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DNP、読む速度を約2倍にする自動レイアウト技術

大日本印刷と日本ユニシスは、速読訓練無しに文章を読むスピードを約1.5倍から2倍に向上させる文字レイアウト変換技術「読書アシスト」の実証実験を開始した。

独自の文章表示アルゴリズムにより、読んでいる最中の目線の動きをスムーズに誘導し、読むスピードを向上させる文字レイアウト変換技術。日本語文における文節(意味のまとまり)ごとに目線を上手に動かせるように、文字配置や改行位置を調整することで、読むスピードが低下する要因となる、余分な目線の動きを減らす。

これにより、1分間に読める文字数が、一般的に400~600字程度であるのに対し、特別な速読の訓練をしなくても、最大で1,000文字程度まで、約1.5~2倍のスピードに向上させることができる。

2012年に、公立はこだて未来大学と共同研究を開始し、文章を読み進める際の人の視覚や認知のメカニズムを踏まえて開発した。

具体的には、文字のベースラインを文節単位で段階的に下げ、文節を分断しないよう改行位置を調整。段落単位で行頭を段階的に1字下げ、画面幅や文字サイズに応じて行間・行長・背景色などを調整する。

実証実験では、専用サイトとプラグインソフトを無償提供。利用者が準備した任意の文章を読みやすく変換できる。専用サイト上では、「青空文庫」の変換表示した小説作品も閲覧可能で、芥川龍之介「蜘蛛の糸」や太宰治「走れメロス」のほか、順次作品を追加する予定。実証実験は9月30日まで。

近年、多様な情報機器で文章を読む機会が増えていることや、新型コロナウイルスの影響で自宅での読書や学習、テレワークなどが増えることで、文章を速くたくさん読みたい、というニーズが高まっていることをうけて開発された。実証実験により、読みやすさに関する利用者の声を集め、今後の商品化や機能拡張に活かしていく。