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“光を操る”コンタクトレンズ。調光機能付き「アキュビュー」

世界初の調光機能付き2週間使い捨てコンタクトレンズ「アキュビュー オアシス トランジションズ スマート調光

ジョンソン・エンド・ジョンソン ビジョンケアカンパニー(J&JV)は、周囲の光に合わせてレンズの色が変化し、目に入る光の量を自動で調節する調光機能付き2週間使い捨てコンタクトレンズ「アキュビュー オアシス トランジションズ スマート調光」を12月12日より発売する。

アキュビュー オアシス トランジションズ スマート調光は、調光レンズなどの高度なレンズ技術を有するTransitions Opticalと10年以上にわたる共同開発により誕生した、調光機能付きコンタクトレンズ。

光に反応する「フォトクロミック分子」と呼ばれる調光材をレンズに配合することで、光の量の少ない場所ではレンズの色が薄く、光の量の多い場所ではレンズの色が濃く変化し、目に入る光の量を自動で調節。暗い場所から明るい場所に移った時や、明るい場所から暗い場所に移った時など、装用者が気づかない間に目に入る光の量を調節する。

あわせて、紫外線A波を98.9%以上、紫外線B波を99.9%以上カットする紫外線カット機能も備えており、調光機能と合わせて目へのストレスを軽減する。また、レンズの色が変化しても視界が暗くなることはなく、常に自然に見えるという。レンズの素材は、発売中の「アキュビュー オアシス」と同じシリコーンハイドロゲル素材を採用している。

アキュビュー スマート調光「光をあやつるもの」

光を操るコンタクトレンズに

発表会に登壇した、J&JV代表取締役プレジデントの海老原育子氏は、1987年に世界初の使い捨てコンタクトレンズ「アキュビュー」を発売して以降、1995年に世界初の1日使い捨てコンタクトレンズ「ワンデー アキュビュー」をはじめとした各種高機能製品を数多く開発し販売してきた歴史を紹介し、アキュビュー オアシス トランジションズ スマート調光を「”コンタクトレンズ=視力矯正”という概念の先を行くコンタクトレンズ」だと表現。そして、「太陽光から車のヘッドライトまで、目に入る光の量を自動で調節する、光を操るコンタクトレンズ」であるとその優位性を強調した。

発表会で新製品を紹介する、J&JV代表取締役プレジデントの海老原育子氏
J&JVは1987年に世界初の使い捨てコンタクトレンズ「アキュビュー」を発売して以降、様々な世界初の高機能製品を開発してきた
アキュビューシリーズの新製品となるアキュビュー オアシス トランジションズ スマート調光は、12月12日より発売となる

J&JV米国本社 上席研究員のレイラニ・ソノダ氏によると、アキュビュー オアシス トランジションズ スマート調光は「コンタクトレンズを快適に使っていただくために、これまでに様々なイノベーションを実現してきたが、今回は“光を操る”という点に着目して新たな技術を開発した」とする。

製品の特徴を説明する、J&JV米国本社 上席研究員のレイラニ・ソノダ氏

日本でコンタクトレンズを使用している人にアンケートを採ると、そのうち98%の人がまぶしい不快な光を感じることがあると回答したという。例えば、屋外の太陽の光や、室内の明かり、デジタル機器の明かりなどがそういったもので、それら不快な光を軽減することで快適性を高められると考え開発に着手したという。

日本でコンタクトレンズを利用している人にアンケートを行なった結果、98%の人が不快な光を感じることがあると回答
不快な光を軽減することで1日を通して快適性が向上すると考えて調光機能付きコンタクトレンズの開発に着手

開発の中で特に難しい挑戦となったのが、レンズ素材に合った特注の調光材分子をレンズ内に均一に重合する方法、違和感のない視覚的な利点を提供するための調光材の濃度、そして安定した製品の製造を可能にする方法という3つの技術開発だったそうで、10年以上の期間をかけてそれぞれの技術を実現し、製品化にこぎ着けたと説明。

10年以上の期間を掛けて3つの技術開発を行ない製品化を実現

レンズ内での調光の仕組みは次のようなもの。

レンズ内に組み込まれている調光材の分子が紫外線や高エネルギー可視光を受けると、分子が活性化され構造が変化して色が濃くなり、多くの可視光を吸収するようになる。それによって目に届く可視光の量が減る。

逆に紫外線や高エネルギー可視光が弱くなると、分子が非活性化され構造が元に戻るとともに色が薄くなり、可視光の吸収量が減ることでより多くの光が目に届くようになる。こういった作用によって、明るさによって目に届く光の量が変化することになる。また、光を遮る割合は最大で70%ほどになるとのことだ。

レンズに組み込まれた調光材が、紫外線や高エネルギー可視光を受けることで構造が変化して色が変化し、可視光の透過度合いが調節される
レンズ内の調光材は、光が弱いときは非活性化状態で色が薄く、可視光をほとんど遮らない
調光材が紫外線や高エネルギー可視光を受けると構造が変化して色が濃くなり、可視光を吸収して目に届く光の量が減る

調光剤分子の変化によって、レンズ自体は紫外線を強く受けたときには色が濃く、逆に紫外線が弱くなると透明に近い色となる。レンズの色は、光が強くなり色が濃くなる場合には60秒以内、光が弱くなって色が薄くなる場合には90秒以内と高速に変化するため、明るい屋外から暗い室内に入った場合や、その逆などでも、装用者が違和感を感じることはほとんどないという。

温度が低かったり高かったりすると色の変化の速度が遅くなるそうだが、レンズを目に装用している状態の、人間の体温付近で最も速く変化するように調整しているという。

左が一般的なコンタクトレンズ、右がアキュビュー オアシス トランジションズ スマート調光
紫外線を当てると、左の一般的なコンタクトレンズは色が変化しないが、アキュビュー オアシス トランジションズ スマート調光レンズの色が濃くなり目に届く光の量が減る
アキュビュー オアシス トランジションズ スマート調光の色が変化する様子

なお、アキュビュー オアシス トランジションズ スマート調光は、日常生活において不快に感じる光を自動で調節するもので、サングラスの代わりにはならない。そのため、雪山やビーチなどでの強い光が注ぐ環境下ではサングラスの併用が勧められている。また、車の運転時のトンネルの出入りといったの急な明るさの変化については、一般的な車のフロントガラスには紫外線カット加工が施されており、運転席付近でのレンズの色の変化はわずかになると考えられるため、運転に支障が出ることはない、としている。

「これからの時代、コンタクトレンズは視力を矯正するだけでなく見え方の質を高める必要があり、アキュビュー オアシス トランジションズ スマート調光によって”Quality of Vision”向上の新時代を作っていく」(ソノダ氏)

1日を通して目に届く光の量を調節することで、快適な装用感を実現
スマート調光によって“Quality of Vision”向上の新時代を作っていく