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関心集める東京海上の「拡大志向」~ガリバーの本音は?

  9月に日動火災海上保険(8760)、朝日生命保険との経営統合に向けた提携を発表した東京海上火災保険(8751)が、今度は協栄生命保険のスポンサーに名乗りを上げていたことが分かり、保険業界に複雑な波紋を投げかけている。経営が苦しいとされる別の生命保険会社のスポンサーに立候補するのではとの観測が流れたり、 「やはり本命は明治生命との提携では」とのウワサが飛び交ったりで、“損保業界のガリバー”の周辺はにわかにざわついている。

  東京海上が業界再編との関連で関心を集めるようになった最初のきっかけは、いうまでもなく日動火災、朝日生命との「川下持ち株会社」構想の発表。しかし、業界関係者が最近注目しているのは、東京海上が経営破綻した協栄生命のスポンサー企業に名乗りを上げたことだった。東京海上は、協栄生命の保全管理人が設定した「22日午後7時」のタイムリミットを、さらに数時間オーバーしてようやく立候補の意思を表明してきたという。

  しかしその時点で、取締役会の正式決定を経ていないなど手続きが不十分だったため、時間の経過に伴う資産の劣化を恐れた保全管理人が、その時点で最も良好な条件を提示したプルデンシャルをスポンサー企業に指名したとされている。

  東京海上が準備不十分なまま慌てて立候補した背景としてささやかれているのが、日本生命保険と住友海上火災保険・三井海上火災保険との提携。この提携は24日に正式発表されているが、この動きを事前に察知した東京海上が保険業界の覇権をかけて、生命保険分野の強化に乗り出したとの、まことしやかな解説まで流れている。

  ●背景に日本生命の存在
  さらに、千代田生命保険、協栄生命の破綻のあおりを受けて解約が急に膨らんだ生命保険会社に対しても、破綻前の支援に乗り出すといった観測が流れた。また、東京海上が日動火災・朝日生命との提携を発表した時点では、このグループへの参加に消極的だった明治生命を、改めて取り込みにかかっているとの説もある。

  こうした東京海上の「拡大志向」が、しきりに話題に上る背景には、一方で保険業界の真のガリバーの座を争う日本生命の存在があり、もう一方では「東京三菱銀行の風下にだけは立ちたくない」という、三菱グループ内部での覇権争いが隠れているようだ。学生が就職したい企業のナンバー1として長年、君臨してきた東京海上の社員は、未だに強烈なエリート意識を持っているとか。しきりに流されるウワサの真偽は定かではないが、金融界では「今後もあくまで自社主導の金融再編を指向していくはず」との警戒感が広がっている。

■URL
・東京海上火災保険
http://www.tokiomarine.co.jp/

(舩橋桂馬)
2000/11/01 16:27
3/30(金)
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