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コラム 瓦版一気読み(11月6日)

  情報は時とともに劣化する・・・

  【1面トップ】
  ●けがれた“神の手”
  あきれた自作自演。70万年前の石器は幻? 日経を除く5紙(6日最終版)が、宮城県上高森遺跡での旧石器発掘のねつ造事件を取り上げた。5日付の毎日朝刊が大々的に報じたスクープだ。今日は、ちょっと5日付毎日の1面にプレイバックしてみる。ほぼ全面を費やしての第一報は、同紙が藤村新一・東北旧石器分化研究所副理事長の“工作”を撮影したビデオの連続写真。今年10月22日の早朝、ポリ袋から石器を取り出し、並べ、そして埋めた後を踏みつける3枚が、動かぬ証拠として掲載されている。

  毎日は、今年9月5日に北海道の「総進不動坂遺跡で不審な作業をする副理事長を写真撮影した」(6日付)と報じており、それからマークしていたようだ。その写真は社会面に掲載している。5日付の1面に戻ると、囲み記事で今回のビデオ撮影についての「おことわり」を掲載している。写真週刊誌並みの“隠し撮り”に、一般読者のハレーションが起きるのを配慮したためであろうが、不審写真撮影の9月5日以降、副理事長が否定し続けていたなら止むを得ない措置だろう。

  自作自演という点では、新聞界の大汚点である朝日の「サンゴ事件」を思い出してしまったのは筆者だけだろうか。それにしても、高校の日本史Bの教科書には1998年版と99年版から上高森遺跡が「日本最古の石器の発掘場所」と記述されているものが10種類に及ぶというから、ねつ造の波紋は大きい。同副理事長は東北や北海道で多数の発掘に携わっており、その実績から「ゴッドハンド(神の手)」とも呼ばれていた(5日付毎日)という。今のところ、ねつ造したのは証拠を付きつけられた2カ所だけというが、これ以上うそを重ねる愚だけは犯してもらいたくない。

  ◇日経は、NTTの公衆回線開放を郵政省が検討―という通信もの。市内網に「卸料金」を設定してインターネットのプロバイダーなど第2種電気通信事業者にもNTTの公衆回線が借り受けられるようにするという。「電気通信審議会が16日にまとめる通信市場の競争促進策の柱として盛り込まれる」としている。郵政省は、通信市場の競争政策が不充分と内外の事業者から批判を受けており、NTTとの確執も深まっている。この記事、郵政省が恐る恐る日経にアドバルーンを上げてもらったような臭いがする。

  【IT】
  ●早くも淘汰の時代~ネット証券
  日経が報じたNTT公衆回線の開放が進めば、インターネット接続料金の値下げも一段と加速しよう。そのネット接続による株式取引が「活況」というまとめ記事を、読売が月曜の経済コーナー「エコノmix」に掲載。

  9月時点でネット取引の口座数は130万を突破しており「投資家のすそ野を広げる」と、証券界の期待は大きい。しかし、ネット取引最大手、松井証券の松井道夫社長の「ネット専業の証券会社はすでに、5、6社に集約されつつある」とのコメントも紹介されているように、利益を出しているのはひと握りの証券だけで、淘汰も始まっている。

  【トピック】
  ●「政治主導」に暗雲
  2001年1月6日にスタートする「霞が関改革」、つまり中央省庁再編までちょうど2カ月に迫った。日本の政策決定システムを「政治主導」に転換させ得るのかどうか、大改革が始まる。

  産経は3面の特集で、省庁再編にからむ人事を中心に取り上げている。政治主導という改革のカケ声とは裏腹に、人事は「官主導で進んでいる」という。政治家がやらなければ意味の無い新設ポスト「政務官」にも官僚OBが進出の動きもあるといい、ここでも森喜朗首相の指導力が問われる展開となっている。

  [メディア批評家 増山広朗]

■URL
・瓦版一気読み バックナンバー
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/

2000/11/06 09:06
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