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人にやさしいAIを目指す「LINE BRAIN」。飲食店予約のAI自動応答など
2019年7月23日 18:26
LINEは、AIソリューションサービス事業「LINE BRAIN」を開始する。第1弾として、AI技術を利用した飲食店向けの音声自動応答サービスで、エビソルとBespoと基本合意。飲食店予約サービスにおけるAI音声自動応答の実証実験を進める。
LINEのAI技術を外部サービスで活用するLINE BRAINは、6月の「LINE CONFERENCE 2019」で発表された。7月23日以降、AIチャットボット技術「LINE BRAIN CHATBOT」、文字認識技術「LINE BRAIN OCR」、音声認識技術「LINE BRAIN SPEECH TO TEXT」を順次パートナ向けに展開する。
エビソルは、飲食店向け予約システム「ebica予約台帳」など店の予約管理や顧客管理、集客支援サービスを展開、ビスポは、飲食店の集客を解決する「ビスポ」を展開している。今回の基本合意書に基づき、今後各社と飲食店予約サービス上でのAI技術を利用した音声自動応答サービス等の実証実験について、協議を進める。
音声自動応答の実現により、飲食店などのスタッフが電話応対に取られていた時間を、お店のサービスに集中できるようにするほか、AIによる「人間らしい自然な電話応対」で、電話応対サービスの品質が一定に保てるという。また、24時間対応可能なため、営業時間外の予約受付などにも対応可能。
さらに、「ebica予約台帳」サービスと自動連携することにより、応対結果をリアルタイムで台帳に反映。飲食店などのスタッフの店舗予約管理の手間暇を減少させるといったメリットも考えられるという。
AIは社会の全てが対象。英語以外・チューニングで攻める
LINEでAI事業を統括する舛田淳 取締役 CSMOは、「AIのインパクトは、インターネットやスマートフォンの比ではない。社会の全てがAIの対象になる」と切り出し、AIカンパニーを標榜するLINEのAIへの取り組みを紹介。AIエンジニアは1,000名を超え、音声アシスタントのClovaやスピーカーまで全ての設計・開発を行なっている日本で唯一の企業と強調した。
そのAI技術を外部のパートナーに供給するものが「LINE BRAIN」。「AIチャットボット」と、「文字認識技術(OCR)」、「音声認識技術」の3つを先行して供給開始する。
舛田氏は、飲食店における電話AI自動応答のための開発プロジェクト「DUET」を紹介し、「目標はやさしいAI。本来店員がやるべきことに集中してもらう。パートナーとしてのAIを実現する」とコメント。ebisolとビスポとともに、予約の全自動化と、人手不足の解消に取り組む。
LINE BRAIN室 砂金信一郎 室長は、事業戦略について説明。GoogleやMicrosoft、IBMなどがAIに力を入れる中、元Microsoftの砂金氏も「AIでLINEが単にBtoBをやっていくのは難しい。それは理解している」と語る。その上で、LINEが注力・差別化するポイントとして、「日本語・アジア言語(英語以外)」「ニーズに合わせたチューニング」「リーチを活かした学習データ獲得」の3点を紹介した。
チャットボットでは、コンタクトセンターや社内情報向けの「FAQ」、対話をしながら目標へ案内する「シナリオ」、目的達成型の「Slot Filling」などの用途に対応。用途にあわせてビルダーと呼ばれるツールでカスタマイズできる点や、テンプレートと応答を元にした機械学習などについて紹介した。
なお、2019年第3四半期にはチャットボットのLINE Pay対応も予定。チャットだけで決済まで可能になる。
OCRでは請求書のフィールドを認識して自動集計するなどの用途を想定。一般的な請求書のテンプレートや会社にあわせたテンプレート調整などが可能な点も特徴で、手書き文字にも対応予定としている。
音声認識技術は、コールセンターでの文字起こしによるオペレーター支援や議事録の書き起こし、メディアにおける字幕付与などの用途を想定する。
また、スカパーJSATと協力して「未来のテレビ」の開発にも着手。映像から関連する商品データや出演者データを抽出するなどの活用例を紹介した。
チャットボットは、本日から実証試験(Proof of concept/PoC)を開始、OCRも近日中にPoCを行ない、順次強化していく。音声認識は2019年第4四半期のPoCを予定している。