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DNPの「次世代ステルス空間」は、在室人数や会話にあわせて環境を変える
2019年3月5日 17:50
大日本印刷(DNP)が「次世代ステルス空間」を開発した。人の在室状況や会話など、空間内のセンサーで収集した情報に合わせて、壁や天井などの部材自身が部屋の光の色を変えたり、音を発したりするシステムで、3月5日~8日に東京ビッグサイトで開催される「JAPAN SHOP 2019」でプロトタイプを公開した。
スピーカーや照明を壁や天井などと一体化し、機器の存在を意識させずに、状況に合わせて光の色を変えたり、音を発して、人の自然な行動を促すというもの。センサーで取得した室温や人の動き、会話の状況などを把握し、「空間」の変化を通じて、空間内の人の行動を促すという。
JAPAN SHOP 2019のプロトタイプでは、村田製作所による会議空間のコミュニケーション可視化プラットフォーム「NAONA」と、日建設計とDNPの共同開発によるフルカラーLED照明一体型壁装材を連動させ、空間の状況に応じた光の変化を実現。会議の開始時には温かみのある照明で、発言が減ってきたら、会議の発話を促すために「緑」に点滅、ややヒートアップしたときには、心を穏やかにする「青」に調光するなど、「次に取るべき自然な行動を促す」という。この会議の盛り上がり度合いはNAONAが分析し、その結果に最適な照明を適用。照明色は、日建設計と共同で状況に最適な色を研究している。
さらに、壁にはスピーカーを内蔵。DNPが開発した一体型の壁装材に音響機器を手掛けるTOAのシステムを組み合わせ、スピーカーを全く意識させずに空間から音が出る仕組みにしている。
照明や音響機器の存在感を無くし、在室環境や二酸化炭素濃度などのセンサー取得情報をもとに、次にとるべき行動を「空間」が誘導。会議の質の向上や活性化を目指すという。
DNPは、このシステムをオフィスやホテル、住宅や店舗に向けて提案予定。同社の建装材や各種ハードウェアだけでなく、システムや制御プログラムなどのソフトウェアと含めて提案していく。
また、TOAと共同開発した壁一体型のスピーカーのホテル向け展開も紹介。壁スピーカーは、壁面を振動させることで発音するパネル型の部材となっており、組み合わせることで音の広がりを調整できる。DNPでは壁スピーカーに最適化した化粧シートを180種類用意している。
出力はそれほど大きくないものの、壁面全体が振動するため、音の直進性が強く、減衰しにくいという特性を活かし、部屋全体が音に包まれるようなサウンドを実現できる。また、今回の展示では、下段に川のせせらぎを、中段にBGM、上段に鳥の鳴き声などの自然音を入れ、ホテルの一室で自然の中にいるような環境が実現できることを紹介。店舗やホテル、美術館などにに音と空間デザインのパッケージサービスとして提案していくという。
シェアリングエコノミー向けという決済・認証システムも紹介。ホテルの鍵や民泊の鍵をスマホで代替するシステムで、鍵は汎用のものを用いており、認証や決済用のシステムをDNPが提案していくという。