大を目指す。

その一環として、ポイントなどのロイヤリティプログラムは、「PayPayボーナス」に統一していく方針。

Yahoo! ショッピングやPayPayモールで付与していたTポイントは、4月からPayPayボーナスに集約。さらにPayPayカードでもPayPayボーナスを付与開始した。ボーナスをPayPayボーナスに集約して、利便性を向上していく。

LINEを含め、ヤフー、PayPayの各サービスでロイヤリティプログラムを統一予定。国内最大級のユーザー基盤を3つのサービスを中心に活用し。PayPay経済圏を拡大していく。

PayPayの四半期取扱高は、1兆4,678億円、決済階数は9.67億回、登録者数は4,455万人、加盟店数は355万。

PayPayカードの会員数は789万人、取扱高は7,727億円、リボ残高は1,768億円。PayPay銀行は口座数581万、預金残高1兆4,434億円、貸出金残高は3,210億円。LINE証券やポケットマネーローン残高も順調に拡大しているという。

四半期で初の4000億円。4月にプライム市場に

ZHDの2021年度第3四半期売上高は4,091億円(前年比29.2%増)で、調整後EBITDAは979億円(同35.4%増)。LINEとの統合効果などにより、四半期で初の売上収益4,000億円を達成した。

LINEは5四半期連続で営業黒字で、広告事業の売上収益は1,534億円(前年比64.2%)。コマース事業もLINE統合効果で拡大し、営業収益9,775億円(同6.5%増)。

LINEでは、ディスプレイ広告が高成長しているほか、11月にタイムラインを刷新した「LINE VOOM」を開始。1日あたりの動画ユーザーが大きく伸びており、動画広告の拡大を目指す。

コマース事業は、取扱高9,775億円(前年比6.5%増)。Yahoo!ショッピング、ZOZOTOWN、PayPayモール、LOHACOなど既存のECの取り扱い高拡大を図るほか、出前館と連携したクイックコマースの「Yahoo!マート」、ソーシャルコマースの「LINE GIFT」などの新たなサービスを強化していく。

コマース事業においてもLINE連携を強化。友だち登録の拡大を図り、EコマースのCRMツールとしてLINEを活用していく。出前館やZOZO、ebookjapan、一休などのサービスでもLINEを積極活用していく。

また、友だちにギフトを送れる「LINEギフト」は戦略事業として強化しており、「来年度の事業では最も期待している」とした。2022年春には、国内ナンバーワンのNFTマーケットプレイスを目指す「LINE NFT」を開始予定。

ZHDは、東証の市場再編にともない、4月4日からプライム市場に移行する。