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コラム 瓦版一気読み(10月23日)

  情報は時とともに劣化する・・・

  【1面トップ】
  ●無党派? 無所属?
  知名度に勝る川田悦子氏(51)が僅差で勝利。公設秘書らの給与にからむ詐欺罪で起訴された山本譲司・前衆院議員(元民主党)の辞職に伴う、東京21区補欠選挙(22日投票)は、元東京HIV訴訟原告団副代表で名前も顔も売れた川田氏が当選した。自民、民主、社民が立てた候補を抑えたもので、先の長野県知事選に次いで“政党”への不信感が露呈した形だ。

  この結果は、参院滋賀選挙区補欠選(22日投票)とともに、日経を除く各紙(23日付朝刊)のトップとなった。ところが、同じ1面トップ扱いでも、川田氏の形容に新聞で微妙な違いで出ている。朝日は「無党派・川田さん」、東京も無党派としているが「“無党派”川田氏」との表現。“”で囲むことにより「純粋無党派ではないが、事実上の無党派」とでも表現したいような見出しになった。これに対して産経は「無所属の川田氏」、読売は「川田氏(無所属)」と、無党派候補の“認定”を拒んだ形。毎日は直接の形容は避け、サブ見出しで「無党派の支持集め」としている。

  産経と読売が、無所属ではあるが無党派ではないということをにじませたのは、公示直前まで共産党の推薦候補になろうとしたことや、同党が「公認候補を降ろして川田氏支援に回った」(毎日)ことと関係している。ためらいもなく「無党派」としてしまう朝日と、この2紙との日ごろの論調の相違を象徴するようで面白い。

  ◇日経は、1面の大半を割いて新連載「教育を問う」。日経が教育問題のキャンペーンとは、「?」と思う向きもあるかも知れないが、企業の側から「使えない新卒者」の問題を提示するなど、日経らしい切り口で期待できそう。かつて、日経のスポーツ面は、コンパクトな紙面に情報がよくまとまっているとか、競馬予想がよく当たるとかで、ビジネスマンには隠れた支持者が少なくなかった。“門外漢”ならではの指摘が的を射ることも多々あるのです。

  【IT】
  ●サイバー兵器は武力なのか
  コンピューターウイルスやハッカーからの“攻撃”を防ぐ「サイバー兵器」は武力行使にあたるのだろうか。読売が1面準トップで、防衛庁が同兵器の開発を検討していることを報じている。次期防衛力整備計画(次期防、2001―2005年度)で、「試験用のウイルスやハッカー技術を独自に開発する検討」に着手したという。

  問題は、それらの技術が他国のシステムなどを破壊できる一種の「兵器」と成り得るという点。国際的には、まだ「サイバー兵器」の統一見解はないそうで、憲法9条をもつ日本には、同条への抵触が問題にもなりそうという。素直に、「専守防衛」ということで考えるわけにはいかないのでしょうか。

  【トピック】
  ●日曜日の特ダネ
  日本生命と、来年10月に合併する三井海上火災保険・住友海上火災保険が保険商品の相互供給などで提携。朝日を除く各紙が、それなりの扱いで、この保険再編を報じている。このニュース、朝日が22日付朝刊1面トップで大々的に扱った特ダネの後追い。その前日には「協栄生命保険の破たん」が表面化しただけに、保険ものは大きくと朝日は張り切った。

  抜かれた日経は、今日付の後追い記事のなかで、実は三井海上は同じグループのさくら銀行、三井生命保険とも相互販売などで「3社提携」という独自ダネを盛り込んだ。経済ものでやられたら、やり返すのが日経だが、この話は当然の成り行きでもある。う~ん、苦しい。

  [メディア批評家 増山広朗]

■URL
・瓦版一気読み バックナンバー
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/

2000/10/23 09:08
3/30(金)
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