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「日本の政治を読む」~辞任必至?の中川官房長官

  【今週の主な政治日程】

  ▼23日(月)公職選挙法改正案、衆院特別委で審議入り
         平和条約締結問題に関する日ロ合同分科会(東京)
  ▼25日(水)日米韓外相会談(ソウル)

  【今週の焦点】
  ●重要法案、軒並み不成立の懸念
  参院比例代表選に非拘束名簿式を導入する公選法改正案をめぐり空転していた国会は、斎藤参院議長の引責辞任という大きな犠牲を払い、23日から衆院特別委での審議が始まり、ようやく正常化する。しかし、参院の選挙制度のことは衆院で長時間審議する必要がないと24日にも成立を図りたい与党側に対し、野党側は参院での審議が実質的に行われていないとして、対案を用意するなど徹底審議の構え。

  さらに野党側は、中川秀直官房長官の女性問題や村上正邦自民党参院議員会長に対するケーエスデー中小企業経営者福祉事業団(KSD)の政治献金問題などのスキャンダルに加え、森喜朗首相が北朝鮮による日本人拉致疑惑に関連して「行方不明者として第3国で発見」などと発言したことについて厳しく追及する方針。

  ただ、11月10日ごろには最優先議案の補正予算案の提出が予定されており、並行してあっせん利得処罰法案、少年法改正案、医療保険制度改革関連法案、警察法改正案、IT基本法案などの重要法案の成立を図るのは至難のわざ。このため、12月1日までの会期延長も検討されているが、同月中下旬には内閣改造と来年度予算編成も控えており、複数の重要法案の不成立を懸念する声が上がっている。

  【先週のポイント】
  ●外交センス欠如の森首相
  森首相がソウルでの日英首脳会談などで、北朝鮮による日本人拉致疑惑に関連し、1997年11月に訪朝した際、「行方不明者として北京やバンコクにいたという方法もあるのではないか」などと述べたことを明らかにした件は、森首相の外交センスの無さをはしなくも暴露することになった。仮にこういう方法が最終的な「落ち所」として極秘裏に検討されていたとしても、日朝交渉に何ら関係も関心もない英仏両国首脳に話し、わざわざ記者団にブリーフィングすべきことではあるまい。

  そもそも、7件10人といわれる日本人が仮にも外国の公権力によって不当に拉致されるということは、明確な国家主権の侵害である。その認識なくして、事件解決に何ら前進がないにもかかわらず、相手の言いなりになって50万トンものコメ支援を決定するなどということは、相手からばかにされても尊敬されることはないだろう。首相のこの軽率極まる発言が日朝交渉に悪影響を与えることが懸念されるほか、肝心の拉致日本人が帰ってくる可能性は一層遠くなったと言わざるを得ない。

  森首相の北朝鮮に対する対応について、ある首相経験者は「クリントンは功名心、森は焦り」と評したが、森首相と河野洋平外相の北朝鮮や中国、ロシアに対する最近の言動が非常に気になる。

  ●辞任必至?の中川長官の女性スキャンダル
  先に、森首相と中川秀直官房長官のスキャンダルは当面不発と書いたが、どうやら中川長官の女性スキャンダルは辞任問題へと発展しそうだ。同問題について中川氏は「事実無根」をくり返してきたが、18日発売の写真週刊誌「FOCUS」が、同氏の女性問題を追及する内容証明郵便を送りつけてきた右翼団体幹部と同氏が会食している写真を掲載した。前日に「右翼団体とは何ら関係がない」とする答弁書を閣議決定したばかりだっただけに、「政府全体がうそをついたことになる」などの批判が自民党内にも出るなど、その衝撃度は計り知れない。

  野党だけでなく、与党内にも同長官の責任を問う声が上がっており、辞任は時間の問題とする見方が強まっている。少なくとも、12月の内閣改造で再任されることは困難だろう。

  ●加藤氏と完全に関係修復した公明党・創価学会
  自自公連立政権発足にあたり公明党の入閣を厳しく批判し、関係が悪化していた自民党の加藤紘一元幹事長と公明党との関係が完全に修復されたようだ。神崎武法代表が加藤氏と週2回程度定期的に会合しているほか、創価学会の池田名誉会長サイドも加藤氏と接近、ポスト森に向けた手を着々と打っている。

  これに対して公明・学会は森首相や野中広務幹事長からは急速に離れつつある。特に公明党が力を入れてきた外国人参政権問題が自民党内の反対で一向に進まなかったことが、野中氏への強い不信感へとつながっているようだ。野中氏は公選法改正案をめぐる参院での攻防でも青木幹雄参院幹事長の強硬方針に何ら異論をはさめず、求心力の低下を印象付けた。

  [政治アナリスト]北 光一


2000/10/23 09:40
3/30(金)
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