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ファミマ初の無人決済コンビニ、狙いは非接触・省人化・小規模店開拓
2021年3月30日 19:01
ファミリーマートは、同社初となる無人決済システムを実用化した店舗「ファミマ!!サピアタワー/S店」を3月31日にオープンする。オープン前日の30日、メディア向けに店舗を公開するとともに、無人決済を導入する狙いを説明した。
サピアタワー/S店は、JR東日本スタートアップとサインポストの合弁会社であるTOUCH TO GO(TTG)が開発した無人決済システムを導入した店舗。TTGはこのソリューションを小売店等に向けて展開しており、導入実績として、同社が運営する高輪ゲートウェイ駅構内の「TOUCH TO GO」や、「KINOKUNIYA Sutto(キノクニヤ スット)目白店」がある。
ファミリーマートとTTGは2020年11月に、無人決済コンビニの実用化に向けて業務提携。第1号店としてサピアタワー/S店をオープンする。
利用方法は、入場ゲートから入店し、購入する商品を手に取った後に決済ゾーンへ移動。タッチパネルに手に持っている商品が表示されていることを確認し、間違いがなければそのまま会計、間違いがある場合は修正して会計し、退店する。
レジ袋の必要の有無については会計時にタッチパネルで選べるほか、酒類を手に持っている場合は確認画面が表示され、バックヤードにいるスタッフが遠隔で確認した後に会計へと進める。レジ袋等は決済ゾーンに設置されている。
取扱い品目は約700種類で、弁当やおにぎり、パン、菓子類、ドリンクなどの飲食料品および酒類のほか、日用品も取りそろえる。
「ファミマカフェ」の購入も可能。決済ゾーンの横に設置されたバーコードをバーコードリーダーで読み取った後、カップを取り、会計をしてゲートを出た所にあるマシンで入れる。マシンは通常のファミリーマートに設置されている物と同様。
決済方法は、現金、交通系ICカード、クレジットカード。また、入店したものの何も購入しなかった場合は、決済ゾーンのタッチパネルで「お店を出る」をタッチすれば、退店ゲートが開きそのまま退店できる。
無人決済システムは、カメラによる人の追跡、商品棚のセンサーによる商品認識、対面無人決済の3つを利用することで実現。スタッフは、バックヤードに1人配置することで店舗運営を行なえる仕組みとしている。
小規模店を可能としてマイクロマーケット開拓
ファミリーマート 代表取締役社長 細見研介氏は、無人決済コンビニの狙いについて、コロナ下でニーズが増えている非接触の実現、人手不足の解消であると説明。加えて店舗運営のコストやオペレーション負荷の軽減にも寄与し、加盟店への支援にもつながると述べた。
ファミリーマート 執行役員 ライン・法人室長 狩野智弘氏は、ファミリーマートはフランチャイズシステムの中で、新たな店を作ることによって成長したきたが、これまでのビジネスモデルだけでは成長できないと述べ、こういった課題を解決するための取り組みの1つが、無人決済コンビニであると説明した。
店舗運営をするうえで、主にレジ業務と商品陳列の2つの作業があるが、このうちのレジ業務の削減を実現できるのが無人決済で、人件費、店舗運営コストの削減にもつながるとする。そして、店舗運営コストの削減が、マイクロマーケットというコンビニが出店できなかった、新たなマーケットへの拡大につながると話した。
これまでもファミリーマートでは、病院や大学、駅などへの出店も行なってきたが、運営していく上では規模などのハードルがあったという。そのハードルを下げ、今まで出店できなかったところへの出店を見込む。
そのほか狩野氏は、事前登録やアプリダウンロードが不要で誰でも利用できる点、ファミリーマートのほとんどの商品の販売が可能な点、現金が利用可能である点も、ファミマの無人決済コンビニの特徴であると強調した。
サピアタワー/S店は、サピアタワー(東京都千代田区丸の内1-7-12)の1階に位置し、店舗面積は約55m2。この第1号店を運営していく中で課題を抽出し、改善を進めていきながら拡大していくことを目指す。
TTG 代表取締役社長 阿久津智紀氏は、無人決済システムについて、システムコストを下げるということと、導入までの工数を短期化していくことがTTGのミッションとしてあると説明。高輪ゲートウェイ駅へのTTG出店時に比べてコストや期間を縮小できているものの、より早期に導入できること、精度を高めていくことを実現して、ミッションを果たしていきたいと話した。