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大成建設、独自発見の微生物で地下水の汚染物質を分解
2020年1月10日 19:09
大成建設は、独自に発見し、浄化能力を持つ分解菌N23株を活用して、世界で初めて地下水環境基準に指定されている複数の汚染物質を同時に分解できることを確認したと発表した。
この技術を適用することで、従来の浄化方法と比較して、複合汚染された地下水中の有機性化学物質を短期間、低コストで分解することができ、浄化に係るCO2排出等の環境負荷低減が可能としている。
国の定めた地下水環境基準では、28項目の汚染物質が指定されており、そのうち17項目が有機性化学物質だという。中でも不法投棄現場の地下水は、水溶性の高い化学物質により広範囲な汚染を引き起こしている事例が多くあるとする。
このようなケースにおける汚染拡大防止策として、通常、汚染地下水を汲み上げて地上で浄化する揚水浄化が適用され、汲み上げた地下水を複数の強力な酸化剤で浄化する促進酸化法が有効ながら、コストとCO2排出量が課題だという。
これに対して大成建設では、複合汚染地下水に含まれる有機性化学物質に対してN23株を活用した微生物による浄化性能試験を実施し、有効性を検証した。
N23株を用いた浄化技術の特徴として、これまで単一菌株を用いた微生物浄化では実現できなかった、汚染地下水に含まれる複数の有機性化学物質を同時分解することが可能であることを挙げる。
そのほか、クロロエチレン等の有機性化学物質を短期間で分解できること、浄化設備をコンパクト化し、汚染物質の負荷変動などに対しても浄化処理を安定的かつ効率的に行なえることを特徴としている。浄化コストは最大50%、浄化に係るCO2排出量は最大84%の削減が可能だという。
大成建設は今後、実汚染水を用いた適用性評価及び現地実証試験を通して、同技術を用いた揚水浄化技術のシステム化を図り、汚染された地下水の浄化対策に適用していく。