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コラム 瓦版一気読み(11月1日) |
情報は時とともに劣化する・・・
【1面トップ】 会見席には外務・大蔵・通産の3幹部が並ぶが、何を聞いても「ノーコメント」。記者たちは彼らの表情からどの分野の交渉が進展あるいは難航しているかを読み取り、推測混じりの記事を仕立てる。 北京で開かれている日朝国交正常化交渉も、これとよく似た展開だ。 「真剣な実務的雰囲気」(30日午前)、「真剣でしっかりした意見交換」(30日午後)、「非常に真剣な、ある意味で熱のこもった議論」(31日午前)。毎日によれば、同行記者団への外務省の説明ぶりはこんな感じで、中身については一切「ノーコメント」だったが、それでもニュアンスだけは何となく分かる。 たとえば、30日午前の「非常に真剣な、ある意味で熱のこもった議論」を新聞記事風に“翻訳”すると、「双方の主張が真っ向から対立、激しい議論が展開された」ということになる。 ともあれ、記者が嗅ぎ取れる交渉の内容はニュアンスどまり。それでもトップ記事を書くとなると、読売のように「・・・した模様だ」という表現を4つも使わなければならなくなる。「・・・という」や「・・・とみられる」も加えれば、推測・伝聞に基づく記述は6カ所に上る。 ともあれ、日本側にとって最大の懸案である「拉致」問題で北朝鮮側が譲歩するか、あるいはこの問題を棚上げしない限り日朝交渉の進展は見込めない。現時点でこのニュースをトップで取り上げるには無理がある。 ◇東証1部上場の大手医薬品メーカーであるウェルファイドと三菱東京製薬が来秋、合併することで基本合意した、と日経が報じている。末尾には「経営規模の拡大を狙った製薬業界の再編が本格化する」との決まり文句。 合併報道は、経済記者にとって最大の勲章である。その成果を紙面に反映させてやりたいというデスクの“親心”も分からないではないが、合併会社の業界ランキングは「国内7位」。たかだかこの程度の話が何で1面トップなのか。 ニュースが薄いという事情があるにせよ、日経の今日の紙面構成は読者を嘗めている。こんなことをするくらいなら、総合面の<業績回復 株価は急落>を1面トップに持ってきた方がはるかにましだ。 ◇朝日、毎日、産経、東京のトップ記事は、シンガポール機の爆発・炎上事故。
【IT】 パソコンや携帯電話が売れれば、当然のことながらマニュアルの原料(紙)の需要も伸び、紙・パルプ業界は今、「ITカミ風」(同)の“追い風”が吹いている。昨日までに出揃った業界各社の中間決算によると、軒並み増収増益を達成。売上高や経常利益で過去最高を記録した大手も出ている。 が、電子化の進展で紙需要が減り、関連業界は先細り・・・の懸念は消えていない。 ◇IT主導の生産性向上で景気拡大が長期間持続する“日本版ニューエコノミー”の可能性を探るリポートを経企庁が発表した(各紙)。中身は・・・、経企庁のHPで読んでみて下さい。
【トピック】 明確な理念があるわけではない。所詮、呉越同舟の寄り合い所帯に過ぎず、離脱者が出てくると思っていたので、その第1号が「首相にしたい人」の上位にランクされている田中氏だったと聞いても驚きはない。 各紙の記事は、田中氏の言い分だけを取り上げているが、“見捨てられた側”の言い分にも耳を傾ける必要がある。筆者が世話人の1人から聞いた話を紹介する。 「田中さんは会合に出てきても、発言者を揶揄するだけ。ヤジ将軍としては天才的な能力を発揮するが、提案や対案の提示が全くない。議論が建設的でないのだ」 新聞記者も同じような話は聞いているはずだが、なぜか紙面に反映しようとしない。国民的人気を誇る真紀子さんにマイナスになるような記事を書く勇気がないからだ。 [メディア批評家 増山広朗] ■URL・瓦版一気読み バックナンバー http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/
2000/11/01
09:06
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3/30(金) |
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