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メルカリ、“指差し”で商品価格表示する新技術。ARグラスから出品へ #CES2019
2019年1月11日 13:14
フリマアプリ「メルカリ」の研究開発部門である「mercari R4D」は、1月8日から11日まで開催された「CES 2019」にて、ARに関する技術デモンストレーションを展示した。そのデモの様子をお伝えする。
スマートグラスを利用、指差しで価格を確認、サムアップでブクマ
mercari R4Dのデモは、スマートグラスを開発するVuzixのブースで行なわれた。公開されたのは、Vuzixが発売したスマートグラス「Vuzix Blade」向けのアプリケーションだ。
デモは次のような内容になっている。
利用者はまずVuzix Bladeをかける。そして、目の前にある現実のものを見て「指差し」を行なうと、その製品の詳細と価格がグラス内にARの形でポップアップする。
その商品が気に入ったら、サムアップ(親指を突き出す)。すると、そのジェスチャーを認識し、商品は「お気に入り」に登録される。あとから購入することを想定してのものだ。
画像認識を含めたすべての機能はVuzix Bladeのカメラから取得した映像を、Blade内のプロセッサー(クアッドコアのARMプロセッサ)を使ってローカル処理されており、ネットワーク接続は必須ではない「エッジ型」の構成だ。
mercari R4Dでこのデモを開発した、XRリサーチエンジニアの栁澤慧氏は、「メルカリで多数の商品を見つけるために、こうしたやり方がいいと考えた」と話す。
画像認識におけるポイントは、「指差した場所にある商品のみを認識する」(栁澤氏)こと。多数の商品を勝手に認識するのは問題もあり、明確に自分が指差した領域だけを切り取り、認識を行なうようになっている。
メルカリには大量の製品があるので、すべての商品を認識するのは難しい。そのため将来的には、まずは端末内で大まかな商品のジャンルを抽出し、その上でネット上のメルカリのデータと価格や商品情報を照合する、という手法を検討している、という。
ハンドジェスチャーをパテント登録。将来は「スマートグラスから簡単出品」
メルカリがこうしたアプリケーションを開発する理由は、商品の検索に加えて出品をより手軽にすることにある。
メルカリ・R&D XR リサーチエンジニア・マネージャーの諸星一行氏は、「将来的には、このアプリで出品したいものを選ぶと、自動的に価格や商品情報がわかったうえで、出品の手続きまでできるようにしたい」と話す。
ポイントになるのは、このアプリで使われている「ジェスチャー群」にある。指差しで商品を選ぶこと、サムアップで「お気に入り」にすることに加え、指二本を動かすことでAR上の画像を選んで動かす、といったジェスチャーの実装が検討されており、これらはどれも、メルカリがパテントを取得している。
ARグラスやスマートグラスは、2019年から20年にかけて、数多くの製品が登場する。CESでも多数の機器が展示されたが、こうした機器で自然なショッピングを行なうことが、今後より重要になる。
ARでは、現実とネットの情報の連携が重要になるが、その時にはその時にふさわしい操作系が必要になる。メルカリとしては、こうしたアプリの開発を通し、ARに求められるUIを考えていきたいのだろう。
今回のデモの開発は1カ月以内という短い時間で開発されたものだが、ベースとして、画像認識による商品検索や指によるジェスチャーなどがあったために実現されたものだ。
今後は「まず、Vuzix Blade向けのアプリとして提供したい」と栁澤氏は言う。Vuzix Bladeはアメリカではすでに出荷されてり、日本でも発売が予定されているため、我々が実際の環境で試せる日も、そう遠くないかもしれない。